2025.02.10

給付金について

自己都合退職でも失業保険はもらえる!いつから?金額は?

失業保険は、職を失った際の生活を支える大切な制度です。しかし、受給手続きや条件には多くの注意点があります。特に、アルバイトをする場合や退職理由によって、給付に影響が出ることも少なくありません。

本記事では、失業保険を受給するための具体的な方法や注意点を詳しく解説します。再就職に向けて安心して準備を進められるよう、ぜひ参考にしてください。

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自己都合退職でも失業保険はもらえる?

自己都合退職でも、一定の要件を満たせば失業保険(基本手当)を受け取ることができます。しかし、受給にはいくつかの条件がある点に注意が必要です。

ここでは、自己都合退職における失業保険の受給要件を詳しく解説します。

失業保険の受給要件とは

失業保険(基本手当)を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 雇用保険に加入し、保険料を支払っていること
  • 離職前2年間に12カ月以上の被保険者期間があること
  • 就労の意思と能力があり、求職活動を行っていること

 

まず、雇用保険は給与から天引きされているため、通常の雇用契約に基づいて働いていれば加入している場合が多いです。

次に、被保険者期間ですが、自己都合退職の場合でも、特定理由離職者に当てはまれば、直近1年間に6カ月以上の被保険者期間で受給資格を得られます。特定理由離職者には、次のような人が該当します。

  • 契約期間満了で更新を希望していたにもかかわらず、会社から一方的に契約を打ち切られた人(雇い止め)
  • 結婚や出産、育児、介護などのために、仕事を続けるのが難しくなった人

 

また、失業保険を受給するには就労の意思と能力が必要で、求職活動を行うことが必須です。

自己都合退職とは

自己都合退職とは、労働者が自身の意思や個人的な事情に基づいて退職することを指します。例えば、以下のような理由が挙げられます。

  • 結婚や出産に伴うライフイベントの変化
  • 育児や介護など家族のサポートが必要な場合
  • 配偶者の転勤や家族の事情による転居
  • 自己成長やキャリアチェンジを目的とした転職
  • 職場環境や仕事内容への不満や適応困難

 

自己都合退職では、労働者が自発的に退職を決めるため、会社都合退職と比べて失業保険の受給条件が厳しくなる傾向にあります。

例えば、会社都合の場合、7日間の待機期間が終われば失業保険をすぐに受け取ることが可能です。しかし、自己都合の場合、2カ月間(2025年4月以降は1カ月間)の給付制限が設けられています。

自己都合でもらえる失業保険の金額

失業保険の受給額は「給付日数 × 基本手当日額」で計算されます。一般的には、離職前の賃金の5〜8割程度が目安です。

具体的な計算手順は以下の通りです。

1. 賃金日額の計算方法:退職前6カ月の賃金合計 ÷ 180
2. 基本手当日額の計算方法:賃金日額 × 給付率
3. 基本手当総額の計算方法:基本手当日額 × 給付日数

「基本手当日額」とは、雇用保険で1日当たり受給できる金額です。退職前6カ月間の賃金(ボーナスを除く)を180で割った「賃金日額」に、50~80%の給付率を掛けて求められます。給付率は離職時の年齢や退職前の賃金により異なり、賃金が低いほど給付率が高くなります。

ただし、賃金日額には上限と下限が設けられており、賃金が上限を超える場合は上限額が、下限を下回る場合は下限額が適用されます。上限額と下限額は次のとおりです。

 

賃金日額の上限額(円)

基本手当日額の上限額(円)

29歳以下

14,130

7,065

30〜44歳

15,690 

7,845

45〜59歳

17,270

8,635

60〜64歳

16,490

7,420

 

賃金日額の下限額(円)

基本手当日額の下限額(円)

