2025.02.11
給付金について
失業保険は前職の離職票と合算できる?条件や注意点などを解説
失業保険は、失業中の生活を支えるための重要な制度です。前職の離職票と合算できるため、退職して「雇用保険に加入していた期間が短いかも」と心配する方でも、受け取れる可能性があります。
本記事では、失業保険の仕組みや申請方法をはじめ、受給条件や注意点について詳しく解説します。前職の離職票がない場合の対処方法や申請する方法など、申請手続きに役立つ情報も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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失業保険は前職の離職票と合算できる
失業保険は、前職や過去の雇用保険加入期間を合算して申請できます。たとえば、直近の勤務先で雇用保険に加入していた期間が短い場合でも、それまでの加入期間を合わせることで、受給資格を満たせる可能性があります。
合算する場合、各勤務先から発行された複数の離職票が必要です。ただ、離職票を合算できる会社数に制限はありません。そのため、複数の職場での雇用保険加入期間を一つにまとめて計算することで、受給条件をクリアできる場合があります。
失業保険を申請する際には、すべての離職票を揃え、ハローワークで手続きを行います。
そもそも失業保険とは
失業保険は、働く意欲があり、就労できる状態の求職者を対象に給付を行う仕組みです。
ここでは、受給条件や受給金額、受給期間などを詳しく解説します。
失業保険の概要
失業保険は、労働者が失業した場合や雇用の継続が困難となる事由が発生した際の給付制度です。目的は、失業中の生活や雇用の安定を図ることにあります。
失業保険は失業中の経済的支援を提供するだけでなく、次の就労先を見つけるための活動を促進する役割も果たしています。
失業保険の受給条件
失業手当を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
1.雇用保険に加入し、保険料を支払っていること。
2.離職前2年間に12カ月以上の雇用保険の被保険者期間があること(特定受給資格者の場合は、離職前1年間に6カ月以上)
3.就労の意思と能力があり、求職活動を行っていること。
給付額は、失業前の給与額と年齢によって変動します。また、給付開始までの期間は、退職理由によって異なります。例えば、自己都合退職の場合、給付開始までに2カ月(2025年4月以降は1カ月)の給付制限期間が必要です。
失業保険の受給金額
失業手当の受給額は、「給付日数 × 基本手当日額」で決まります。一般的には、受給額は離職前の賃金の5〜8割程度です。
計算手順は以下の通りです。
1.賃金日額の計算方法:退職前6カ月の賃金合計 ÷ 180
2.基本手当日額の計算方法:賃金日額 × 給付率
3.基本手当総額の計算方法:基本手当日額 × 給付日数
「基本手当日額」とは、雇用保険で1日当たり受給できる金額を指します。退職前6カ月間の賃金(ボーナスを除く)を180で割った「賃金日額」に、50〜80%の給付率を掛けたものです。給付率は離職時の年齢や退職前の賃金により異なり、賃金が低いほど給付率が高くなります。
失業保険には上限が定められています。令和6年8月1日現在の上限は次のとおりです。
30歳未満 |
7,065円 |
30歳以上45歳未満 |
7,845円 |
45歳以上60歳未満 |
8,635円 |
60歳以上65歳未満 |
7,420円 |
失業保険の受給期間
失業保険の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。ただし、所定給付日数が330日の場合は1年と30日、360日の場合は1年と60日となります。
病気やけが、妊娠、出産、育児などで30日以上働けない場合、働けなくなった日数分だけ受給期間が延長されます。延長できる期間は最長3年間です。
失業保険を合算して申請できる条件
失業保険は自己都合退職や会社都合退職など、退職理由によって必要な加入期間などが異なります。
ここではそれぞれの条件を紹介します。
自己都合退社の場合
自己都合退職とは、労働者本人の都合により退職することをいいます。自己都合退職では、退職日以前の2年間に、通算して12カ月以上の雇用保険の被保険者期間が必要です。
