2024.02.29

給付金について

休職と退職、どちらを選ぶべき?迷ったときのポイント解説

「本当に今の仕事を続けていてもいいのだろうか…?」仕事の量やその内容、さらには職場の人間関係、福利厚生などの待遇から、そんな疑問を抱く人は少なくありません。様々な理由で今の会社に不満を持っている方は、意外と多いものです。そんな時「休職」するか、思い切って「退職」してしまうかというのはかなり大きな決断になります。休職してもその後どうしていいか分からない、退職を選ぶのも怖い…という迷いは多いものです。ここでは、会社に不満があり休職か退職か迷った時に、どのように判断すればいいのかについて解説します。

今の会社に不満…休職すべき?退職すべき?

休職か、それとも退職か、いずれにしても会社から離れたいと思う根底には無視できないほどの大きな問題や、積もり積もった小さなモヤモヤがあるはずです。そんな状況の中でも、まずは冷静になって考えたいことがあります。それは、「その不満は今後解消される希望があるのかどうか?」ということです。話し合いや時間の流れで解決できることであれば、一旦休職をして様子を見ることもできますが、解決される希望がないことであれば、復帰してもずっとその苦痛が続くことになります。その場合は、思い切って退職を選んだほうがいいかもしれません。例えば、「嫌いな上司がいるけれど来月異動する予定」とか、「苦手な同僚が退職する予定」、「職場にエアコンがなくて辛かったけれど社員たちの訴えで設置される可能性が出て来た」といったことです。自分の一番のストレスの原因が取り除かれる予定があるならすぐに辞める必要はありませんよね。もちろんそれが解決してもまた別の問題が発生する可能性もあります。ただ、それならそれでその時に考えれば良いことです。もしも不安や不満が解消される見込みがあるなら、その問題が解消されるまで頑張ってみて、少し様子を見ても良いでしょう。ただ、職場環境が変わる見込みがない場合には、先が見えない中で頑張り続けるのも精神を削るものがあります。そうした場合は退職を視野に入れても良いでしょう。

まずは休職を利用するのがおすすめ

今後解決される希望がないからといって、いきなり退職の決断をしてしまうのは時期尚早です。自分でも気付いていない解決方法があるかもしれませんし、退職後の生活についても具体的に考える必要があるからです。まず退職ではなく、休職の手続きを取るのがいいでしょう。休職を認めてもらうためには、病院で発行された診断書が必要というケースが多く見られます。先に心療内科などに通院して、医師の後押しを得て、診断書をもらってから会社に話す流れです。もし信頼できる上司がいれば、先に相談するのもいいかもしれません。職場環境によっては、苦手意識のある人とあまり関わらないようにしてもらえたり、作業内容を変えてもらえたりすることもあります。慢性的な人手不足に悩む会社が多いため、休職するよりは異動などの措置で仕事を続けてもらえるならそちらの方が良いと判断されることもあるからです。自分の状態次第でもありますが、休職に至らずに済むのであれば、「異動できる(苦手な上司・先輩と離れられる)ならそれで十分」と思う人も多いでしょう。会社に相談できる人がいなければ、家族や友人にも頼り、休職について相談したり、知恵を借りたりするのもおすすめです。

退職する前に、まずは「休職」してゆっくり考えよう

退職をするにしても、まずは休職制度を利用して、自身をゆっくりと振り返る時間をつくることがおすすめです。その前に、まずは休職についてきちんと理解しておきましょう。

そもそも休職制度とは?

休職とは、業務外の理由によって一時的に働けなくなった場合でも、解雇を一定期間猶予してくれる制度のことをいいます。通常は体調不良やケガなどの理由で欠勤が続き、労働ができない期間が続くと、会社としては「解雇」という形を取らざるを得なくなりますが、休職制度を利用することで、社員は数週間~数年の期間、仕事をせずに回復に専念する時間を得ることができます。

ただし、休職制度を設けるのは義務ではないため、会社によって制度の有無や内容がそれぞれ大きく異なります。最初から休職制度を設けていない会社もあるのです。また、勤続○年以上でなければ休職制度を使えないというのもよく聞かれる事例です。休職を希望する場合は、会社の就業規則を確認しておきましょう。

会社に休職制度がある場合、大手企業を除けば一般的に「無給」とされるケースがほとんどです。休職中は給与の発生がないため、収入がなくなってしまいます。ただし、精神疾患や何らかのケガや病気に罹って治療をしている場合は、傷病手当金の制度を利用することで、無収入という状況を免れることができます。

「まずは休職」その理由は?

