2024.01.19
退職について
退職後の手続きリスト、順番に行うべき重要事項を解説
退職後にやる手続きを期日に沿って順番に5つ解説します。
これまで勤めていた会社を辞める際には、業務の引継ぎ以外にも税金や保険等の事務手続きが必要です。
また、手続きの内容や方法は人によって異なります。
学校や会社でも教えてくれない部分なので、期限切れになって慌てないように順番に確認しましょう。
退職したらやることを順番に紹介
会社をやめたら、今まで会社にやってもらっていた各種手続きを自分で行う必要があります。
そうした税金や保険に関する失業後の手続きは期間が決まっています。
抜け漏れがないように、退職前後にすることを順番にチェックしていきましょう。
退職前にやることリスト
退職前にやっておくべきことは、以下の4つとなります。
・業務の引継ぎ
・取引先への挨拶
・有休消化、返却物の確認
・会社から受領する書類の確認
★業務の引継ぎ
自分の仕事の引き継ぎについては、細かく業務の進め方や手順について書き記しておきましょう。
自分の代わりに入った新入社員がその仕事を引き継ぐことになる可能性もあります。
誰が見ても分かるようなマニュアル作りをしておきましょう。
退職日直前はバタバタしてしまうこともあるので、余裕を持ったスケジュールで進めていくのがおすすめです。
★取引先への挨拶
社外の人と連絡を取り合う業務をしていた場合は、自分が仕事で関わっていた人に挨拶を忘れないでください。
その際、会社によっては「部署異動」など、退職の事実を明かさないよう指示がある場合があります。
その場合は会社の意向に従い、どのような内容で取引先に挨拶すべきか事前に上司と相談しておきましょう。
また、もし退職することを取引先に伝える場合、「職場の人間関係が嫌になって…」「残業代が出なくて…」といったネガティブな退職理由を取引先の人に伝えるのはNGです。
「家庭の事情」などとすると角が立たないので、伝えやすい理由の一つです。
★有休消化、返却物の確認
退職前に、きちんと有給を消化できるか必ず確認しておきましょう。
自分では全ての有給を消化するスケジュールで退職日をイメージしていたとしても、人材不足などが原因で有給を消化できないまま退職となる可能性もあります。
有給消化中に転職先の面接を受けようと思っている場合などは、スケジュールが合わせられないなど思わぬトラブルが起こる事のないよう、早めに確認しておきましょう。
また、意外とトラブルが多いのが備品の返却です。
代表的なものでいえば健康保険証の他、社員証やカードキー、社用PCやスマートフォン、制服などのことです。
会社によっては返却期限などが決められている場合もありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
★会社から受領する書類の確認
退職に関する必要書類、主に「離職票」の発行に関しても会社の認識と行き違いがあったというケースが多く見られます。
離職票とは、退職後に転職先が決まっていない場合、雇用保険の失業給付を受け取るために必要な書類です。
何も言わなくても発行して送ってくれる会社もありますが、「退職者が自己申告しない場合は発行しない」という会社も少なくありません。
離職票は退職後に郵送で送られてくることが一般的です。
そのためなかなか届かず、失業給付の申請に時間がかかってしまうケースもあります。
退職日までに「離職票は送ってもらえるのか、発行依頼が必要か」という点を、あらかじめ人事または総務に確認しておくのがよいでしょう。
退職後にやることリスト
退職後にやるべきことは、以下の5つとなります。
①住民税の支払い方法の変更
②失業手当(雇用保険の失業給付)の申請
③年金の切り替え
④健康保険の切り替え
⑤所得税の確定申告
人によって必要な手続きが異なりますので、後程詳しく解説します。
やるべき事 | いつ | どこで |
住民税の支払い方法の変更 | – | – |
失業手当(雇用保険の失業給付)の申請 | 離職票を受け取ったら | 住民票の住所を管轄するハローワーク |
年金の切り替え | 退職後14日以内 | 住民票の住所を管轄する年金事務所 |
健康保険の切り替え | 国民健康保険:退職後14日以内 任意継続:退職後20日以内 |
国民健康保険:市区町村の窓口(オンラインも可) 任意継続:加入中の健康保険組合(郵送) |
所得税の確定申告 | 退職の翌年の2月中旬から3月中旬頃 | 住民票の住所を管轄する税務署(郵送も可) |
退職後の手続きに必要な書類
以下に必要となる可能性のある書類を6つ紹介しますので、自身は何の書類を受け取っておく必要があるのか、事前に確認しておきましょう。
書類名 | 何の手続きに必要か | 会社から受け取るのか?自分で用意するのか? |
離職票 | ・失業手当の申請 | 会社 |
源泉徴収票 | ・年末調整、確定申告 | 会社 |
退職証明書 | ・転職先への提出 ・国民年金や国民健康保険への切り替え ・失業手当の申請 |
会社 |
雇用保険被保険者証 | ・転職先への提出 ・失業手当の申請 |
会社 |
