2025.02.12

給付金について

ストレスによる体調不良で退職すると失業保険はもらえる?

ストレスによる体調不良で退職を余儀なくされた場合、失業保険などの支援制度を活用して、退職後の生活を支えることができます。しかし、受給には一定の条件や手続きが必要であり、不安を感じる方も多いでしょう。

本記事では、失業保険の受給可否や条件、傷病手当金や障害年金、生活保護などの具体的な支援制度について詳しく解説します。

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ストレスによる体調不良で退職したら失業保険はもらえる?

職場でのストレスが原因で体調を崩し、やむを得ず退職を選択した場合、経済的な不安を抱える方も多いでしょう。その際に「失業保険が受け取れるのか?」という疑問を持つのは当然です。失業保険は、退職後の生活を支える重要な制度ですが、受給するためには一定の条件を満たす必要があります。

ここでは、ストレスによる体調不良で退職した場合の失業保険の受給可否について、もらえるケースともらえないケースを具体的に解説します。

失業保険がもらえるケース

失業保険は、失業中の生活を支え、再就職を支援する重要な制度です。受給にはいくつかの条件があります。まず大前提として雇用保険に加入し、保険料を納めていなければなりません。

さらに、原則として離職日以前の2年間に12ヶ月以上、雇用保険の被保険者期間が必要です。ただし、倒産や解雇など会社都合で退職を余儀なくされた「特定受給資格者」や、出産や介護などやむを得ない理由で離職した「特定理由離職者」に該当する場合は、被保険者期間が1年間に6ヶ月以上あれば受給資格を得られます。

また、失業保険は単に職を失っただけでなく、「就労の意思と能力があり、積極的に求職活動を行っている」状態であることが受給の要件です。ハローワークでの求職登録や職業相談、求人への応募などが求職活動として認められます。

失業保険がもらえないケース

一方で、失業保険を受給できない場合もあります。特に注意が必要なのは、退職後も体調不良が続き、医師から「就労不可」の診断を受けているケースです。「就労不可」の診断を受けている場合、働く意思や能力がないと判断されるため、失業保険の受給資格を満たさなくなります。

失業保険はあくまで就労を希望する人を支援するための制度です。そのため、体調が回復していない状態では受給が難しいことを理解しておく必要があります。体調が回復していない場合は、まず健康の回復に専念することが求められます。医師と相談しながら治療を続け、就労可能な状態になってから失業保険の申請を行うことが現実的です。

ストレスによる体調不良で退職したら退職理由はどうなる?

ストレスによる体調不良で退職を考える際、「退職理由はどう扱われるのだろう?」という疑問を持つ人もいるでしょう。退職理由は「自己都合退職」か「会社都合退職」のどちらかに分類されますが、判定基準は一律ではなく、個々の状況によって異なります。

ここでは、ストレスによる退職が「自己都合」または「会社都合」のどちらに該当するのかを、それぞれの条件と具体例を挙げて解説します。

自己都合に該当するケース

ストレスが原因で退職を決意した場合、個人的な理由によるものであれば、一般的に「自己都合退職」として扱われます。自己都合退職とは、労働者自身が自発的に退職を選択したケースであり、会社側に直接的な責任がない場合を指します。

具体例として、職場でのストレスによって体調を崩してしまったものの、結婚や転職といった個人的なライフイベントを機に退職を決断した場合は「自己都合退職」となる可能性があるでしょう。また、ストレスを理由に退職を選択した場合でも、労働環境の改善を会社に求めたり、問題点を訴えたりすることなく、自主的に退職を申し出た場合も同様です。

自己都合退職は、失業保険の給付が会社都合退職より遅くなります。失業保険の給付を受けるためには、7日間の「待期期間」を経過したのち、さらに2ヶ月間(2025年4月以降は1ヶ月間)の「給付制限期間」を待たなければなりません。

「特定理由離職者」の場合は給付制限が緩和される

「特定理由離職者」の認定を受けると、失業保険の給付制限が緩和されるうえに、所定給付日数が手厚くなります。

具体的には、次のような人が特定理由離職者に当てはまります。

  • 契約期間満了で更新を希望していたにもかかわらず、会社から一方的に契約を打ち切られた人(雇い止め)
  • 正当な理由のある自己都合により離職した人

 