迷っている時にひとまず退職ではなく休職を選んだ方が良いとされる理由は、「退職するか否かを考える時間の猶予」だと思えばわかりやすいでしょう。うつ病や適応障害などを患って仕事ができない状態に陥ってしまう人も少なくありません。そんな時に「退職」という大きな決断をするのは精神的にも良くないのです。後になってから「やっぱり辞めない方がよかったんじゃないか」「早まって間違った決断をしてしまったのでは…」とさらに落ち込んでしまうことも多いからです。そのため、少しでも回復してからゆっくり考えてみた方が良いと言えます。

さらに休職経験者からは、「休職したことで職場の人たちの人間性が見えた」という声もよく聞かれます。これは良い意味でも悪い意味でもありますが、同僚の一人が休職すると知った時の反応とその後の態度が、「休職を経てからこの職場に戻ってきたいかどうか」を判断する材料にもなったということです。心配してくれたり、「会社のことは気にしないでゆっくり休んで」と快く送り出してくれる職場なら人の温かさを感じられます。疲れ切った心には優しさが沁みるでしょうし、復帰したら仲間のために頑張ろうという気持ちが湧くかもしれません。逆に休職と分かった途端に背を向けたり、あからさまに不機嫌になったりするような人たちだったら、早く職場に戻って来たいとは間違っても思わないはずです。

休職はずるい?

休職するべきだと医師や家族に勧められても、休職を躊躇う人も少なくありません。それは「会社の人に迷惑がかかる」といった思いもありますが、「こんな病気で休職をするなんてずるいんじゃないか」「会社の人たちにどう思われるだろうか」といった不安も多いのです。結論から言えば、「休職してずるい」なんてことは一切ありません。誰だって心身ともに健康な方が良いに決まっています。様々な症状の病気を抱え、治療のために不安や焦りとともに休職するのが羨ましいなんて、冷静に考えれば思わないはずです。

ただ、人手不足などで職場環境があまり良くない場合は、周囲から顰蹙を買ってしまうこともあります。「こっちだって大変なのに」「自分の方があの人より仕事量が多いのに」というような不公平感がその原因にあります。そうなると職場とも気まずくなってしまいますよね。そうならないために、主任やリーダーといった管理指導者の立場から、メンタルヘルスの不調について研修を行い、メンタルヘルスケアについて理解を深めることが重要です。普段から会社でそのような研修を行っていない場合は、休職について上司に話をする際に、そうした不安についても相談すると良いでしょう。厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」では事業者や上司に向けたメンタルヘルスケア対策について詳しく紹介されています。

休職期間に払うべきお金、払わなくていいお金4種類を解説!

休職していても会社に在籍している以上、社会保険料等の支払いが発生します。しかし、休職していることで払わなくて済む税金もあります。普段会社の給与で天引きされているため、あまり内訳を知らないという人も多いでしょう。ここでは休職中にどのようなお金を払う必要があるのか、そしてどのようなお金を払わなくて済むのかを紹介します。

 

休職中に支払う必要は… お金の種類 理由
○あり 社会保険料 休職中も健康保険料は払う必要があります。そのため、会社から貸与されている保険証は休職中でもそのまま使用できます。厚生年金も引き続き加入することとなるので、年金保険料も支払う必要があります。
×なし 雇用保険料 雇用保険料は、休職中の給与が発生しない場合、支払う必要はありません。もし傷病手当金を申請するとしても給与ではないため、雇用保険料を支払う必要がないのです。
○あり 住民税 住民税も支払う必要があります。住民税は支払うべき金額が決められていて、通常は会社がまとめて支払い、その金額を差し引いた給与を支給します。休職中は差し引く給与がないため、会社から支払った分を休職している社員に請求することとなります。
×なし 所得税 原則、給与が発生しない場合所得税を支払う必要はありません。所得税は手取りの金額から扶養家族等の計算の末に計算されるため、給与が発生していない場合は所得税も発生しないことになるのです。

なお、こうした社会保険料や税金の支払いは、通常会社で天引きされた状態の給与が支給されているため、特に自分から支払いに行く必要がありません。ただし休職中で給与の発生がない場合は、別途支払う必要があります。一般的には会社への振り込みを求められることが多いでしょう。支払いのタイミングは会社と相談して決めます。

