2024.11.04
給付金について
退職給付金には何がある?種類別の支給額をチェックしよう
退職後の生活を支える退職給付金には、さまざまな種類があります。失業保険から年金、退職金まで、それぞれの制度には独自の支給対象と支給額が設定されており、すべてを把握するのは困難です。
本記事では、これらの退職給付金の種類を詳しく解説し、各制度の支給対象や支給額を分かりやすく説明します。
退職給付金の支給要件や申請方法について知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
参考:退職後にもらえる給付金一覧!8種類の制度を詳しく紹介
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失業保険の支給対象と支給額
失業保険は雇用保険の「基本手当」と呼ばれるものです。まずは失業保険の支給対象と支給額についてみていきましょう。
失業保険の支給対象
失業保険の支給対象は次のとおりです。
1.「失業の状態」にあること
2.離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること
(1)は、就職できる能力があるにもかかわらず、「本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない」という状態を意味します。そのため、次の状態にある方は、失業保険の支給対象にはなりません。
・病気やけが
・妊娠・出産・育児
・定年退職
・結婚などで家事に専念
(2)においては、特定受給資格者または特定理由離職者については、自己都合退職や会社都合退職など、退職の理由に応じた要件を満たす必要があります。
失業保険の支給額
失業保険の支給額は、 「基本手当日額 × 給付日数」です。基本手当日額は、離職前6か月間の総支給額をもとに計算されます。おおむね、総支給額の50〜80%程度が支給されます。
給付日数は年齢や雇用保険の加入期間によって異なりますが、90日〜330日です。
広域求職活動費の支給対象と支給額
広域求職活動費とは、ハローワークの支援を受けて、住んでいる場所から遠く離れた地域で就職活動をする際に交通費や宿泊費を支給してもらえる制度です。
広域求職活動費の支給対象と支給額について説明します。
広域求職活動費の支給対象
広域求職活動費の支給対象は次のとおりです。
・雇用保険の受給資格者であること
・紹介された求人が、居住地以外の地域にある事業所の常用求人であること
・訪問する事業所までの距離が200キロメートル以上であること
・待期期間終了後に広域求職活動を始めたこと
・広域求職活動にかかる費用が、事業主から支給されないか、または支給額が広域求職活動費の額に満たないこと
参考:厚生労働省|「広域求職活動費」 と 「移転費」 のご案内
このように、広域で求職活動を行っている失業者が対象です。主に、指定された地域外での就職活動に伴う交通費や宿泊費などの費用を支援します。支給を受けるには、事前に求職活動の計画書を提出し、活動後には証明書の提出を求められる場合があります。
広域求職活動費の支給額
広域求職活動費の支給額は、実際に発生した実費をベースに計算されます。対象となる費用は次のとおりです。
・鉄道賃
・船賃
・航空賃
・車賃
・宿泊料
参考:厚生労働省|「広域求職活動費」 と 「移転費」 のご案内
ただし、制度の運用上、支給額には上限があります。具体的な支給額は、求職活動の内容や距離、期間などによって異なります。
傷病手当金の支給対象と支給額
傷病手当金は、病気休業中の被保険者と家族の生活を保障するための制度です。ここでは、傷病手当金の支給対象と支給額について説明します。
傷病手当金の支給対象
傷病手当金の支給対象者は社会保険の加入者であり、次に当てはまる人です。
・業務外の病気やケガの療養による休業であること
・仕事に就くことができないこと
・連続する3日間を含む4日以上仕事に就けなかったこと
・休業期間中に給与の支払いがないこと
参考:全国健康保険協会|病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
支給を受けるには、医療機関で「労働不能な状態である」と診断を受ける必要があります。診断書の取得は必須ではありません。
傷病手当金の支給額
傷病手当金の支給額は次のとおりです。
・1日当たりの金額:支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)
つまり、直近の給与の約3分の2に相当する金額です。実際の支給額は、休業日数に応じて決定されるため、休業期間が長くなるほど総支給額も増加します。
就職促進給付の支給対象と支給額
就職促進給付とは「再就職手当」、「就業促進定着手当」、「就業手当」等が支給されるものです。支給対象と支給額についてみておきましょう。
就職促進給付の支給対象
就職促進給付は、一定の条件を満たす求職者を対象とした制度です。主に、積極的な就職活動を行い、指定された期間内に新たな職を得た場合に支給されます。
具体的には、ハローワークなどを通じて求職活動を行い、その結果として新しい職場に就職した場合が給付の対象です。
就職促進給付の支給額
就職促進給付の支給額は、「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」などの種類や、就職先の状況により異なります。一般的に、就職決定後に支給される一時金として支給されます。
