2022.11.04
給付金について
社宅・住宅手当。お得そうだけど…落とし穴はある?
現在、コロナウイルスが原因となる解雇が6万人を超えたと言われています。この状況を受け、現在の仕事に対して不安を覚えた方は多いことでしょう。そのため、今一度、会社から支給される給与以外の様々な手当についての理解も深めておくことが重要です。
また、転職サイトを見ていると、企業によって様々な手当を支給することで、人材を確保しようとしている様子も見て取れます。今回は、そんな手当ての中でも、特に「住宅手当」に焦点を当て、メリットや注意点についてご紹介します。転職活動を行う際などに、ぜひ参考にしてみて下さいね。
住宅手当について
住宅手当とは、従業員の住宅に関連する費用を支給するための「福利厚生制度」の一つです。こういった制度を適用するかどうかや、金額の上限設定額をいくらにするかは、各企業に委ねられています。住宅に関する手当は、「住宅手当」「家賃補助」「社宅」の3つに大別されます。以下、それぞれについて説明します。
住宅手当
ローンを組んでいる住宅の支払いに関して、従業員に費用の一部を現金で補助する手当です。給与と同じく、課税の対象となります。
家賃補助
賃貸のアパートやマンションなどに住む従業員に対して、家賃の一部の費用を補助する手当です。こちらも同じく課税対象です。
社宅
企業が、社員向けに住宅を用意するための手当です。会社自体が社宅として賃貸契約を結んでいる、いわゆる「借り上げ社宅」も含みます。この場合は、企業が社員から、家賃の基準額の50%以上を徴収していれば、非課税となると定められています。そのため、家賃は本来の相場の半分以下で済むことが多いと言われています。
住宅手当の現状について
一人当たりの住宅手当の支給額と企業への負担
平成27年の厚生労働省の就労条件総合調査の結果、社員1人あたりに支給されている平均の住宅手当は、17000円ということが分かりました。しかし、支給額が2万円以下の社員は、住宅手当の額に満足していないというデータもあります。ただ、こういった費用は、企業側にも大きな負担となっているものです。日本経済団体連合会の調査によると、2018年度の住宅関連の費用は、福利厚生費の約半数を占めていたのだそうです。
働き方の変革による影響
近年の「働き方改革」によって、「同一労働同一賃金」を実現することが企業側に求められています。すなわち、非正規社員に対しても、正社員と同じように手当を認めていく必要があるのです。これが企業側にとっての負担であることは、言うまでもありません。
住宅手当の今後
これらから、各企業において、費用削減のための住宅手当の見直しが行われる可能性が高いことが予想されます。必ずしもすぐに廃止が実施されることはないかもしれませんが、こういった可能性があると言うことは頭に入れておく必要があります。
住宅手当の意外な落とし穴
住宅手当のメリット
住宅手当があることで、従業員にとっては、金銭面においての負担が軽減されるというメリットがあります。特に入社したばかりの社員や、都市部に住む方にとって、この制度があることは、精神面においても良い影響を与えることでしょう。企業側にとっても、人材の定着や従業員のモチベーションアップなどにもつながるため、双方にとって利益の大きな取り組みといえます。住宅手当があるかどうかは、転職の際の決め手になることもあるでしょう。
住居選びの際に気をつけること
先ほども述べた通り、住宅手当は、法律の上では給与に分類されるため、住宅手当からも税金が引かれてしまいます。いくら手当が支給されるからといって、その全額を住宅費の補助に充てることができないと言う点は注意が必要です。万が一、住宅手当が廃止されることがあったとしても、生活に困らないよう、自分の給与に合った物件を選ぶようにしましょう。そういった点では、引っ越しを伴う転職活動の際は、非課税の社宅のある企業を探すのも1つの手でしょう。ただ、社宅が職場の近くであった場合は、休日も会社の人と会ってしまう可能性があることや、退職の際にはすぐに退去しなくてはならないなどのデメリットもあるため、十分に検討するようにしてください。
住宅手当額に関する確認事項
扶養家族がいるかどうか、ルームシェアや同棲をしているかどうかなどによって支給額が変わる場合もあります。支給上限額の設定に関しても、役職別に異なっていたり、一律であったりと、企業によって様々です。実際に入社してからトラブルになったり、予想していた手当金が受け取れなかったりすることがないように、事前に必ず確認をするようにしましょう。
転職活動時に意識すべき福利厚生について
非課税の福利厚生が充実している企業を探す
転職活動をする際には、住宅手当ばかりに気をとらわれすぎず、非課税の福利厚生にも目を向けてみましょう。近年は、節税対策も兼ねて、非課税の福利厚生を充実させている企業が増えているそうです。非課税の福利厚生には、社宅の他にも介護や育児関係の費用に充てることができるものもあります。転職の際は、こういった情報も含めて、より良い企業を探すことをおすすめします。
地方自治体の家賃補助制度
自治体によっては、企業と同じように、家賃補助制度を積極的に取り入れているところもあります。自治体の指定している賃貸住宅において、家賃補助のみならず、子育てに関する費用や医療費などの補助が受けられることもあるとされています。引越しを伴う転職活動を行う際などは、ぜひ就職先の情報だけではなく、居住予定の地域の制度を積極的に調べてみましょう。
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[参考URL]
PRESIDENT ONLINE「住宅手当を出す会社は従業員ともども損をする?」
PITARI「住宅手当の相場:平均1.7万。意外な落とし穴と自治体の家賃補助」
RELO総務人事タイムス「住宅手当は減少傾向。従業員への支給額の相場と企業が廃止する理由」
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