2024.11.08

給付金について

傷病手当金の金額を早見表でチェック!支給額が変わるケースや退職後の扱いも解説

安心して療養するためには、傷病手当金の支給額を把握することが重要です。傷病手当金は支給開始後にも、状況によって金額が増減することがあるため、注意が必要です。

この記事では、全国健康保険協会(協会けんぽ)における、傷病手当金の具体的な支給額について、わかりやすく解説します。具体的にイメージできるよう、支給日額の早見表も作成しましたのでぜひご活用ください。

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傷病手当金の支給額はいくら?

傷病手当金の支給額は給料の2/3程度ですが、直近の給料だけでは正確な支給額は計算できません。正確な支給額は以下の方法で計算できます。

傷病手当金の支給額の計算方法

傷病手当金は、実際に休業した日数に応じて支給されます。休業した日数には、公休日や土日も含まれます。たとえば、8月いっぱい休むのであれば、31日分の傷病手当金が支給されます。

傷病手当金の1日あたりの支給額は、次の式で計算します。

  • 支給開始日以前の継続した12か月間の各月の「標準報酬月額」を平均した額 ÷ 30日 × 2/3

 

ただし、健康保険の加入期間が1年未満の場合は、以下のいずれか低いほうの金額を用いて計算します。

  • 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
  • 加入している保険組合の標準報酬月額の全体平均額

 

傷病手当金の支給日額は、実際の給料の額ではなく、「標準報酬月額」を用いて計算する点にご注意ください。健康保険では給与額に応じて50の等級が設定されており、それぞれの等級ごとに「標準報酬月額」が決められています。

等級は給与明細などに記載されている場合があるため、確認してみましょう。分からなければ、会社の担当者に問い合わせてみるのがおすすめです。

参考:全国健康保険協会|傷病手当金

会社が傷病手当金を嫌がる理由と対処法について詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
参考:会社が傷病手当金を嫌がる3つの理由!申請方法や対処法も紹介

傷病手当金の支給日額を早見表でチェックしよう

標準報酬月額や等級が分からなくても、傷病手当金の支給日額の目安を知りたいという方もいるでしょう。

そこで、給与額から傷病手当金の支給日額の目安が分かる早見表を作成しました。ぜひ参考にしてください。

実際の月給

標準報酬月額(等級)

傷病手当金の支給日額

146,000~155,000

150,000(12)

3,333

155,000~165,000

160,000(13)

3,553

165,000~175,000

170,000(14)

3,780

175,000~185,000

180,000(15)

4,000

185,000~195,000

190,000(16)

4,220

195,000~210,000

200,000(17)

4,447

210,000~230,000

220,000(18)

4,887

230,000~250,000

240,000(19)

5,333

250,000~270,000

260,000(20)

5,780

270,000~290,000

280,000(21)

6,220

290,000~310,000

300,000(22)

6,667

310,000~330,000

320,000(23)

7,113

330,000~350,000

340,000(24)

7,553

350,000~370,000

360,000(25)

8,000

370,000~395,000

380,000(26)

8,447

395,000~425,000

410,000(27)

9,113

425,000~455,000

440,000(28)

9,780

455,000~485,000

470,000(29)

10,447

485,000~515,000

500,000(30)

11,113

515,000~545,000

530,000(31)

11,780

545,000~575,000

560,000(32)

12,447

575,000~605,000

590,000(33)

13,113

参考:全国健康保険協会|令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)

なお、過去1年間で給与に変動があった場合や、健康保険の加入期間が1年未満の場合は、上記の表と実際の支給額が異なる場合があります。

傷病手当金の支給額が変わるケース

傷病手当金は、あくまで休業中の生活を保障するための制度です。そのため、休業中であっても、給与の支払いがある場合や他の社会保険制度を利用できる場合は、傷病手当金の支給額が減額されたり、支給が停止されたりすることがあります。