全年齢

2,869

2,295

参考:厚生労働省|雇用保険の基本手当日額が変更になります

自己都合退職で失業保険を受け取るデメリット

自己都合退職で失業保険を受給する際には、いくつかのデメリットが伴います。特に注意すべき点として、給付開始までの期間や総支給額が会社都合退職と比べて不利になることが挙げられます。

ここでは、自己都合退職に伴う主なデメリットを詳しく解説します。

待機期間が終わったあとに給付制限期間がある

自己都合退職では、「ハローワークに離職票を提出した日」から7日間の待機期間が設けられます。待機期間が終了した後、通常は2カ月間(2025年4月以降は1カ月間)の給付制限期間が追加されます。給付制限期間中は、失業保険を受け取ることができません。

なお、5年間に3回以上自己都合退職を繰り返した場合、給付制限期間は3カ月間に延長されます。さらに、重大な過失による解雇(重責解雇)においても、待機期間終了から3ヵ月の給付制限が発生します。

また、公共職業安定所の紹介や指示された職業訓練を拒否した場合、拒否日から1ヵ月間の給付制限が設けられます。

給付日数が少なくなる

失業保険の給付日数は、退職理由に応じて異なります。特定受給資格者や一部の特定理由離職者の場合、給付日数は最大で330日です。また、就職困難者(障がい者や高齢者など)の場合は最大360日が設定されています。

一方で、上記以外の場合は最大で150日です。自己都合はここに含まれるため、最大で150日となります。

総支給額が少なくなる

失業保険の総支給額は、以下の計算で求めることができます。

「1日あたりの失業保険の金額(基本手当日額)」×「給付日数(所定給付日数)」

1日あたりの金額は自己都合退職でも会社都合退職でも変わりません。しかし、上述の通り、自己都合退職の場合は給付日数が少なくなるため、結果的に総支給額が減少します。

例えば、1日あたりの基本手当日額が5,000円で給付日数が150日の場合、総支給額は750,000円となります。同じ条件で給付日数が330日であれば、総支給額は1,650,000円となりじます。

2025年4月1日から改正される自己都合退職による失業保険の給付制限

2025年4月1日から、自己都合退職者の給付制限期間が従来の2ヶ月から1ヶ月に短縮されます。つまり、自己都合で退職した場合でも、待機期間(7日間)終了後、1ヶ月の給付制限を経て、従来よりも早く失業給付を受け取ることが可能となります。 ただし、5年以内に3回以上、正当な理由のない自己都合退職をした場合、給付制限期間は3ヶ月です。

さらに、離職期間中や離職日前の1年以内に教育訓練を受講した場合、給付制限が解除されるようになります。

参考:厚生労働省|「雇用保険法等の一部を改正する法律」の成立について

自己都合退職でも失業保険がすぐにもらえる退職理由

自己都合退職の場合でも、特定の条件を満たせば「特定理由離職者」として認定され、給付制限期間を経ずに失業保険を受け取ることが可能です。

ここでは、主な該当理由について詳しく解説します。

病気や障害など健康上の問題

健康上の問題で業務の遂行が困難になった場合、特定理由離職者として認定されます。具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • 業務に必要な体力を維持できず、業務が継続できなくなった場合
  • 心身の疾患や障害が原因で仕事を続けられず、職場からの適切なサポートが得られなかった場合

 

これらの理由で離職する際には、医師の診断書を提出する必要があります。診断書には、疾患や障害の詳細、就業継続が困難である旨が記載されている必要があります。適切な証明を行うことで、給付制限期間が免除されます。

妊娠、出産、育児等

妊娠や出産、育児を理由に退職した場合も、特定理由離職者に該当します。特に以下の条件を満たす場合が対象です。

  • 妊娠や出産により、勤務が困難になった場合
  • 離職後30日以上、職業に就けない状況で失業手当の受給期間延長措置を利用した場合

 

この場合、離職票を提出する際には、受給期間延長通知書を添付する必要があります。この通知書を提出することで、育児や出産後にすぐに失業保険を受け取れる可能性があります。