健康保険被保険者資格喪失証明書 | ・健康保険の切り替え | 会社 |
年金手帳(基礎年金番号通知書) | ・年金の切り替え | 本人(会社保管の場合あり) |
退職後にすること① 住民税の支払い方法の変更
住民税は、前年1月~12月の所得にかかる税金を、翌年6月~翌々年の5月に納める必要があります。
在職中は給与から控除されている事が多く、これを「特別徴収」といいます。
その他に、納付書に指定された金融機関の窓口やコンビニエンスストア、役場の窓口などで現金で支払う「普通徴収」という方法で納付する事も可能です。
また、納付書がPay-easy(ペイジー)に対応していれば、インターネットバンキングやATMを利用して納付する事も可能となります。
退職後1か月以内で転職する場合
転職先へ入社時、転職先の人事部に給与所得者異動届出書を提出し、住民税の特別徴収を依頼します。
すると、引き続き毎月の給料から天引きされます。
手続きをしなかった場合は普通徴収になりますので、市区町村から送付される納付書で支払います。
退職後1か月以上離職期間がある・自営業になる場合
退職後すぐに再就職しない場合は、退職時期によって以下のように納付方法が異なります。
・1月から5月に退職する場合→最後の給与または退職金から一括で残りの住民税が天引きされる
例:3月退職の場合→3.4.5月分が3月の給与から天引きされる
・6月から12月に退職する場合→①翌年の5月分まで一括で天引きしてもらう ②普通徴収に切り替えて、以降は自分で支払う ③(次の会社が決まっている場合)次の会社で継続して特別徴収してもらう どれを選んでも納める金額は変わりません。
6月から12月に退職し、翌年の5月分まで一括で天引きしてもらう場合は、事前に会社に相談しておくとよいでしょう。
退職後にすること② 失業手当(雇用保険の失業給付)の申請
退職後すぐに再就職しない場合は、失業手当の申請が可能となります。
失業手当とは、雇用保険の被保険者の方が退職後の求職活動を行っている期間中に受け取れる給付金の事です。
正しくは「雇用保険の基本手当」といい、失業給付や失業保険とよばれる事もあります。
失業手当の申請を行うためには決められた条件を満たしている必要があります。
条件の詳細は、「失業手当(失業保険)のもらい方は?自己都合退職でも受給する条件・金額計算方法」の記事をご確認ください。
失業手当の申請には、必ず「離職票」が必要となります。
一般的には退職後1~2週間で会社から離職票が送られてきますので、受け取り次第、住民票の住所を管轄するハローワークで手続きを行いましょう。
自己都合退職の場合は手続きを行ったおおよそ3か月後、会社都合退職の場合は手続きを行ったおおよそ1か月後に、約1か月分の失業手当を受給する事ができます。
退職後にすること③ 年金の切り替え
在職中は厚生年金に加入している事が多いですが、退職後は国民年金に切り替える必要があります。
失業期間がない場合(厚生年金を継続する場合)
失業期間がない場合は、年金事務所等で切り替えの手続きを行う必要は原則ありません。
転職先の会社に年金手帳や基礎年金番号通知書を提出する事で、転職先の会社が手続きを行ってくれます。
また、年金は月末時点で在籍している会社を通して支払いを行うため、離職期間があっても退職月と同じ月に転職先に入社する場合は、国民年金への切り替え手続きをする必要はありません。
例:4/10 A社退職、4/25 B社入社
失業期間がある場合、自営業になる場合
日本国内に住んでいる、20歳以上60歳未満の自営業者・農業者・学生および無職の方とその配偶者の方を「第1号被保険者」といいます。
退職後すぐに再就職しない場合は「第1号被保険者」に当てはまりますので、退職後は厚生年金から国民年金へ切り替える必要があります。
退職後14日以内に住民票の住所を管轄する年金事務所等で手続きを行う必要があり、手続きには、年金手帳や基礎年金番号通知書が必要となります。
なお、失業状態で国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、保険料免除制度・納付猶予制度を申請することができます。
参考:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度【日本年金機構】
希望の際は、国民年金の切り替えを行うタイミングで、併せて申請を行うとよいでしょう。
家族の扶養に入る場合
配偶者の健康保険の被扶養者になった人は国民年金の「第3号被保険者」となり、国民年金保険料の納付義務がなくなります。
被扶養者になるためには、原則として退職後の見込み年収を130万円未満に抑える必要があります。
なお、見込み年収には失業手当や傷病手当金などの各種手当も含まれますので、1日あたりの手当金の受給金額が3,612円以上となる場合は扶養に入る事ができません。
扶養に入る場合は、配偶者などの被保険者が所属している会社に手続きを行ってもらう必要があります。
会社側は、被扶養者になる事実が発生した日から5日以内に、管轄の年金事務所で手続きを行う必要がありますので、必要書類はスムーズに提出できるよう準備しておきましょう。
