2024.07.12

退職について

遠回しに退職勧奨された時の対応方法と注意点

会社から急に伝えられた、退職勧奨。

「本当は会社を辞めたくないけど、圧力に負けて退職届にサインしてしまった」という人は、意外と多いと言われています。しかし、それは絶対してはいけません。不本意に退職届にサインをすると、後々自分自身が大損をしてしまうこともあります。

ここでは、退職勧奨を受けた人向けに「退職勧奨の概要」を始め、「会社側が退職勧奨をする目的」「退職勧奨は拒否できるのか」などについてまとめました。退職勧奨をされて悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

退職勧奨とは?

退職勧奨とは、会社側が「退職させたい」と思った従業員に対して、自己都合にて退職を促すことです。別名「肩たたき」とも言われ、以下のような流れで行われます。

退職勧奨の流れ

①上司に呼び出され、「退職してはどうか」と、自己都合退職を勧められる

②すぐに従業員から返答がない場合には回答期限を設けられ、検討を求められる(回答期限は1週間未満であることが多い)

③退職を承諾した場合には、退職時期や処遇について話し合いが行われ、最後に退職届への記入を求められる

退職勧奨はあくまで退職を勧奨するだけのことなので、 「○○日前に告げなければいけない」と言う決まりがありません。つまり、「来週までに退職してはどうか?」と従業員に勧めることもできるのです。

解雇との違いは?

解雇とは、会社側が一方的に雇用を解消させることをいいます。退職勧奨との大きな違いは、"強制力"です。

退職勧奨は、あくまで従業員の同意を得てから、自己都合での退職を促すものですが、解雇は従業員が「ノー」と言った場合でも、会社側は雇用を解消することが可能です。しかし、解雇には「従業員が会社のお金を横領した」などの合理的な理由が必要になります。もし理由もなく解雇を告げると、"不当解雇"となり、法律に触れることになります。

また、解雇する際には、必ず30日前に本人に通知しなければならないと決まっているため、会社側は時間に余裕を持って解雇の準備を進めなければいけません。

会社が退職勧奨する2つの目的

トラブルを防ぐため

会社都合で退職させることは色々と制約があり、簡単に雇用契約を解消させることができません。一方で、退職勧奨は自己都合退職を勧めるだけの話なので、効力がない分、特に制限される法律はありません。

会社都合で雇用を解消すると、会社としてはトラブルの原因になりかねません。そのため、会社としては法律に触れない"自己都合として退職"させることで後々のトラブルを防ごうとしているのです。

解雇にはそれなりの理由が必要だから

理由がなく雇用を解消する事は"不当解雇"にあたり、法律で裁かれます。

そのため、「1ヶ月間で多くの遅刻・欠勤した」などの正当な理由がない限り、会社としては、従業員がどんなに会社にとって不利益な人であったとしても、解雇することは出来ないのです。

法律を納得させるだけの理由がある場合には解雇に至りますが、それ以外は退職勧奨をして、従業員に自己都合退職を促す事が多いとされています。

退職勧奨されたらどうずればいい?

退職勧奨は拒否出来る!

あなたが会社から退職勧奨を受けたとしても、あなた自身が会社を辞めたくない場合には、退職を拒否することができます。退職勧奨は、あくまで退職を促すだけの行為ですので、何の強制力も無いからです。つまり「私は退職したくありません」の一言だけで、退職勧奨の話を終わらせることができるのです。

退職の決定権は、あなたにあります。自分がどうしたいのか、そこを重視して退職の有無を判断しましょう。

それでもしつこく退職勧奨してくる場合には

何度退職を断っても、会社側がしつこく退職勧告してくる場合には、退職強要となり、不当性が出てきます。あまりにもひどい場合には、強要罪に当たり、損害賠償やこれまで受けてきた扱いの撤回を求めることが可能です。そのときは、ボイスレコーダーに会話の内容を録音するなど証拠をしっかり揃えておき、弁護士に相談することも視野に入れてください。

退職するなら「会社都合」で退職しましょう

退職勧奨を受けてその会社を退職すると決めた場合には、"会社都合退職"にすることをおすすめします。なぜなら、自己都合退職よりも会社都合退職の方が、退職後に有益になることが多いからです。

例えば、退職後は、会社から受け取った離職票を元に失業保険の手続きを行うことになりますが、その離職票に記載してある離職理由が自己都合か会社都合なのかによって、失業給付の受給額などの条件が大幅に変わります。

どれだけ違うのかは、下記をご覧ください。

失業給付日数
自己都合退職 90〜150日
会社都合退職 90〜330日
失業給付支給開始日数
自己都合退職 3ヶ月後
会社都合退職 7日後
国民健康保険料の支払い
自己都合退職 通常納付
会社都合退職 最大2年間軽減
失業給付の最大支給額
自己都合退職 118万円
会社都合退職 260万円
受給に必要な雇用保険への加入期間
自己都合退職 過去2年間で12ヶ月以上
会社都合退職 1年間で6ヶ月以上

上記のように、失業給付の最大支給額を見ても、自己都合と会社都合では146万円も差があることが分かります。そのため、退職勧奨をされた場合には、自己都合退職ではなく、"会社都合退職"にしてもらえるようにお願いしましょう。

退職届にサインをしたら自己都合退職になってしまう

退職届にサインをしてしまった時点で、自己都合退職になるので、注意してください。一度、退職届にサインをしてしまうと、その後会社都合退職に変更することは難しくなります。

もし、何の説明も無いまま「これにサインして!」と命令されてサインをさせられた場合には、会社都合退職に変更できる可能性もあります。ただ、その際にはボイスレコーダーやメールなどの証拠が必要となります。そういうものがきちんと残っている場合には、ハローワークに「会社都合に変更してほしい」と相談すれば、変更出来ることもあります。

しかし、証拠がない場合には変更が出来ないため、退職届にサインを求められた場合には、十分に考えてからサインするべきか判断するようにしましょう。

まとめ

退職勧奨を受けた場合に気を付けたいことは、以下の3つです。

・その会社を退職したいのか否かを考える

・簡単に退職届にサインをしてはいけない

・退職する場合には、出来るだけ会社都合退職にする

いきなり退職勧奨を受けると、「これまで一生懸命働いてきたのに」とショックを受けますよね。それでも、その会社を退職するのか、継続して働くのかは自分自身が決めることです。

複雑な気持ちがあるでしょうが、"まずは自分がどうしたいのか"を最優先に考えて下さい。退職を受け入れるかどうかは、今後の人生を大きく左右することになります。じっくりと考えて、自分にとって最良の決断をするように心がけましょう。

 

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