休職中に考えたいこと

休職中には、本当に今の会社で働いていてもいいのかどうかということや、もし退職した場合は退職したあとの具体的な計画について考える必要があります。休職中に自分の気持ちと向き合うことで、もう少し今の会社で頑張ってみようという気持ちになることもあるかもしれません。そこまで前向きな気持ちになれないとしても、退職まで踏み切れなかったり、転職への不安が拭いきれなかったりなどの事情から復職を選ぶ人もいます。

もし退職する決意が固まっているのであれば、退職後のことを本格的に考えなければいけません。次の就職先に関する情報をリサーチしてみたり、自分が目指していることに必要なことは何なのかということを考えたり、まとめたりする時間も必要になります。また、休職中に傷病手当金を受け取っている場合は、最長18ヶ月まで、退職後も傷病手当金を受け取ることができます。そのため、回復しきっていない状態で再就職を急ぐ必要がないので安心です。

退職前に使っておきたい制度

退職前に使っておきたい制度として休職制度を挙げましたが、もう一つ使っておきたいのが「有給休暇」です。有給休暇(年次有給休暇)とは、一定期間勤務した労働者に付与される「賃金が減額されることのない休暇」のことです。有給中は欠勤していても給与が支払われるので、会社を退職する前には必ず消化しておきましょう。また、うつ病などの病気を理由に会社を休職する場合には、健康保険の「傷病手当金」による給付が受けられる場合もあります。こういった制度の利用が可能かどうかも確認しておきましょう。

休職制度を使う際に確認しておくべき4つの内容

休職制度は会社によって有無や内容が違います。そのため、休職を利用するかどうか決めるためにも、あらかじめ自分が勤めている会社の規定で、下記の内容を確認しておきましょう。

 

  • 自分の会社に休職制度があるかどうか
  • 休職できる場合、最長でどのくらいの期間休職が可能なのか
  • 休職中は賃金や手当が支払われるのか
  • 休職中の保険や税金の負担はどれくらいの割合か

 

最低でも、以上のことは事前に調べておくようにしてください。大手の企業であれば休業中も賃金が支払われるのが一般的ですが、中小企業だとほとんどの場合が休職中は賃金が支払われません。収入が途絶える休職期間中に発生する社会保険料の支払いを待ってもらえるかと会社に尋ねておくのも重要です。貯金や家族の援助で猶予をもらわなくても良い場合は特に確認しておく必要はありません。

休職制度を使う際の3つの注意点

会社の休職制度の内容を確認して、いよいよ休職するとなった際、改めて下記の内容に注意しましょう。もし分からない点があれば、休職前に上司や人事に確認しておくとスムーズですよ。

社会保険料の支払い方法

すでに触れた通り、休職中も社会保険料を支払う必要があり、会社への支払い方法は会社により異なります。振込先や支払日、自分が振り込む金額など、必ず事前に確認しておきましょう。もし不都合がある場合は事前に相談しておきましょう。

休職・復職・退職時の必要書類

会社によっては休職する時に「休職届」などの独自の書類を用意している場合があります。同じように、復職する時にも「復職届」といった書類が必要になることがあるのです。その他にも復職の際に「働ける状態」と診断する医師の診断書を必要とされる場合もあります。なお、休職からそのまま退職になった場合は退職願が必要になることが一般的です。

会社と連絡が取れる状態を保つ

休職中は緊急時を除いて会社と連絡を取り合う必要はありません。しかし、何かしらの緊急事態が起きた時は連絡が必要になります。それは会社も同じことなので、「休職中に申し訳ないのですがこれだけ教えてください」と言った連絡が来る可能性もゼロではありません。休職の際に必要だった書類に不備があった場合等は、休職自体が危ぶまれてしまう場合もあります。直接連絡を取るのが嫌だという場合は産業医を通じて連絡するという方法も可能です。

休職中に退職する際の4つの手順

休職しながらじっくり自分の今後を考え、復職ではなく退職を選ぶ人も多いでしょう。復職することなくそのまま退職したいと決めた場合は大まかに下記のような流れになることが一般的です。