介護など家庭の事情

両親や家族の介護を理由に退職した場合も、特定理由離職者として扱われます。以下の条件を満たす必要があります。

  • 離職時点で、親族の介護が30日以上必要と見込まれること
  • 介護の必要性を証明するため、医師の診断書や扶養控除等申告書を提出すること

 

このようなケースでは、離職理由が家庭の事情によるものであることを証明できれば、給付制限が免除されます。

配偶者や扶養親族との別居生活が困難

配偶者や扶養親族との別居が経済的または家庭環境上困難になった場合も、特定理由離職者に該当します。たとえば、次のような状況が該当します。

  • 配偶者の転勤により、同居が難しくなった場合
  • 経済的理由で別居が維持できなくなった場合

 

この場合、転勤辞令や住民票の写し、扶養控除等申告書などの書類を提出することで特定理由離職者と認定されます。

通勤が不可能または困難

通勤が不可能または著しく困難になった場合も、特定理由離職者として扱われます。以下のようなケースが該当します。

  • 勤務先が遠方に移転し、通勤が現実的に不可能になった場合
  • 保育所が確保できず、通勤が困難になった場合

 

提出書類は具体的な理由によって異なるため、詳細は厚生労働省やハローワークで確認する必要があります。

希望退職の募集による離職

企業が希望退職者を募集し、それに応募して退職した場合も特定理由離職者に該当します。この場合、以下の条件を満たす必要があります。

  • 人員整理を目的とした退職であること
  • 企業側からの正式な退職募集に基づく離職であること

 

必要な書類についてはハローワークの窓口で確認することをお勧めします。

職業訓練を受ける場合

公共職業訓練を受講する場合も、給付制限期間が免除されます。この訓練は、再就職に必要な技能や知識を身につけるために国や自治体が提供する支援です。受講できる講座内容や期間はハローワークごとに異なりますが、訓練を開始することで失業手当の支給が即座に始まる場合があります。

失業保険のもらい方

失業保険は、職を失った際に生活を支える重要な制度です。しかし、受給するためにはいくつかの手続きが必要で、適切な準備をしなければ受給が遅れたり資格を失う場合もあります。

ここでは失業保険をもらうための具体的な手順を詳しく解説します。

必要書類を揃える

失業保険の受給手続きには、まず必要書類を揃えることが重要です。ハローワークで求職申し込みをする前に、以下の書類を準備してください。

  • 雇用保険被保険者離職票-1・2
  • 雇用保険被保険者証
  • 証明写真(たて3cm×よこ2.4cm)×2
  • 本人名義の普通預金通帳またはキャッシュカード
  • 本人確認書類
  • 個人番号確認書類

ハローワークで求職を申し込む

退職後はハローワークで求職の申し込みを行います。具体的には次の流れになります。

1.求職申込書に記入する
2.必要書類の提出、職業相談を行う
3.雇用保険説明会の日時が決定する

求職の意思があり失業保険を受けたい場合、離職票の提出と求職の申し込みが必要です。

求職申し込み後、受給資格が確認されると「失業等給付受給資格者のしおり」が渡されます。「雇用保険説明会」の日時案内は申請日から7日後以降になるため、忘れずにメモしておきましょう。

待機期間を過ごす

受給資格が認定されると、7日間の待機期間が設けられます。待機期間中は失業状況を調査するため、いかなる就労も控えなければなりません。短時間のアルバイトでも就労とみなされるため、注意が必要です。

待期期間中に入社日を迎えると、再就職手当を受給できなくなるため、再就職手当の受給資格を失う可能性があるため、慎重に行動しましょう。

雇用保険説明会に参加する

求職申し込み時に案内された雇用保険説明会に必ず参加してください。この説明会では、失業保険の仕組みや受給方法、求職活動の進め方が詳しく説明されます。参加時には以下を持参してください。

