2019.07.19

障害年金について

『障害年金』の基礎知識

私たちが病気やケガのために、フルタイムで働けない、あるいは全く働くことができなくなった場合、『障害年金』の給付を受けることができます。退職代行サービスを利用して退職した際、なんらかの傷病がある場合は、以前に解説した傷病手当金だけでなく、今回解説する障害年金の受給について考えてみるのもありでしょう。

障害年金とは

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。給付を受けるためには原則として、国民年金、あるいは厚生年金や共済年金に加入していることが前提となります。

国民年金に加入している場合、つまり厚生年金や共済年金に加入していない20歳以上60歳未満の人や自営業者、パートやアルバイト、学生、配偶者の扶養になっている主婦などが、病気やケガで初めて医師の診療を受けた際(初診日初めて医師の診療を受けた日)は「障害基礎年金」の対象となります。同様に初診日に、民間企業に勤務していて厚生年金に加入している人や、共済年金加入者で本人のみが加入している場合は、「障害厚生年金」の対象になります。

また、障害厚生年金の支給対象にならない場合でも、もし軽い障害がある場合は、一時金として障害手当金が支給される制度があります。

ただし、障害年金を受け取る場合、年金の納付状況などの条件を満たしていないとなりません。初診日を起点 に、それまでの保険料の納付率が一定以上でなければ(20歳前を除き)障害年金の申請はできません。

なお、冒頭に各種年金に加入していることが前提と書きましたが、初診日に年金制度未加入で保険料を全く納めたことがない方でも給付を受けることのできる、20歳前障害年金という制度もあります。

◆20歳前障害年金の受給要件

 要件 内容
障害認定日 20歳よりも前に障害認定日があるケースでは、20歳の前日が障害認定日とされる
納付要件がない 20歳前障害に関しては、国民年金の加入が20歳からとされている事から、保険料の納付条件は一切不要
所得制限がある 前年所得に応じ、全額停止、または半額停止の2通りの停止方法がある
・全額停止
前年所得:4,621,000円(扶養親族1人につき380,000円が加算)
・半額停止
前年所得が3,604,000円(扶養親族1人につき380,000円が加算)
基礎年金のみ給付 20歳前障害では、障害等級1級、または2級※に該当しなければ、障害年金が給付されないため、国民年金による障害基礎年金のみの支給となる。

※障害等級は次節で解説

障害年金の等級

日本の年金制度は2階建て年金という仕組みをとっており、障害基礎年金はその1階部分となります。全国民が加入している国民年金から支給されるもので、学生・自営業・専業主婦(夫)・会社員など職業に関わらず全国民が対象となります。

さらに2階建て年金の2階部分が障害厚生年金です。会社員の場合は社会保険が適用されている事業所は厚生年金が、公務員や私立学校職員などは共済組合員本人のみが共済年金の対象となります。

 

  初診日に加入していた年金
障害 等級 国民年金  厚生年金 共済年金
1級 1級
障害基礎
1級
障害基礎
1級
障害厚生
1級
障害基礎
1級
障害共済
2級 2級
障害基礎
2級
障害基礎
2級
障害厚生
2級
障害基礎
2級
障害共済
3級 なし なし 3級
障害厚生
なし 3級
障害共済
1~3級に
該当しない障害
なし なし 障害手当金
(一時金)
なし 障害手当金
(一時金)

 

障害基礎年金の支給額

等級に応じて給付される障害基礎年金の年額(西暦2019年度/令和元年度)です。なお、障害基礎年金は年度毎に改訂されることがありますので、常に最新の情報を確認するようにしてください。

【1級】 780,100円×1.25+子の加算

【2級】 780,100円+子の加算

 

子の加算金額は次の計算式によります。

第1子・第2子               各224,500円

第3子以降                      各  74,800円

※ここで記載されている「子」の条件は下記の通りです。

              ・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子

              ・20歳未満で障害等級1級または2級の障害者

障害厚生年金の支給額

障害厚生年金の支給額は、厚生年金に加入していた期間、給与の金額(払っていた保険料の額)などで異なります。自分が加入している健康保険組合で確認するとよいでしょう。

なお、障害等級が1・2級であれば障害基礎年金だけでなく、配偶者に対する加給年金も支給されます。

障害共済年金の支給額

障害共済年金の支給額は初診日の段階で国民年金にのみ加入していた場合と厚生年金・共済年金に加入していた場合で異なります。

初診日に国民年金のみ加入していた場合は、支給対象となる障害年金は、障害基礎年金のみとなります。

一方、初診日に厚生年金、もしくは共済組合に加入していた場合は、支給対象となる障害年金は、1・2級なら障害基礎年金と合わせて障害厚生年金や障害共済年金も同時に受給できることになります。

障害年金と失業保険は両方一緒にもらえる?

結論から言うと障害年金を給付されている人が就労の意思を持っている場合、失業保険との併給調整の規定がないことから同時受給は可能です。

例えば障害年金を支給されている人が失職し、失業保険を受給しても減額や支給停止されません。また、失業保険も減額されません。

失業保険(基本手当)は、雇用保険法第4条にあるように「働く意思と能力のある」方に支給されます。障害年金受給者でも通常のフルタイム勤務されていた方が退職されたとします。この方は障害が悪化し「働く意思と能力」がなくならない限り、失業保険を受給しながら求職活動をする権利をお持ちだからです。

ただし、障害の内容により、医師より就労不可という判断が出されている場合は、障害年金と失業給付の同時受給は困難と言うこともあり得ます。

受給対象年齢

障害年金には受給対象年齢があります。冒頭で解説した「20歳前障害年金」を別として次の条件に合致していることが必要です。

初診日から1年6ヶ月を経過した日(その間に治った場合は治った日)または20歳に達した日に障害の状態にあるか、または65歳に達する日の前日までの間に障害の状態となった場合です。例えば、初めて医師の診療を受けた日から1年6ヶ月以内に、次の1~8に該当する日があるときは、その日が「障害認定日」となります。

◆障害認定日の例

人工透析療法を行っている場合は、透析を初めて受けた日から起算して3ヶ月を経過した日 
人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日
心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)または人工弁を装着した場合は、装着した日
人工肛門の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設または手術を施した日から起算して6ヶ月を経過した日
新膀胱を造設した場合は、造設した日
切断または離断による肢体の障害は、原則として切断または離断した日(障害手当金または旧法の場合は、創面が治癒した日)
喉頭全摘出の場合は、全摘出した日
在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日

 

この他障害等級の認定等の詳細については、日本年金機構のホームページに掲載されていますので、そちらを参考にしてください。

▼日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150514.html

 

 

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