2022.04.01
障害年金について
障害年金にはデメリットがあるって本当!?
心身への各種傷病によって生活や労働に困難が生じた場合に、大きな助けとなってくれるのが「障害年金」です。しかし、受給するまでや、受給に際してのいくつかのデメリットがあります。今回はこの障害年金が持っているデメリットの部分について解説します。先に知っておけば、不安もなくなり、安心して利用できるはずです。
気をつけるポイント1 申請後、受給決定まで時間がかかる
申請後、受給決定まで時間が掛かるとはどういうことなのか、結論からいうと申請から給付決定、振り込みまでが仮にスムーズに行ったとしても半年前後かかります。詳細について少々長くなりますが順を追って解説します。
初診日と障害認定日
障害年金の受給資格や受給できる障害の等級とうつ病など精神障害の関係については、以前に別記事の「障害年金基礎知識」や「障害年金と精神疾患:うつ病、統合失調症の認定基準は?」で解説した通りです。
そして障害年金を申請するには、申請する症状で病院・歯科医院を受診した日から1年6ヶ月を経過した日(その間に治った場合は治った日)、または20歳に達した日に障害の状態にあるか、または65歳に達する日の前日までの年金加入期間内に障害の状態となったこと、および保険料納付要件を満たしていることが条件となります。
障害厚生年金請求が可能になるのは、ここで規定された「初診日」から1年6ヶ月経過した日、「障害認定日」以降になります。
審査の日数
それでは「障害認定日」と認められた日以降に年金請求書による申請を行ったとき、審査にかかる日数はどのくらいなのでしょうか。
2017年4月、障害年金の審査にあたる日本年金機構は、審査体制の変更を行いました。障害基礎年金の認定を行う審査について、それまで各都道府県別に行っていた方法を改め、東京で一元化して認定を行うようになったのです。なお、障害厚生年金は従来から東京で一括審査を行っていましたので変更はありません。
これはそれまで各都道府県で個別に年金受給に関する審査を行っていたため、認定基準にばらつきが出ていたのを是正するために行われたと言われています。例えばある障害の症状の重さの程度に対して、A県では申請書通りの等級で審査を通過しているのに、B県では申請等級が下げられたり不支給と判定され申請が認められなかったり、ということがあった、ということです。NHKの調査によると認定されやすい県と認定されにくい県の不支給割合の差が6倍もあったということで、これを是正するために行われたと言われています。
ただし、この是正する仕組みの導入によって、審査日数も全国一律となりました。
それまでは審査が1ヶ月程度で行われていた地域もありましたが、現在では障害基礎年金は3ヶ月、障害厚生年金は3ヶ月半で審査結果を出す、と日本年金機構では定めています。
ただし、審査段階で、診断書等の内容を主治医や請求者に照会することもあります。そのような場合は審査結果が出るまでにはもう少し時間が掛かります。長い場合は半年程度掛かることもあるようです。
審査結果と給付
審査結果は、年金請求書に記載した住所に文書で送られます。障害年金が給付される場合は申請者に「年金証書」「年金決定通知書」およびパンフレット「年金を受給するみなさまへ」が、障害年金を受けられない場合は不支給決定通知書が送付されます。なお、年金証書が届いたら記載事項に間違いがないか確認します。
また、認定等級などで不服がある場合は、審査請求を行うこともできます。これについてはかなり専門的な内容でありここでは解説しませんが、自分で行うことも、また、社会保険労務士に依頼して行うこともできます。
給付が決定された場合、約50日後に振り込みが開始されます。この際、障害年金および特別障害給付金は、基本的に偶数月(2、4、6、8、10、12月)の15日に前2ヵ月分が振り込まれます。例えば2月15日に振り込まれるのは1月分と前年12月分になります。
このように障害年金の申請から給付への流れは、「月末申請で翌月判定、即給付開始」というようなスピード感で行われるものではないことをご留意いただければと思います。ある程度の長期戦になる覚悟も必要になるのかもしれません。
気をつけるポイント2 障害年金の受給を勤務先などに知られるケースを知っておく
障害年金を受給していることで転職先や勤務先で何か不利なことがあると心配な人もいるかと思いますが、実は原則的には障害年金の受給は勤務先に知られることはありません。
「原則的」ということは一部に例外があるので、ここで説明します。
例えば年末調整で勤務先に知られるのでは、と思うかもしれませんが、障害年金は全額非課税になりますので、受給者個人の所得税に関係しません。ですから年末調整の手続きをおこなった際に障害年金の受給が勤務先に知られる、ということはありません。
また、社会保険や健康保険の加入に際しても障害年金について関係なく、給与の額から保険料が決まります。さらにマイナンバーを勤務先に伝えると思いますが、それも納税や社会保険の手続きのために使用するだけなので、障害年金とは無関係となります。
勤務先などに知られる「例外」とは……?