  • 雇用保険受給資格者のしおり
  • 印鑑
  • 筆記用具

 

説明会終了後、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が渡され、初回の失業認定日が案内されます。

失業認定日にハローワークを訪れる

「失業認定日」は、ハローワークが失業状態を認定する日です。失業認定日には失業認定申告書を提出し、就職活動の実績を報告しなければなりません。

認定日は通常4週間ごとに1回設けられ、初回の認定日は離職票提出から約3週間後に設定されます。認定を受けることで、失業保険の支給が開始されます。

失業保険をもらう際にはアルバイトに注意

失業保険は、失業中の生活を支えるための重要な制度ですが、受給期間中にアルバイトを行う場合、さまざまなルールが設けられています。これらのルールを理解せずにアルバイトを行うと、失業保険の受給資格を失ったり、支給額が減額されることがあります。

ここでは、待機期間中、給付制限期間中、失業保険受給中のアルバイトについて、それぞれの注意点を詳しく解説します。

待機期間中のアルバイト

失業保険の受給手続きが完了すると、最初に7日間の「待機期間」が設けられます。待機期間は失業の状態にあることをハローワークが確認する期間であり、原則として就労が認められていません。

短時間でもアルバイトを行った場合、その日数分だけ待機期間が延長されます。例えば、待機期間中に2日間アルバイトを行った場合、本来7日間で終了する待機期間が9日間に延長されます。さらに、待機期間中にフルタイムの仕事を開始した場合、再就職手当の受給資格を失いかねません。

給付制限期間中のアルバイト

給付制限期間は、失業保険の給付が開始されるまでの準備期間です。アルバイトを行うことが認められていますが、一定の条件を超える労働を行うと失業保険の受給資格に影響が及ぶ場合があります。
具体的には、以下の条件に該当する場合、「就職」とみなされかねません。

  • 週の所定労働時間が20時間以上である場合
  • 雇用期間が31日以上見込まれる場合

 

「就職」と判断されると、雇用保険への加入が必要となり、失業保険の受給資格が失われます。また、就労状況を隠したり虚偽申告を行うと、不正受給として処罰の対象になる可能性もあります。給付制限期間中にアルバイトをする場合は、週の労働時間や雇用契約内容を十分に確認することが重要です。

失業保険受給中のアルバイト

失業保険の受給中であっても、一定の条件下でアルバイトを行うことは可能です。ただし、以下のような制約が設けられているため、注意が必要です。

1.1日4時間以上の労働を行った場合
2.1日4時間未満の労働の場合
3.週20時間以上の労働や31日以上の雇用見込みがある場合

1日4時間以上の労働を行った場合、その日分の失業手当の支給が先送りされます。たとえば、1週間に3日間、4時間以上アルバイトを行った場合、3日分の失業手当が後日に繰り越されてしまうため注意が必要です。

1日4時間未満の労働の場合は、原則として失業手当が支給されます。ただし、1日の収入と失業手当の合計額が退職直前6カ月間の平均日額の80%を超えた場合、手当が減額または支給停止となります。

週20時間以上の労働や31日以上の雇用見込みがある場合、雇用保険の加入対象となり、「失業状態」ではないとみなされかねません。失業保険の支給が停止されるだけでなく、受給資格自体が取り消されるリスクもあります。

まとめ

失業保険は、失業中の生活を支える重要な制度であり、正しい手続きと適切な対応が求められます。本記事では、失業保険を受給するための手続き、待機期間や給付制限期間中の注意点、受給中のアルバイトに関するルールを詳しく解説しました。

失業保険の受給には、必要書類の準備やハローワークでの手続きが欠かせません。さらに、待機期間や給付制限期間中、受給中のアルバイトにおいては、労働時間や収入額に関する厳格な規定があるため、これらを理解し、適切に対応することが重要です。不注意による不正受給や手続きの遅延は、失業保険の支給停止や減額の原因となりますので、細心の注意を払いましょう。

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