「正当な理由」はさまざまですが、心身の障害や疾病によって退職した場合も該当します。ただし、特定理由離職者として認定してもらうためには、医師の診断書などが必要になる可能性もあるため注意が必要です。

参考:厚生労働省|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準

会社都合に該当するケース

職場環境や会社側に原因がある場合、「会社都合退職」に該当する可能性があります。会社都合退職に該当するケースは次のとおりです。

  • 勤務先からの解雇
  • 労働条件の相違
  • 賃金の未払い
  • 賃金の低下
  • 長時間の時間外労働
  • 妊娠や出産、介護中の強制労働
  • 職種転換時の無配慮
  • 労働契約の未更新:勤続3年以上
  • 労働契約の未更新:勤統3年未満
  • 上司や同僚などから嫌がらせ
  • 事業主からの退職勧奨
  • 使用者の都合による休業の継続
  • 業務の法令違反

参考:厚生労働省|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準

会社都合退職として認定されるためには、労働環境の問題を証明する必要があります。例えば、上司などの管理者から叱責されて退職したという場合、会社都合退職としてみなされない可能性が高いです。

(9) 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者 

① 上司、同僚等の「故意」の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを繰り返し受けたことにより離職した場合が該当します。

例えば、特定個人を対象とした配置転換又は給与体系等の変更が行われた場合が該当します。 

管理者が、部下の職務上の失態があった場合等に注意、叱責することは通常起こり得ることから、そのことだけをもってはこの基準に該当しません

出典:厚生労働省|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準

また、次のような書類が必要になる可能性があります。

  • 配置転換の辞令(写)
  • 就業規則
  • 労働契約書
  • 賃金台帳など

 

これらの証拠がない場合、会社側が退職理由を「自己都合」と主張する可能性があり、認定が難しくなる場合もあります。

会社都合退職のメリットは、失業保険の給付が優遇される点です。給付制限期間がなく、待期期間の7日間を経過すれば失業保険を受け取ることができます。

失業保険の受給金額・期間

失業保険の受給金額や期間は複雑です。ここでは、失業保険の具体的な受給金額と受給期間について詳しく解説します。

失業保険の受給金額

失業保険の受給金額は「給付日数 × 基本手当日額」で決まります。一般的に、受給額は離職前の賃金の5~8割程度です。計算式は次のとおりです。

1. 賃金日額の計算方法:退職前6カ月の賃金合計 ÷ 180
2. 基本手当日額の計算方法:賃金日額 × 給付率
3. 基本手当総額の計算方法:基本手当日額 × 給付日数

「基本手当日額」とは、雇用保険で1日当たり受給できる金額です。退職前6カ月間の賃金(ボーナスを除く)を180で割った「賃金日額」に、50~80%の給付率を掛けて算出します。

給付率は離職時の年齢や退職前の賃金により異なり、賃金が低いほど給付率が高くなります。

失業保険の受給期間

失業保険の受給期間は、被保険者期間や年齢、離職理由によって異なります。原則として、受給期間は離職日の翌日から1年間(所定給付日数が330日の場合は1年と30日、360日の場合は1年と60日)です。

ただし、病気や妊娠、出産などの理由で働けない期間がある場合、その分だけ受給期間を延長することが可能です。延長できる期間は最長3年間です。

詳しくは次の表を参考にしてください。

 

被保険者であった期間

1年未満

1年以上

5年未満

5年以上

10年未満

10年以上

20年未満

20年以上

年齢

30歳未満

90日

90日

120日

180日

30歳以上

35歳未満

90日

120日

180日

210日

240日

35歳以上

45歳未満

90日

150日

180日

240日

270日

45歳以上

60歳未満

90日

180日

240日

270日

330日

60歳以上

65歳未満

90日

150日

180日

210日

240日

出典:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

 

被保険者であった期間

1年未満

1年以上

5年未満

5年以上

10年未満

10年以上

20年未満

20年以上

年齢

全年齢

90日

90日

90日

120日

150日

出典:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

失業保険の傷病手当とは

「傷病手当」は、病気やケガで療養が15日以上続く場合に受給できる制度です。傷病手当を受ける具体的な条件は以下のとおりです。

  • 基本手当を受給する条件を満たしている
  • 15日以上、あるいは30日以上病気やケガなどにより就職できない
  • 病気やケガの発生時期は、求職申し込みを終えたあとである