では、知られる「例外」とはどのようなものでしょうか。
例えば障害年金受給中に傷病手当金を申請する際、傷病手当金の申請用紙に障害年金受給中であることを記載する必要があるため、勤務先が障害年金の受給を知ることになります。
また、家族の扶養に入っている場合で、障害年金を受給した結果、年収が180万円を超えて扶養から外れる場合、収入が180万円以上であることを確認するために、障害年金の受給額の確認を行うため、年金通知書の写し等を家族の勤務先に提出する必要があります。
同じく障害年金受給中に家族の扶養に入る場合も、年収が障害年金による収入も含めて180万円未満であることを証明するために、同じく年金証書の写しを提出することになるので、家族の勤務先に障害年金受給を知られることになります。
気をつけるポイント3 障害年金は所得制限の対象となる場合がある?
基本的に障害年金には所得制限はありません。ただし、次の2つの場合のみ、所得制限の対象となります。
20歳未満での障害で受給している場合
20歳未満での障害で受給している場合、そもそも障害認定時に公的年金の保険料を納付する義務がなかったため、年金保険料を納付していなかったことによって所得制限が行われています。
この所得制限は、所得額が3,604,000円超(単身世帯)を超える場合には年金額の2分の1相当額に限り支給停止とし、4,621,000円を超える場合には全額支給停止とする二段階制とされています。
ただし、扶養家族数1人につき、所得制限の上限が380,000円加算されます。扶養家族が老人控除対象配偶者や老人扶養親族の場合は、1人につき480,000円加算、19歳以上23歳未満(その年の12月31日現在)の特定扶養親族の場合は1人つき、所得制限額が630,000円加算されます。また、障害厚生年金にはこのような所得制限はありません。
特別障害給付金の対象者の場合
特別障害給付金の対象者とは、「平成3年3月以前の20歳以上の学生、もしくは昭和61年3月以前のサラリーマン・公務員の妻で障害状態に該当された方」です。この特別障害給付金の月額は、前年の消費者物価指数の変動に対応して毎年度見直しされています。
気をつけるポイント4 障害基礎年金の場合は寡婦年金・死亡一時金がもらえない
障害基礎年金を受給した場合、受給者本人死亡後に妻や家族へ支給される寡婦年金と死亡一時金は対象外になります。
寡婦年金とは国民年金の加入期間・免除期間の合計が10年以上ある夫が亡くなったとき、一定条件(①婚姻関係を10年以上継続、②夫が生計を維持)を満たす妻が受給できる年金です。
死亡一時金は、国民年金の保険料を36カ月以上納付した人が亡くなった場合、その人と生計同一関係にあった遺族への給付金です。
まとめ
このようにいざという時に助けになる障害年金にも、ケースによっては制限があることがわかります。受給について考えている人はこれらについて頭の片隅にでも入れておくと、いざというときに役にたつと思います。わからないことがあったら、専門家に聞くなどして疑問を解消するようにしておきましょう。
退職コンシェルジュでは「障害年金の窓口」という障害年金の申請代行サポートを行なっております。複雑で難しいとされる障害年金の申請をプロの社労士が代行いたします。相談は無料ですので、障害年金について知りたい方や申請を考えている方はぜひご連絡してみましょう。
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