2019.06.28

転職・再就職について

当たれば大きい?「スタートアップ企業」への転職ポイント

暮らしを便利にする新商品や画期的な新サービス開始等を行う企業としてスタートアップ企業の存在感が増しています。退職代行サービス等を使って退職し、スタートアップ企業の求人に応募してみようかと思っている人もいることでしょう。

成功した際の「のびしろ」がとにかく大きいスタートアップ企業に、創業期のうちに社員として入って、会社を一緒に大きくしていくという働き方もあるかもしれませんよね!

今回はそんなスタートアップ企業への転職について考えてみたいと思います。

「スタートアップ」と「ベンチャー」は何が違う?

まず、スタートアップ企業とベンチャー企業って何が違うのでしょうか。どちらも新しい技術やサービス、製品(イノベーション)を提供するために起業された小さな会社というイメージがあるかもしれません。イノベーションを提供する企業、という基本的な認識でその点では同じかと思いますが、大きな違いは起業家が目指すゴールなのです。

ベンチャー企業は、中期から長期に新しいサービスや製品を生み出そうとします。それに対してスタートアップは短期間でイノベーションを起こし「EXIT(イグジット)」することを目的にしていることが多いようです。

このEXITとはどういう意味でしょうか。スタートアップに関連するメディア等では次のような意味で用いられているようです。

 ①市場での株式公開(IPO

 ②株式譲渡による事業売却(BuyOut

同じ企業家でも複数の分野で起業した会社を持ち続けている場合はベンチャー、起業し上手くいった会社をすぐに売却し次の新しい事業分野で起業を繰り返すような人はスタートアップというようなイメージでしょうか。

なお、ベンチャーは巨大企業化している場合もあり、「メガベンチャー」という言葉もあります。決して企業規模の小さな会社がベンチャーやスタートアップとは限らないのです。GAFA、いわゆるGoogle、Amazon、Facebook、Appleなどはまさにメガベンチャーですし、日本でも楽天やリクルート、サイバーエージェントなどが該当すると言われています。

このようにスタートアップ企業は短期でのイノベーションの提供とEXITを目的にしていることから、創業期に社員になり、ストックオプションなどを得ることができれば大きな利益を手に入れることができる可能性があります。高値上場でその株を売ることができれば莫大なキャッピタルゲイン(売り買い利益)をえられるかもしれません。

企業生存率は諸説あり

ちなみに転職先として考える場合、スタートアップ企業の企業生存率はどのくらいなのでしょうか。残念ながらスタートアップ企業に限定した明確かつ公的な統計はありません。ここでは一般的な中小企業の生存率で考えてみることにします。

以前は「起業の10年生存率は1割」などと言われていましたが、中小企業庁『中小企業白書2017年版』で見てみると実は企業生存率は高いようです(図参照)。

中小企業白書2017年版「起業後の企業生存率の国際比較」より引用

これは元データが帝国データバンクのデータであり、同社の調査対象となっている企業の統計データのため、個人起業レベルの零細企業までが全て含まれているわけではないと思います。ですから実際はもう少し低い数値になると思われますが、それでも仮にグラフ内の米英ドイツなどと同じ水準だとしても5年後で半数前後は生き残っている可能性はあるということです。ただし残り半数は5年で廃業や倒産しているということですから、転職先として見た場合、その点でのリスクは認識しておく必要があるということではないでしょうか。その上で、自分自身が参加したい魅力ある事業だと考えられるなら、トライしてみる価値はありそうです。

スタートアップ転職はここに注意

将来的な廃業や倒産リスクは踏まえた上で、成功する方に賭ける、という人もいると思います。そういう場合において転職する場合のリスクとして、あらかじめ考えておくべき事柄を挙げてみますので、それも踏まえて転職活動の参考にして頂ければと思います。

希望の仕事ができるかどうか

これは小規模企業に共通する課題ですが、希望職種に専念できるかどうかは入ってみないと分からない、あるいは当初は専念できたが事業規模が拡大する中で兼任業務が増えることもあるかもしれません。

中堅企業や大企業であれば部門間の職能がきっちり別れていますが、中小企業など小規模企業では兼任だったり、あるいは事業内容の大幅変更で自分の希望職種が無くなったりすることをあるていど想定しておく必要があります。当然、短期間で転職者が上級職種にステップアップしても、仕事の内容は変化すると考えておきましょう。

経営者と労働者の距離が近い

これも「小規模企業あるある」という話になりますが、どうしても経営者と労働者のコミュニケーションが濃密になるので、経営者のポリシーにマインドが近いか、あるいは共感するようでないと辛くなる場合があります。よくも悪くも個性的な経営者と付き合っていけるかがポイントと言えるかもしれません。

待遇・環境

これはスタートアップ企業に限らない話です。入社時の社長面接では非常に雰囲気が良く、経営層の方針や考えにも共感できたとします。ところがその後、採用連絡で給与や勤務形態の条件を見たら、こちらの希望とは違っていた、ということがあります。

もちろん、良い方に予想外だった、ということなら問題はないのですが、正社員雇用のはずだったのが、当初は契約社員・アルバイト契約だったり、試用期間の給与があまりに低く抑えられていたり、という事例もあるようです。そのような状況になった場合、提示された条件が自分にとって妥協できる範囲なのか、どうしても譲れない部分なのか、ということをしっかり考える必要があると思います。

スキル成長の機会はあるか

小規模企業では「ゆっくり人を育てる余裕がない」場合があります。中堅クラス以上の企業であれば3ヶ月は研修期間、といったこともありますが、小規模企業では最初から即戦力であることが求められることが多く、足りないスキルは自力で学ぶしかないことがあります。自分の持っているスキルがそのスタートアップ企業で活かせるものなのか、あらかじめ見極めておくことが重要になってきます。

起業時期ゆえのつらさがあるかも

成長企業だとしても人手が足りず、人の手配が追いつかなければブラック企業化する可能性もあります。

スタートアップの廃業リスク

前掲の『中小企業白書2017年版』グラフでは、1年目で日本では5%の企業が廃業しています。スタートアップ企業も仮に同率だとすると、20社に1社は廃業していることになります。

失業給付を受けるには「退職(失業)した日より前の2年間に、雇用保険に加入していた(被保険者だった)期間が合計で1年以上必要」「ただし、会社の都合によって失業した特定受給資格者の場合は、退職(失業)した日より前の1年間に、雇用保険の被保険者であった期間が合計で6ヶ月以上ある場合でも要件を満たす」なので、失業給付を受けている状態、かつスタートアップに転職後、6ヶ月経過後の廃業であれば失業給付を受給できます。これを満たさないで急に廃業・失業になると失業給付を受けられないので、その点は覚えておく必要があります。

また、廃業で失業すると結果的に転職回数が増えてしまいます。採用時に非公開の採用条件として転職回数制限を設定している企業では、書類選考段階で足きりされる可能性もあります。

低迷する日本経済の救世主はスタートアップ企業

いろいろとスタートアップ企業のリスクについて書きましたが、実は、小規模企業であればどこでもあり得ることがほとんどというのが実際のところです。

失われた20年」やITやAI分野での周回遅れ等で日本経済の停滞が言われていますが、それらを打破する力の1つがスタートアップ企業だと考えます。もし、スタートアップ企業に転職するのであれば、事前にそのスタートアップ企業が手掛ける事業の有望性などを調べ、条件面など納得してから入社すれば、ここで列挙したようなリスクを自分自身の力でポジティブに変え、さらには日本経済を変えることができるかもしれません。やりがいは相当ありそうですね。

 

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