 

傷病手当の日額は、基本手当の日額と同額です。他の法令(例えば労災保険など)に基づく類似の給付を受けている期間は、傷病手当は支給されません。

30日以上継続して就業できない場合は、受給期間を最大4年間まで延長することが可能です。ただし、延長後に同じ病気やケガで傷病手当を申請する場合、支給日数は「延長がなかった場合の日数」が上限となります。

申請には、傷病手当支給申請書に受給資格者証など必要書類を添え、住所地を管轄するハローワークで手続きを行います。申請書はハローワークの窓口や公式インターネットサービスからダウンロード可能です。また、病気やケガが治ったあとは、次の失業認定日までに申請を完了させる必要があります。

参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当について

ストレスで体調不良になった際に円満退社するコツ

職場でのストレスが原因で体調を崩し、退職を考えることは決して珍しいことではありません。しかし、退職を決意した後でも、次の職場や生活に向けた準備を円滑に進めるためには、できる限り円満に退社することが望ましいです。

ここでは、ストレスで体調不良になった際に円満退社を実現するための具体的な方法を解説します。

会社の就業規則を確認する

退職を円滑に進めるための第一歩は、会社の就業規則を確認することです。一般的に、就業規則には退職に関する手続きや必要な手順が明記されています。

法律上は、民法第627条に基づき、退職の意思表示は退職希望日の2週間前までに行えば足りるとされています。

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

出典:e-GOV|民法

しかし、業務の引き継ぎや後任者の採用に時間を要するため、1〜3ヶ月前に退職届を出すケースが一般的です。

また、退職届の提出方法や引き継ぎの手順については、会社独自のルールが定められていることもあるため、就業規則を確認しておくことが重要です。たとえば、退職届の形式や提出先、引き継ぎ資料の作成方法などが具体的に記載されている場合があります。

会社や上司への不満を伝えない

退職理由を伝える際、会社や上司への不満を直接的に述べるのは避けるべきです。不満を強調すると、上司や会社との対立を招き、結果として退職手続きがスムーズに進まなくなるリスクがあります。ストレスが原因で体調を崩している場合、感情的になりやすい状況も考えられますが、冷静さを保つことが重要です。

代わりに、「一身上の都合」や「体調不良による業務継続の困難」など、個人的な理由を伝えるようにしましょう。会社側も必要以上に深く追及することなく、退職手続きを進めやすくなります。また、退職理由を簡潔に伝えることで、無用なトラブルを回避できます。

退職の旨を早めに伝える

退職の意思は、希望退職日の1〜3ヶ月前までに直属の上司に伝えるのが望ましいです。業務の引き継ぎや後任者の採用など、会社側の準備期間を確保するためです。

急な退職は同僚や上司に迷惑をかけるだけでなく、自分自身の評価を下げる要因にもなりかねません。退職理由を正直かつ丁寧に伝えることで、上司や同僚も理解を示しやすくなり、スムーズな退職が可能となるでしょう。

会社の規定に従った形式で退職届を作成する

退職の意思を正式に伝える際には、会社の規定に従った形式で退職届を作成し、提出することが重要です。定められたルールに則って手続きを進めることで、スムーズに退職できます。

ストレスによる体調不良で退職する場合、一般的に、退職届には退職理由を「一身上の都合」と記載します。詳細な理由を記載する必要はありません。ただし、会社によっては特定の理由を記載するよう求められる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。

退職届の提出時期や提出先など、手続きに関する会社のルールに従うことも大切です。提出期限が定められていたり、直属の上司に提出するのか、人事部に提出するのかなどが規定されていたりする場合があります。退職を決意したら、まずは会社の就業規則や社内規定をよく読み、退職に関する手続きの流れや必要書類、提出方法などをしっかりと確認するようにしましょう。

感謝の気持ちを伝える

たとえ退職理由が仕事上のストレスによるものであっても、感謝の気持ちを伝えることは重要です。指導してくれた上司や共に助け合ってきた同僚に感謝の意を示すことで、わだかまりを残さず、気持ちよく新たなスタートを切れるようになります。