給与が支払われている場合

傷病手当金の支給要件の一つに「休業した期間について給与の支払いがないこと」があります。給与の支払いがある場合は、原則として傷病手当金は支給されません。

ただし、給料が傷病手当金の支給日額より少ない場合には、その差額が支給されます。

労災保険で休業補償給付を受けている場合

仕事を休む理由が、労災保険の休業補償給付と同一の病気や怪我である場合には、そもそも傷病手当金は受給できません。

労災保険の休業補償給付を受けている間に、別の病気や怪我で仕事を休む必要が生じた場合でも、傷病手当金は原則として支給されません。

ただし、休業補償給付の日額が傷病手当金の支給日額より少ない場合には、その差額が支給されます。

出産手当金を受給している場合

出産手当金と傷病手当金の両方の受給資格を満たす場合は、出産手当金が優先されます。そのため、出産手当金を受給できる期間は、傷病手当金の支給は停止されます。

出産手当金の金額が傷病手当金よりも少ない場合には、差額分が傷病手当金より支給されます。

別の傷病で傷病手当金を受給している場合

新たに病気や怪我をした場合、すでに傷病手当金を受給している傷病と関連があると判断された場合は、同一の傷病とみなされ、新たに傷病手当金を申請することはできません。

関連のない傷病の場合は、傷病手当金を新たに申請することができます。この場合、すでに受給している傷病手当金と重複する期間については、支給額が高いほうの日額のみが支給されます。


画像出典:全国健康保険協会|令和4年度健康保険委員研修会

障害厚生年金や障害手当金を受給している場合

傷病手当金と同じ傷病で、障害厚生年金や障害手当金を受給する場合には、障害厚生年金や障害手当金は全額支給され、傷病手当金の支給額が調整されます。障害厚生年金と併給する場合、傷病手当金は、障害厚生年金との差額分のみ支給されます。

障害手当金を受給する場合は、傷病手当金の支給は一時停止となります。障害手当金は性質上、高額であり、傷病手当金の支給日額を超えるためです。具体的には、障害手当金の支給額を傷病手当金の支給日額で割った日数分、傷病手当金の支給が停止されます。

なお、障害厚生年金や障害手当金の受給には時間がかかるため、手続き中に傷病手当金が過払いとなる可能性があります。その場合は、後日、傷病手当金を返還する必要があるので注意しましょう。

傷病手当金を受給中に退職したらどうなる?

傷病手当金は、退職と同時に支給が打ち切られるわけではありません。しかし、退職後に傷病手当金を受給するには、一定の条件を満たす必要があります。

退職を検討している方は、以下の点にご注意ください。

引き続き傷病手当金を受給できるケース

退職時に傷病手当金を受給している場合は、退職後も継続して受給できます。

ただし、以下の条件を満たす必要があります。

  • 退職日までに1年以上継続して健康保険に加入している(任意継続や国民健康保険の加入期間を除く)
  • 退職日に出勤していない

 

退職日当日に出勤し給与が支給されると、「働ける状態になった」とみなされ、傷病手当金の支給が停止されかねないため注意が必要です。

また、在職中の傷病手当金申請手続きは会社が行いますが、退職後は自分で手続きを行う必要があります。退職後もスムーズに傷病手当金を受給できるよう、事前に手続き方法や必要書類などを確認しておきましょう。

傷病手当金をもらいながら働く方法は可能なのか知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
参考:傷病手当金をもらいながら働く方法はある?収入を得る方法や注意点を解説

退職したら傷病手当金の支給がストップするケース

退職日当日に出勤すると、傷病手当金の支給は停止されます。「出勤=働ける状態になった」とみなされ、傷病手当金の受給要件を満たさなくなるためです。また、退職後に雇用保険を受給する場合も就労が可能とみなされかねないため、傷病手当金の支給は停止されます。

一度、退職後に傷病手当金の支給が停止されると、再び受給することはできません。退職する際はこれらの点に注意し、慎重に判断しましょう。

退職後に申請して傷病手当金を受給し始めるケース

退職後でも傷病手当金の申請ができる場合もあります。

具体的には、以下の2つの条件を満たしている必要があります。

  • 退職日までに1年以上継続して健康保険に加入している(任意継続や国民健康保険の加入期間を除く)
  • 退職日の前日までに連続して3日以上出勤せず、退職日も出勤していない(医師が労務不能と認めている必要あり)

参考:全国健康保険協会|傷病手当金

なお、退職後の傷病手当金申請手続きは、会社ではなく、健康保険の窓口で行います。申請には2年間の時効があるため、注意が必要です。医師や会社に記入してもらう書類もあるため、早めに手続きを行いましょう。

まとめ

病気や怪我で長期的な療養が必要になると、経済的な不安も大きくなります。社会保険に加入している場合は、傷病手当金制度を利用することで、経済的な不安を軽減できる可能性があります。本記事を参考にして、傷病手当金の支給額や受給条件などを理解し、安心して療養生活を送れるように準備しておきましょう。

とはいえ、体調が優れないなか、制度を最大限活用する方法を考えるのは大変です。制度に対する不明点や不安がある場合にはぜひ、退職コンシェルジュの社会保険給付金サポートをご活用ください。傷病手当金をスムーズに受給できるよう、専門スタッフが丁寧かつ迅速にサポートいたします。

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