・被扶養者(異動)届(会社が作成)
・被扶養者の戸籍謄本・戸籍抄本か住民票の写し
・収入を確認することができる書類(雇用保険受給資格証、離職票、直近の確定申告書などのコピーや課税証明書など)
退職後にすること④ 健康保険の切り替え
日本には国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)という制度があるため、すべての国民が公的医療保険に加入することが義務付けられています。
そのため、会社が加入している健康保険組合もしくは国民健康保険に必ず加入する必要があります。
退職日の翌日から健康保険が切り替わると覚えておきましょう。
失業期間がない場合
退職後、転職先の入社日まで1日も空きがない場合は、自身で健康保険の切り替え手続きを行う必要はありません。
失業期間がある場合、自営業になる場合
退職後、転職先の入社日までに1日でも空きがある場合は、健康保険の切り替え手続きを行う必要があります。
退職後の健康保険については、以下の3つから自身に合っているものを選択してください。
①国民健康保険
国民健康保険に加入する場合は、退職後14日以内に市区町村の国民健康保険課で切り替えの手続きを行う必要があります。
国民健康保険は退職日の翌日が属する月の分から保険料が発生し、日割りという概念はありません。
届出が遅れても、保険料は最長2年までさかのぼって請求されますので、手続きを先延ばしにしたからといってお得になるということはありません。
手続きに必要な書類は以下となります。
・資格喪失証明書・離職票・退職証明書など社会保険資格喪失年月日のわかるもの
・本人確認書類(運転免許証、パスポートなど写真および氏名、生年月日のある官公署発行のもの)
・マイナンバーカード(お持ちの方)
・キャッシュカードまたは預貯金通帳・通帳届出印など
②社会保険の任意継続
退職後も、在職中に加入している健康保険組合に最大2年間まで加入し続ける事が可能です。
扶養している家族がいる場合は、そのまま扶養を引き継げるというメリットがあります。
しかし在職中の保険料は、会社と自身で折半して支払っていますが、退職後は全額自己負担となります。
そのため保険料はおおよそ2倍になると思っておいた方がよいでしょう。
③扶養に入る
退職後の見込み年収が130万円未満の場合、扶養に入る事ができます。
しかしこちらも国民年金同様、見込み年収には失業手当や傷病手当金などの各種手当も含まれますので、1日あたりの手当金の受給金額が3,612円以上となる場合は扶養に入る事ができません。
家族の扶養に入る場合
年金と同様に、扶養に入る場合は、配偶者などの被保険者が所属している会社に手続きを行ってもらう必要があります。
会社側は、被扶養者になる事実が発生した日から5日以内に、管轄の年金事務所で手続きを行う必要がありますので、必要書類はスムーズに提出できるよう準備しておきましょう。
・被扶養者(異動)届(会社が作成)
・被扶養者の戸籍謄本・戸籍抄本か住民票の写し
・収入を確認することができる書類(雇用保険受給資格証、離職票、直近の確定申告書などのコピーや課税証明書など)
退職後にすること⑤ 所得税の確定申告
所得税の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得額と、所得の状況に応じて課せられる所得税を計算して確定させ、申告する手続きです。
同年内に就職した場合
同年内に就職した場合は、転職先で10~12月に年末調整を行います。
前職の源泉徴収票が必要となりますので、転職先から提出を求められたらスムーズに対応できるようにしておきましょう。
同年内に就職しなかった場合、自営業の場合
10~12月の年末調整のタイミングで会社に所属しておらず、1月1日から12月31日までの1年間の所得が48万円以上の人は確定申告が必要です。
原則翌年の2月16日から3月15日に手続きを行う必要があり、必要書類は以下となります。
①確定申告書
②マイナンバーカード
※マイナンバーカードを所有していない場合は以下2点
・番号確認書類(通知カードや、マイナンバー付きの住民票の写しまたは住民票記載事項証明書)
・本人確認書類(運転免許証、健康保険証、身体障害者手帳、パスポート、在留カードなど)
確定申告書は国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用して作成する事ができます。
源泉徴収票に記載されている内容を入力する必要がありますので、事前に準備をしておきましょう。
まとめ
退職した時に必要となる手続きはたくさんあります。
再就職先を探す事だけに注力しすぎると、うっかり手続きを忘れてしまう事もあるかと思います。
しかしそれぞれの手続きには期限が決められており、また手続きを行う場所も様々です。
ずっと同じ職場で勤務してきた人にとっては慣れない手続きが多いですが、自分は何の手続きが必要になるのか事前に確認しておきましょう。
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