2021.12.24

障害年金について

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未納でも障害年金をもらえる?救済措置と受給方法を解説

いざという時に頼りになる障害年金。しかし、支給を受けるためには「年金」として欠かせない条件があります。具体的には「障害年金申請時まで、年金をどのように納付してきたか」ということになります。

障害年金受給で大事な2つの「納付要件」

障害年金の納付要件は、「初診日までの一定期間、年金保険料を納めていること」です。

実は、この納付要件は大きくわけて2つあります。今回はこの納付要件と、もし満たしていない場合、とれる対策について解説します。

なお、初診日が20歳前にある場合は、保険料の納付用件は問われません。また、学生時代に年金の保険料を支払い猶予にしていた場合は免除期間と同様に扱われます。

納付要件1:「3分の2要件」を満たしていれば大丈夫!?

納付要件の1つ目が「3分の2要件」です。

これは初診日があった月の前々月までに「公的年金制度に加入すべき全期間のうち、3分の2以上の期間で年金保険料を納付していること」を条件とするものです。

たとえば初診日が10月1日だとしたら、10月の前々月として8月までに納めた年金保険料が「納付要件」の対象とされます。

ちなみに年金保険料について、様々な状況・条件に応じて減免・免除が行われる制度があります。この免除期間も納付済みと同様に扱われますが、「初診日の前日までに免除申請している」ことが必要です。初診日以降に免除申請をした期間は、「初診日の前日の時点では未納だった」とみなされます。

初診日に未納の場合、後からの納付でリカバリーは可能?

また、年金は納期限から2年間に限り後からの納付が認められています。たとえばAという傷病で障害年金を申請したいとします。直近2年間未納があるけれども、それさえ納付すれば「3分の2要件」を満たす、というような場合を考えてみましょう。

初診日以降に、それまで未納だった年金を2年分納付した場合はどうなるのでしょうか。

この場合、残念ながらAという傷病での傷病手当金の申請対象にはなりません。初診日を過ぎてから年金保険料を後から納付しても、冒頭で説明したように障害年金の納付要件は満たさないからです。障害年金の納付要件は、初診日の前日の時点でどのくらい年金を納めているかが判断基準になっているためです。

ただし、65歳以降に受給できる老齢年金を増額して受けることができるようになり、またこれ以降のAとは別の傷病、例えばBという傷病で障害年金を受給するための要件を満たすことになるので、万が一の備えとして決して無駄にはなりません。

納付要件2:「未納」を解決する方法は「直近1年要件」

納付要件の2つ目が「直近1年要件」です。

先に説明した「3分の2要件」を満たしていない場合、障害年金を受け取ることができないことになってしまいます。

実は過去において、そのような人を救済するための特例措置が行われたことがありました。例えば過去の未納10年間分について後納する特例(平成24年〔2012年〕10月1日から平成27年〔2015年〕9月30日まで)、同じく5年間分について後納する特例(平成27年〔2015年〕10月1日から平成30年〔2018年〕9月30日まで)がありましたが、これらはすでに終了しています。

このため、令和元年(2019年)現在は、直近2年間の未払い分のみしか対応できない状況となっています。また、何度も解説しているように初診日以降に未納分を納付しても、障害年金の制度上、納付要件を満たしません。

そこで登場するのが先に触れた「直近1年要件」という制度です。

「直近1年要件」とは、令和8年(2026年)3月31日までの特例として、平成3年(1991)5月1日以降に初診があるときのみ、初診日の属する月の前々月からさかのぼった1年間が未納(いわゆる滞納)なしの状態であれば障害年金の申請が可能になる制度です。

たとえば初診日が令和元年(2019年)10月1日ならば、前年の平成30年(2018年)の8月から1年間、年金保険料の未納がないことが条件となります。以前に実施された後納を可能にする制度とは異なりますが、救済措置の1つとして実施されています。

もし「3分の2要件」を満たしていない場合でも、この制度によって障害年金の給付条件をクリアできる可能性がありますので、直近の納付状況をお近くの年金事務所で確認するか、あるいは日本年金機構の「ねんきんネット」にログインして確認してみてください。

なお、「ねんきんネット」は年金手帳記載の基礎年金番号と、定期的に送付される「ねんきん定期便」記載のアクセスキーを利用して登録することで利用可能になります。

「ねんきんネット」でいつでも最新の年金記録が確認できます!(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201105/2.html

 

年金情報をきちんと確認すると受給要件を満たしている場合も?

なお、「3分の2要件」「直近1年要件」について年金記録をきちんと確認して、次のような条件がある人は、その期間が記録から抜けていないかチェックしておきましょう。

  • 結婚で改姓する以前の期間
  • 短期間で仕事を辞めた期間

これらの期間を合算すると「3分の2要件」「直近1年要件」について満たすこともありますので、もし記録と記憶が食い違っているような場合は、きちんと突き合わせて確認することが重要です。

低所得の人は、さかのぼって免除申請することも可能

さらに国民年金加入中で、所得がない、あるいは低所得で保険料を納めることが経済的に困難な場合に、国民年金保険料が免除される制度があります。保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1ヵ月前までの期間)について、さかのぼって免除等を申請することができます(学生納付特例についても同様です)。

この制度では、2年1ヵ月前までさかのぼって免除等の申請ができますので、低所得で未納だった場合は「直近1年要件」について、要件を満たせる可能性も出てきます。なお、免除等の申請可能期間と対応する前年所得については、日本年金機構のホームページで確認するようにしてください。

国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150402-01.html

まとめ

障害年金受給には「3分の2要件」「直近1年要件」など制限がありますが、救済措置もありますので、もし、障害年金受給を考えている場合は、自分の年金情報を確認し、必要なら免除申請なども活用してみることをおすすめします。

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