なお、就職活動にかかる経費や支援は支給額に含まれません。
求職者支援制度の支給対象と支給額
求職者支援制度は、再就職やスキルアップを目指す人が、毎月10万円の生活支援を受けながら無料で職業訓練を受けられる制度です。求職者支援制度の支給対象と支給額を順番に見ていきます。
求職者支援制度の支給対象
求職者支援制度の支給対象は次のとおりです。
離職者の方 |
|
在職者の方 |
|
求職者支援制度を利用するには、所定の手続きが必要です。なお、失業保険を受けていない場合でも、支援が受けられることがあります。
求職者支援制度の支給額
求職者支援制度の支給額は、提供される支援の内容によって変動します。具体的には次のとおりです。
職業訓練受講手当 |
月10万円 |
通所手当 |
訓練施設へ通所する場合の定期乗車券などの額(月上限42,500円) |
寄宿手当 |
月10,700円 |
求職者支援金融資制度の支給対象と支給額
求職者支援金融資制度は、職業訓練受講給付金を受給しても、生活費が不足する場合に融資を受けられる制度です。支給対象と支給額について見ていきましょう。
求職者支援金融資制度の支給対象
求職者支援金融資制度の支給対象者は次のとおりです。
・職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方
・ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方
求職者支援金融資制度の支給額
支給額は次のとおりです。
・月額5万円(上限)または 10万円 (上限) × 受講予定訓練月数
配偶者などの有無により、上限額が異なります。
特例一時金の支給対象と支給額
特例一時金とは、短期特例被保険者が失業した場合に支給される手当です。支給対象と支給額についてまとめます。
特例一時金の支給対象
特例一時金の支給対象は次のとおりです。
・離職の日以前 1年間に、11日以上働いた月が通算して6か月以上あること
・失業の状態にあること
参考:厚生労働省|離職されたみなさまへ<特例一時金のご案内>
「家事に専念する人」「学業に専念する人」などは支給を受けることができません。
特例一時金の支給額
特例一時金の支給額は、基本手当日額の40日分に相当する額です。
ただ、支給を受けることができる期限(受給期限)は、離職日の翌日から6か月です。
未払賃金立替払制度の支給対象と支給額
未払賃金立替払制度は、会社が倒産して給料をもらえないまま退職した労働者に、未払いの給料の一部を代わりに支払う制度です。
未払賃金立替払制度の支給対象
未払賃金立替払制度には、「事業主の要件」と「労働者の要件」があります。
事業主の要件 |
労働者の要件 |
|
|
このように、退職後に未払い賃金が発生した労働者が対象です。一の期間以内に未払い賃金の請求が必要であるため注意が必要です。
未払賃金立替払制度の支給額
支給対象となるのは、実際に未払いとなっている賃金額の80%です。ただし、次の限度があります。
退職日における年齢 |
未払賃金総額の限度額 |
立替払の上限額 |
45歳以上 |
370万円 |
296万円 (370万円×0.8) |
30歳以上45歳未満 |
220万円 |
176万円 (220万円×0.8) |
30歳未満 |
110万円 |
88万円 (110万円×0.8) |
年金の支給対象と支給額
年金も退職給付金の一つといえるでしょう。年金の支給対象と支給額についても紹介します。
年金の支給対象
年金の支給対象は、主に一定の年齢に達した高齢者や障害を持つ方々です。支給を受けるには、年金制度に加入し、一定期間以上の年金保険料納付が必要です。
具体的な支給開始年齢や必要な納付期間は、年金の種類や加入者の状況によって異なります。
年金の支給額
年金の支給額は、加入者が納付した保険料の期間と金額によって算出されます。基本的な年金額に加えて、個人の状況に応じた加算が適用される場合もあります。
具体的な支給額は、加入している年金制度(国民年金、厚生年金など)や個人の就労歴、家族構成などの条件によって異なります。
退職金の支給対象と支給額
退職金とは、退職する際に会社から支払われるお金のことです。
退職金の支給対象
退職金の支給対象は、主に退職時に企業に勤務していた従業員です。
具体的な支給条件は各企業の規定により設定されており、一般的に勤続年数や退職理由が考慮されます。例えば、一定期間以上勤務した正社員や、会社都合による退職者に対して支給されることが多いです。
退職金の支給額
退職金の算出根拠は、主に従業員の勤続年数と給与です。具体的な計算方法は企業ごとに規定が異なりますが、一般的には勤続年数が長いほど支給額は増加する傾向にあります。
多くの場合、最終給与や平均給与に一定の係数を掛けて算出され、役職や貢献度を考慮する企業もあります。
まとめ
本記事では多岐にわたる退職給付金について解説しました。各制度の支給対象や支給額の決定方法についてまとめているので、対象となる方はぜひ参考にしてください。
ただ、あまりにも多くの制度があるため、どれが対象かわからないという人もいるでしょう。そのような方は社会保険給付金サポートをご利用ください。
当社の社会保険給付金サポートサービスでは、丁寧なヒアリングを通して、社会保険給付金の申請手続きをサポートしています。WEB説明会とLINE相談はどちらも無料ですので、お気軽にご相談ください。
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