例えば、短期間で転職を繰り返していた場合でも、それぞれの職場での雇用保険加入期間を合算することで、12カ月以上という条件を満たせる可能性があります。ただし、申請時にはすべての離職票を提出しなければなりません。退職理由が自己都合である場合、失業保険の給付開始までには一定の待機期間が設けられる点にも注意が必要です。
ただ、自己都合退職の場合でも、次に当てはまる場合は「特定理由離職者」に該当し、必要になる雇用保険加入期間が「離職前1年間に6カ月以上」となります。
- 契約期間満了で更新を希望していたにもかかわらず、会社から一方的に契約を打ち切られた人(雇い止め)
- 結婚や出産、育児、介護などのために、仕事を続けるのが難しくなった人
特定理由離職者に該当するかどうかの判断は、ハローワークが行います。
参考:厚生労働省|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
会社都合退職の場合
会社都合退職とは、会社側の都合により労働契約が解除され、労働者が退職を余儀なくされることです。会社都合退職の場合、特定理由離職者と同じく、条件は「離職前1年間に通算して6カ月以上の雇用保険の被保険者期間があること」です。
会社都合退職の場合も、複数の勤務先での雇用保険加入期間を合算できます。たとえ1つの職場での加入期間が短かったとしても、過去の職場での加入期間を合わせることで6カ月以上の条件を満たせる可能性があるでしょう。
会社都合退職は、自己都合退職に比べて失業保険の給付条件が緩和されているため、失業保険の申請や給付開始までの期間も短縮される傾向にあります。申請時には、会社都合での退職理由が明記された離職票が必要となるため、正確な記載内容を確認することが重要です。
失業保険を合算して申請する際の注意点
失業保険を合算して申請する際には、いくつかの重要な注意点があります。事前に注意点を把握しておくことで、スムーズに手続きを進められるでしょう。
ここでは、特に重要なポイントを解説します。
空白期間が1年以上あると申請できない
失業保険を受け取るには、退職日から次の就職日までの空白期間が1年未満である必要があります。空白期間が1年を超えると、最後に退職した会社の加入期間のみが反映される仕組みです。
2つの会社で加入期間を合算すれば受給資格を満たすケースでも、空白期間が1年を超えると、条件を満たせない場合があります。失業中は次の仕事を早めに見つけることが重要です。
また、申請時にはすべての離職票を提出する必要があります。過去の勤務先から発行された離職票もきちんと保管しておきましょう。
失業保険を一度受け取った場合は加入期間がリセットされる
失業保険を一度受給すると、雇用保険の加入期間がリセットされる点にも注意が必要です。例えば、長期間勤務して加入期間が長くなった場合でも、失業保険を利用すると、それまでの期間がリセットされてしまいます。そのため、失業保険を再度利用するには、新たに加入期間を満たさなければなりません。
失業保険を受け取らずに早期に転職を決めると、加入期間を維持できます。失業保険を利用するかどうかは、状況に応じて慎重に判断することが重要です。
前職の離職票がない場合の対処方法
なんらかの理由で離職票が手元にない場合でも、適切に対処することで申請を進めることができます。
ここでは、前職の離職票がない場合の対処方法を解説します。
前職の会社に再発行してもらう
離職票がない場合、前職の会社に連絡し、再発行を依頼しましょう。離職票は失業保険申請に必要な重要書類であり、再発行を求める権利は法的に認められています。
離職した者は、厚生労働省令で定めるところにより、従前の事業主又は当該事業主から徴収法第三十三条第一項の委託を受けて同項に規定する労働保険事務の一部として求職者給付の支給を受けるために必要な証明書の交付に関する事務を処理する労働保険事務組合に対して、求職者給付の支給を受けるために必要な証明書の交付を請求することができる。その請求があつたときは、当該事業主又は労働保険事務組合は、その請求に係る証明書を交付しなければならない。 |
再発行の依頼は、会社の総務部門や人事部門に直接連絡するのが一般的です。依頼する際には、必要な情報(氏名、退職日、連絡先など)を正確に伝えましょう。会社によっては手続きに時間がかかる場合もあるため、早めに依頼することが重要です。