感謝の伝え方はさまざまです。直接会って伝えるのが最も丁寧ですが、メールや手紙で伝える方法もあります。重要なのは、具体的なエピソードを交えながら感謝の気持ちを伝えることです。

「○○のプロジェクトでご指導いただいたおかげで、大きく成長できました」
「困っていたときに、いつも親身になって相談に乗ってくれてありがとうございました」

このように具体的な言葉を添えることで、より気持ちが伝わるでしょう。

ストレスで体調不良になった人が失業保険を受給する方法

失業保険を受給するためには、いくつかの手続きが必要です。

ここでは、ストレスで体調不良になった人が失業保険を受け取るための具体的な方法と手順について詳しく解説します。

必要書類を揃える

失業保険を受給するための第一歩は、必要な書類を揃えることです。退職後にハローワークで求職申し込みを行う前に、以下の書類を準備しておくことが重要です。

  • 雇用保険被保険者離職票-1・2
  • 雇用保険被保険者証
  • 証明写真(たて3cm×よこ2.4cm、正面上半身)×2
  • 本人名義の普通預金通帳またはキャッシュカード
  • 住所・氏名・年齢が確認できる本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のいずれか1つ)

 

上記の書類を揃えることで、求職申し込み手続きがスムーズに進みます。

ハローワークで求職を申し込む

必要書類を準備したら、次はハローワークで求職の申し込みを行います。失業保険を受給するには、求職活動を行うことが前提となります。

1.求職申込書に記入する
2.必要書類の提出、職業相談を行う
3.雇用保険説明会の日時が決定する

求職申し込みが完了すると「失業等給付受給資格者のしおり」が交付され、雇用保険説明会の日時が案内されます。説明会の日程は申請日から7日後以降となるため、スケジュールを確認しておきましょう。

待機期間を過ごす

求職申し込みが完了すると、7日間の待機期間が設けられます。待機期間中はいっさいの就労が禁止されています。短時間のアルバイトも就労とみなされ、失業保険が支給されない可能性があるため注意しなければなりません。

待機期間中に再就職が決まった場合は、失業保険ではなく再就職手当の申請を検討することになります。

雇用保険説明会に参加する

待機期間が終了した後は、案内された日時に雇用保険受給説明会へ参加します。雇用保険受給説明会では、次の書類が必要です。

  • 雇用保険受給資格者のしおり
  • 印鑑
  • 筆記用具

 

説明会終了後には、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が交付され、初回の失業認定日が案内されます。

失業認定日にハローワークを訪れる

失業保険を受給するには、指定された失業認定日にハローワークを訪れ、就職活動の実績を記入した申告書を提出します。ハローワーク職員が、記載内容をもとに実績を確認します。

失業認定日は通常4週間ごとに1回設定され、初回の認定日は離職票提出日から約3週間後です。

ストレスによる体調不良で退職したときの支援制度

職場でのストレスが原因で体調を崩し、退職を余儀なくされた場合、失業保険以外にも支援制度があります。

ここでは、ストレスによる体調不良で退職した際に利用できる「傷病手当金」「障害年金」「生活福祉資金貸付制度」「生活保護」といった支援制度について詳しく解説します。

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が、業務外の病気やケガで働けなくなった場合に支給される制度です。ストレスによる体調不良が原因で労務が不可能な場合にも、適用される可能性があります。

傷病手当金の受給条件

傷病手当金の受給条件は次のとおりです。

1.業務外の病気やケガで療養中であること
傷病手当金は業務外での健康問題が対象です。例えば、美容整形手術や自由診療は対象外です。業務上や通勤途中の事故や病気は、労災保険が適用されます。

2.療養のため労務不能であること
療養のため労務不能であることは、医師の診断や従事していた業務の内容をもとに判断されます。現職の業務が行えない状態であることが必要です。

3.4日以上仕事を休んでいること
また、療養開始後の連続する3日間(待期期間)を経過した4日目から支給対象となります。共済組合以外の健康保険組合に加入している場合は、連続した3日間の待機期間に有給休暇や公休日も含まれます。

