2024.07.19

退職について

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離職票のトラブルあれこれ

退職時に受け取る書類の1つに離職票があります。この離職票ですが、いろいろとトラブルの原因になることがあります。今回はそれらについて気をつけるべき点をまとめました。

離職票が未着!?どうする?

離職票のトラブルとして第一にあげられるのが、退職日から日が経っても元勤務先企業から離職票がなかなか送付してこないことです。これについては、以前「代行サービスを使うメリット・デメリットは?」の記事でも解説しました。

この離職票の送付が遅延する原因として、前にも述べたように元勤務先企業の使用者などが感情的になり嫌がらせとして送付を遅らせている場合もありますが、それ以外にも次のような理由が考えられます。

  • 人手不足等で事務処理が滞っている
  • 退職事由に対し労使双方で疑義があり、作成が遅れている

 

いずれにしろ元勤務先企業は、離職日翌日から10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届の届け出を行う必要があります。さらに、届け出をしなかった場合、雇用保険法第7条違反となります。参考までに違反に対する罰則として、雇用保険法第83条の規定で6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金とされています。

そして、離職票の交付を拒否した場合、雇用保険法第76条第2項(報告等)違反となります。雇用保険法第83条の規定で違反に対する罰則は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金となっています。

もし、離職票が2週間を過ぎても届かない場合、ハローワーク、あるいは退職代行サービスを利用している場合は退職代行業者を通して照会しましょう。

なお、退職代行サービスを利用している場合、単なる問い合わせであれば弁護士が携わっていない業者でも大丈夫ですが、退職先企業と何らかの交渉が発生する場合は、弁護士が携わっていない場合には「非弁行為」として弁護士法に触れますので注意が必要です。

本当は自己都合ではない!?会社都合にできる退職理由とは?

離職票が届いたからと言って、すぐ安心できるとは限りません。書類を作成したのは人間です。場合によっては、記載ミス、最悪の場合は嫌がらせなどがあるかもしれません。まず落ち着いて記載内容をじっくり点検してみてください。

はじめに、退職理由がどう書かれているか確認する必要があります。

① 事情が証明できれば「特定理由離職者」に

例えば人手不足で長時間残業が続き、心身とも疲弊して退職代行サービスを利用し退職した場合、退職理由は「自己都合」と記載されているかと思います。

このような場合でも以前にも説明したように、「自己都合」での退職の場合、失業給付の支給時期は給付制限により、待機期間終了後、3ヶ月後からの支給になります。しかし、長時間残業の長期間継続など次のものに該当する場合はハローワークで相談の上、「特定理由離職者」として給付制限や最大給付日数での扱いが変更されることになります。

  • 病気やケガなど健康上の理由
  • 30日間以上の親の介護や看護などやむを得ない家庭の事情
  • 配置転換による往復の通勤時間が4時間以上かかる遠隔地への職場変更で通勤が困難になったとき
  • 事業所の移転や廃止など
  • 採用時提示の条件と実際の労働条件が著しく異なっていたとき
  • 月45時間を超える残業が3ヶ月連続するなど時間外労働が余りに長時間に及ぶとき

 

なお、これらを理由とする場合は、事由を証明する書類、たとえば長時間残業が長期間継続したことがわかるタイムカードや入退館記録などの3ヶ月分のコピーを提出することが求められます。

特定理由離職者については、厚生労働省のWebサイトでより詳しく解説しています。気になる人は次のPDFを確認してみると良いでしょう。

▼厚生労働省 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/03.pdf

②うっかりミスか嫌がらせか、送られてきた離職票の記載ミスにご注意!

気をつけなければならないのは、企業から送られてきた離職票の記載が間違っている場合です。

下は、ある退職者Yさんの例です。送られてきた離職票の「離職理由」が「3 事業主からの働きかけによるもの」の「(3)希望退職の募集又は退職勧奨」のはずが、「(2)重責解雇(労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇)」に●が記入されていたそうです。

本来、「(3)希望退職の募集又は退職勧奨」の「その他(理由を具体的に         )」かつ記入欄に「退職勧奨に応じて」と記載されるはずでしたが、嫌がらせか、あるいは記載担当者のミスかはわかりませんが……。

受け取った退職者Yさん本人は退職時の心労でこの記載ミスに気がつかなかったのですが、念のために社会保険労務士に確認を依頼したところ、「重責解雇」になっていることがわかり、急遽、退職した企業に返送し、修正してもらうことになったそうです。

この「重責解雇」には重大なペナルティがあります。実は自己の責任による重責解雇とは、つまり離職者に重大な責任がある解雇=「懲戒解雇」をさし、この場合、待機期間が満了した後、ハローワークが定める1ヶ月以上3ヶ月の期間(通常3ヶ月が一般的)、失業手当の支給を受けられません。

退職勧奨に応じて「会社事由」で退職したのに、離職票における「重責解雇」という誤った記載を見逃していたら、この人は失業給付をしばらく受けることができない状態になっていたのです。

このケースでは、退職者Yさんは、社会保険労務士からの修正依頼によって、すぐに訂正されたため事なきを得たそうです。しかし、このように他人の人生に大きな影響を与える離職票でも、会社の経営者が意図してか、あるいは担当者の単なる注意力不足かはわかりませんが、このような危険なミスを行う会社があるのも事実なのです。

離職票が送られてきた際に、内容を点検し、退職時に企業側と合意した覚えのない記載があれば、きちんと訂正を求めることが重要なことがわかるエピソードです。

まとめ

退職時に受け取る離職票について特定事由離職者や記載ミスなど、注意すべき点について解説しました。退職時や失業時は退職にともなう心労などでどうしても注意力が下がってしまうことがありますが、できる限り内容を確認し、不当な記載がないか、きちんと確認することが重要です。もし、自分だけでは確認に自信がないような場合は、社会保険労務士など専門家に依頼するのも有効な手段だと思います。

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