離職票の発行には一定の期限が設けられているため、退職後すぐに手続きに取りかかることをおすすめします。なんらかの理由で再発行できない場合は、次に紹介する方法を検討してください。
前職の管轄区域にあるハローワークに問い合わせる
前職の会社と連絡が取れない場合や会社が離職票の発行を怠っている場合には、前職を管轄するハローワークに相談する方法があります。離職票は、退職者本人がハローワークの窓口や電子政府の総合窓口「e-Gov」で再発行できます。
再発行の手続きには、主に次のものが必要です。
- 雇用保険被保険者離職票再交付申請書
- 身分証明書(運転免許証や住民票の写しなど)
- 雇用保険被保険者証
- 印鑑
失業保険の申請を進めるためには、早めにハローワークに相談することが重要です。再発行の理由が「破損」の場合は、破損した離職票も提出する必要があります。
再発行の手順は次のとおりです。
1.離職した事業所の住所を管轄するハローワークで申請書を入手する
2.申請書に必要事項を記入する
3.ハローワークの窓口または「e-Gov」で申請する
離職した会社を管轄するハローワークで申請すると、即日再発行される可能性があります。管轄外で申請する場合は、数日~1週間ほどかかる場合があるため注意が必要です。
失業保険の申請方法
失業保険の申請には、所定の手順を踏み、必要な書類を揃える必要があります。
ここでは失業保険の申請方法について、具体的な手順を解説します。
必要書類を揃える
失業保険を申請するには、ハローワークで求職申し込みを行う前に、必要な書類を準備することが重要です。必要書類は以下の通りです。
- 雇用保険被保険者離職票—1・2
- 雇用保険被保険者証
- 証明写真(たて3cm×よこ2.4cm、正面上半身)×2
- 本人名義の普通預金通帳またはキャッシュカード
- 住所・氏名・年齢が確認できる本人確認書類
- 個人番号確認書類
上記の書類を揃えたうえで、ハローワークで手続きを進めましょう。
ハローワークで求職を申し込む
退職後、最初に行うべき手続きがハローワークでの求職申し込みです。具体的な流れは以下の通りです。
1.求職申込書に記入する
2.必要書類の提出、職業相談を行う
3.雇用保険説明会の日時が決定する
申し込み後、受給資格が決定すると「失業等給付受給資格者のしおり」が渡されます。説明会の日時案内を忘れずに記録しておきましょう。
待機期間を過ごす
求職申し込みが完了すると、7日間の待機期間が設けられます。待機期間中は、ハローワークが失業状況を調査します。
短時間の勤務やアルバイトも就労とみなされるため、この期間中は一切の就労を避ける必要があります。待機期間中に入社日を迎えた場合、再就職手当の受給ができなくなるため注意が必要です。
待機期間は、求職活動の準備や失業保険の申請に必要な情報整理の時間として活用しましょう。
雇用保険説明会に参加する
求職の申し込み時に案内された説明会に参加することが必要です。説明会では、以下の事項が説明されます。
- 失業保険の仕組み
- 受給の流れ
- 求職活動の方法
説明会に持参するものは以下の通りです。
- 雇用保険受給資格者のしおり
- 印鑑
- 筆記用具
説明会終了後には、以下の書類が渡されます。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
また、初回の失業認定日が案内されるため、日時を忘れずに確認してください。
失業認定日にハローワークを訪れる
失業認定日とは、ハローワークが失業の事実を認定する日を指します。この日に以下の手続きを行います。
- 失業認定申告書の提出
- 求職活動の実績を報告
通常、失業認定日は4週間ごとに設定されます。初回の認定日は、離職票を提出した日から約3週間後に設定されることが一般的です。
まとめ
失業保険は失業中の生活を支えるための重要な制度です。前職や過去の雇用保険加入期間を合算することで、受給資格を満たせる可能性があります。離職票が手元にない場合の対処方法として、前職の会社への再発行依頼やハローワークへの相談が有効です。
失業保険について相談したい場合は、社会保険給付金サポートサービスの利用も検討してみましょう。退職コンシェルジュの「社会保険給付金サポート」なら、専門家が給付金に関する相談から、必要書類の準備、申請手続きまでを丁寧にサポートします。
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