4.給与の支払いがないこと
勤務先から給与が一部支給される場合、その額を差し引いた分が支給されます。ただし、給与が支払われていても、支給される傷病手当金より少ない場合はその差額が支払われるケースもあります。

傷病手当金の受給金額

受給額は以下の式で計算されます。

1日当たりの金額 = 支給開始日前の継続した12カ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3

この金額をもとに、療養が続く期間に応じて手当が支給されます。

傷病手当金の受給期間

傷病手当金を受給できる期間は、「支給日数が合計で1年6ヶ月に達するまで」です。病気で仕事を休んだ場合、最初の3日間は「待機期間」となり、支給の対象外となります。そのため、支給日数の計算は4日目以降から開始します。

1回目の療養期間が1年6ヶ月に満たないうちに職場に復帰し、その後、再び同じ病気で療養が必要になった場合、1回目の療養で残っていた期間が、2回目の療養で受給できる最長期間となります。このように受給期間は通算で1年6ヶ月を超えるまで、何度でも受給することが可能です。

傷病手当金の申請方法

傷病手当金の申請方法は次のとおりです。

1.「健康保険傷病手当金支給申請書」を用意し記入する
2.勤務先と医療機関に必要な項目を記載してもらう
3.必要書類を揃え健康保険組合もしくは協会けんぽに提出する

失業手当と傷病手当金は併給できる?

失業手当と傷病手当金は、同時に受け取ることはできません。それぞれの給付金の支給要件が互いに矛盾するためです。

失業手当は働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、仕事に就けない状態の人が対象です。つまり、健康で働くことができる状態であることが前提となります。

一方、傷病手当金は、病気やケガで働くことができない状態の人が対象です。失業手当は「働く意思と能力があること」を、傷病手当金は「働くことができないこと」をそれぞれ要件としているため、両者を同時に受け取ることはできません。

障害年金

ストレスによる体調不良が長期化し、日常生活や就労に深刻な支障をきたす場合、障害年金の対象となる可能性があります。障害年金とは、国民年金や厚生年金の被保険者が一定の障害状態になったときに支給される公的年金です。

受給条件は次のとおりです。

  • 障害の原因となった病気やけがの初診日が、国民年金加入期間中か、20歳前または60歳以上65歳未満で年金制度未加入の期間内にあること
  • 障害認定日(20歳以降に該当する場合は20歳到達日)に、障害等級1級または2級に該当する状態であること
  • 初診日の前日時点で、初診日がある月の前々月までの保険料納付期間と免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること(例外規定あり)

参考:日本年金機構|障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額

精神的な障害も対象となる場合があります。

生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度は、収入の減少や失業などによって生活資金が不足している場合に、生活の立て直しを支援するための公的な貸付制度です。各都道府県の社会福祉協議会が窓口です。

具体的には、低所得世帯や障害者世帯、高齢者世帯など、経済的に困窮している世帯を対象に、生活再建に必要な資金を低金利または無利子で貸し付けてもらえます。

生活保護

生活保護は、生活困難な人々に最低限の生活を保障する制度です。主な受給要件は次のとおりです。

  • 不動産、自動車、預貯金等のうち、ただちに活用できる資産がない(不動産、自動車は例外的に保有が認められる場合があります)
  • 就労できない、または就労していても必要な生活費を得られない
  • 年金、手当等の社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない

参考:厚生労働省|生活保護制度

生活保護の相談・申請窓口は、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。

まとめ

ストレスによる体調不良で退職した際、失業保険をはじめとする各種支援制度の活用が重要です。失業保険は、一定の要件を満たせば体調不良による退職でも受給可能ですが、「就労の意思と能力」が必要です。

退職後の生活を支えるその他の支援として、「傷病手当金」は健康保険に加入している人が対象で、業務外の病気やケガによる療養時に支給されます。長期的な障害が残る場合には「障害年金」、収入減少で生活資金が不足した場合には「生活福祉資金貸付制度」や「生活保護」を利用する選択肢があります。

こうした制度を活用するためには、条件の把握や手続きが必要です。退職コンシェルジュの「社会保険給付金サポート」では、どのような社会保険給付金を利用できるかご提案するだけでなく、複雑な申請も手厚くサポートいたします。まずは、不安や悩みをお気軽にご相談ください。

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