1.まずは上司へ連絡

退職したいという希望をまずは直属の上司に連絡します。上司から人事へ連絡してもらえるケースが多いですが、人事へ連絡するよう指示があった場合は人事へも退職の意向を伝えましょう。退職の意向を伝える際には直接話すのがマナーとされていますが、あくまで休職中なので、メールや電話などでも構いません。上司または人事に退職の意向を伝えたら、退職にあたって必要となる書類の確認を行います。退職願や退職届が必要になることが一般的ですが、会社によっては不要とされる場合もあります。書類提出については会社の指示に従いましょう。

2.必要書類の提出

1で確認した必要書類を用意して会社へ送付します。退職願や退職届は、会社で決められたフォーマットがない場合、自分の判断で書くことになります。しかし記入する内容はほとんど定型文のようなものなので心配いりません。退職願や退職届の書き方は「円満退職できる!? 退職願・退職届の書き方」を参考にしてください。また、先に会社から退職に必要な書類一式を送付してくれる場合もあります。その場合は送付された書類を確認する必要があります。

3.備品の返却

2の必要書類を受理した会社からは、その後返却物を送るよう指示があります。2で一緒に返却するよう求められる場合もあります。ただ、保険証を返却してしまうと、退職日までに病院にかかった時、保険証を提示することができません。保険証は退職日まで利用することができます。もしも保険証を早めに返却するよう求められた場合は、通院時に保険証が必要なことを伝え、退職日を過ぎたら返却したい旨を相談してみると良いでしょう。その他、制服や鍵、社員証、機材など、会社から借りていたものを会社へ返却します。

4.退職後の手続き

書類や返却物の送付を行った後はそのまま退職日を迎えて問題ありません。退職日以降には離職票が会社から届くこととなります。離職票や資格喪失証明書などをもとに、健康保険と年金の切り替え手続きを行う必要があります。国民健康保険へ切り替える場合は、役所で健康保険と年金の手続きが可能です。退職日を証明する書類が必要になりますが、自治体によって必要書類が異なる場合があります。役所のホームページ等で確認しておきましょう。また、失業手当の手続きを行う場合は離職票が必須です。離職票は退職日から2週間~1ヶ月ほどで自宅へ郵送されるケースが多いため、もしその期間を過ぎても離職票が届かない場合は会社へ催促の連絡を入れましょう。失業手当の手続きが遅れた場合は、その分給付金を受け取れる時期も後ろ倒しになってしまうからです。失業手当の申請を行いたい場合は「ハローワークで出来るのはどんなこと?」を参考にしてくださいね。

退職後の金銭的不安をお持ちの方は「社会保険給付金サポート」がおすすめ

 

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「社会保険給付金サポート」をおすすめする理由

退職後に失業手当の申請を行えるのは、「働ける状態にある人」だけです。そのため、まだ心身が回復しきっていない人や、もうしばらく休みたいと考えている人は失業手当の対象にならない可能性が高くなります。しかし、失業手当ではない給付金を受け取れる可能性があります。そのため、退職後も療養したい場合や、金銭的な不安がある場合は社会保険給付金サポートに相談するのがおすすめです。条件や仕組みについては無料WEB説明会や個別面談で詳しく教えてくれるので、気軽に相談してみてください。制度について知ることができるだけでも、退職後の選択肢の一つになるはずです。

社会保険給付金サポート

退職後も支払わなければいけないお金について

退職した後、社会保険料は発生しなくなります。ただし、厚生年金から国民年金へ、会社で加入していた健康保険から国民健康保険または社会保険の任意継続、もしくは家族の扶養などに切り替えることとなります。そのため、年金保険料、健康保険料は、支払金額は変わっても退職後にもずっと発生することとなります。また、住民税は会社から天引きされなくなるため、役所からの振替用紙などをもとに自分で支払う必要があります。健康保険料などの金額は役所で源泉徴収票などを元に試算してもらうことができるので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

まとめ

休職と退職、どちらがいいのかの判断がつかない場合は、一旦休職するのがお勧めです。自分のストレスの原因になっているものが解消できる見込みのある場合は休職してから復職しても良いですが、解消する見込みのない場合は思い切って退職するのも一つの方法です。休職をする際には必ず事前に会社の就業規則などから、休職に関する内容を確認しておきましょう。社会保険料は休職中も発生するので注意が必要です。休職したまま退職することも可能なので、その場合は必要書類などを確認して一つずつ対応していきましょう。

 

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