2024.08.02
給付金について
失業保険とうつ病の手続き、300日分の再就職手当を受け取る方法
「うつ病になって会社を退職する事になってしまった。次の仕事に就くまでどうしよう。」と不安になる方もいると思います。
でもご安心ください。うつ病であっても失業手当を受け取る事はできるんです。
この記事では、「うつ病でも失業手当を受け取る方法」や「通常よりも長く失業手当を受け取る方法」をご紹介します。
うつ病でも失業手当(失業保険)は受け取れます
うつ病になる原因は様々ですが、日本では全体の約83%が「仕事上のストレス」からうつ病を発症しているという調査結果が出ています。(ニールセン・カンパニー調べ)
それだけ仕事をストレスだと感じている人は多く、うつ病になった事が原因で会社を退職する人も少なくありません。
うつ病が原因で退職した場合でも、条件を満たしていれば失業手当を受け取る事ができます。
失業手当(失業保険)の受給条件
仕事を辞めた後に受け取れる手当てとして一番有名なのは「失業手当(失業保険)」ですが、会社を辞めたら誰でも受け取れるという訳ではありません。
失業手当を申請するためには、以下2つの条件をどちらも満たしている必要があります。
①離職日以前の2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あること
②ハローワークで求職申し込みを行い、就職する意思と能力があるが失業状態であること
うつ病になってしまった人が特に注意したいのは、②の条件についてです。
失業手当は【就職する意思と能力がある人】が対象となります。
そのため【うつ病と診断されているが、就労可能な状態】であれば失業手当を受給できます。
反対に【うつ病と診断されており、現在就労が難しい】という方は、失業手当を受け取る事はできません。
「まだ就労は難しい」と医師から診断されている場合は、退職後は失業手当ではなく、社会保険の【傷病手当金】を申請するとよいでしょう。
傷病手当金については以下の記事をご確認ください。
再就職手当を受け取る方法と条件
再就職手当は、失業手当の受給者が早期に就職することで得られる支援金です。支給にはいくつかの条件があり、ハローワークへの求職申請後、所定の待機期間(7日間)が終了した後に再就職が決まっていること、さらに再就職先で一定の雇用期間が見込まれることなどが必要です。この手当は、失業給付の一部が減額される代わりに早期就職を促進する目的で支給されます。
うつ病だと自己都合退職でもすぐに失業手当が支給される?
通常自己都合退職の場合、手当の支給開始前に2か月間の【給付制限期間】を待つ必要があります。
給付制限期間は手当が発生しませんので、初回の手当が振り込まれるのは退職後約3~4か月後になります。
しかし【特定理由離職者】であるとハローワークが認めると、給付制限期間が免除されます。
特定理由離職者とは
特定理由離職者とは、【正当な理由があって】自己都合退職した場合に該当する可能性があります。
正当な理由として認められるのは、以下のような内容になります。
(1) 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
(2) 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
(3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
(4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
(5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
(a) 結婚に伴う住所の変更
(b) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
(c) 事業所の通勤困難な地への移転
(d) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
(e) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
(f) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
(g) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
(6) その他、上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(11)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
参考:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要【ハローワークインターネットサービス】
うつ病で退職した場合は(1) の”心身の障害、疾病”にあたりますので、事前に医師の診断書※などを準備し、離職票と併せてハローワークに提出しましょう。
※必要書類は各ハローワークによって異なります。
うつ病だと通常よりも長く失業手当が受け取れる?
失業手当申請時にうつ病と診断されている場合、給付制限期間が免除になるだけではなく、失業手当の受給日数が延長される事があります。
それはハローワークに【就職困難者】として認められた場合です。
就職困難者とは
以下に当てはまる方は「就職困難者」として、通常よりも失業手当を受け取るうえで優遇されます。
①身体障害者(身体障害者手帳を持っている人)
②知的障害者(療育手帳を持っている人)
③精神障害者(精神障害者保健福祉手帳を持っている人)
④刑法等の規定により保護観察に付された方
⑤社会的事情により就職が著しく阻害されている方など
障害者手帳を持っていないと就職困難者にはなれない?
主に障害者手帳を持っている人が対象となりますが、障害者手帳を持っていなくても就職困難者として失業手当を受給できるケースがあります。
それは【ハローワークが定めている疾病名に該当する場合】です。
ハローワークが定めている疾病名は【躁鬱病(うつ病含む)、てんかん、統合失調症】です。
精神障害者保健福祉手帳は精神科の初診から6か月以上経過しないと取得することができません。
しかし上記の条件を満たす事で、「うつ病と診断された1か月後に退職する事になってしまった」などという方も就職困難者として認められる可能性があります。
どのくらい失業手当の給付日数が延長されるの?
失業手当の給付日数は、離職理由・年齢・被保険者であった期間をもとに定められています。
就職困難者として申請が通った場合の給付日数は以下となります。
就職困難者として失業保険を申請した場合、被保険者期間が1年未満でも150日、1年以上であれば45歳未満が300日、45歳以上65歳未満で360日となります。
自己都合退職の場合は90日~の給付日数となりますので、かなり大幅に延びる方が多いでしょう。
焦って再就職先を探しても、また合わない会社に入社してしまい働けなくなってしまっては元も子もありません。
300日~の給付があれば、じっくり自分にあった会社を探す事ができるでしょう。
退職前に満たしておく必要のある条件
特定理由離職者や就職困難者として失業手当を申請していく場合、必ず退職前に病院を受診している必要があります。
在職中から症状があったとしても、病院の初診が退職日以降の場合【在職中に発症した】という証明を医師に出してもらう事ができませんので、必ず退職日以前に通院する事を忘れないようにしましょう。
うつ病で退職したら、傷病手当金と失業手当どちらを受け取る?
うつ病で退職した場合、退職後は傷病手当金か失業手当を受給する流れになりますが、この2つの手当金は同時に受給する事ができません。
どちらを申請するべきなのかは基本的に医師の判断次第となります。
医師から【労務不能な状態である】と診断される場合は傷病手当金、【就労可能な状態である】と診断される場合は失業手当を申請しましょう。
ただ医師によっては、「本人の判断に任せる」と言われる場合もあるかと思います。
その場合はどちらの方が手当てを多く受け取れるかで判断するのもよいでしょう。
ひと月に受け取れるおおよその金額は、
傷病手当金:総支給の2/3(約65%)
失業手当 :総支給の50~80%
と差があります。
失業手当のパーセンテージには大きな幅がありますが、何を基準にパーセンテージが決まるのかというと【退職前6か月の総支給の金額次第】で変わってきます。
簡単にお伝えすると、総支給の金額が高いほど適用されるパーセンテージは50%に近く、総支給の金額が低いほど80%に近い割合で計算されます。
また失業手当の受給金額には上限があり、1か月(30日)あたりの上限金額は以下となります。
29歳以下:208,350円
30~44歳:231,450円
45~59歳:254,700円
60~64歳:215,310円
年齢によりますが、退職前6か月の総支給の平均が【42万円以上】の方は上限に引っかかる可能性があります。
一方、傷病手当金のひと月あたりの上限金額は90万円以上となるため、あまり上限を気にする必要はないでしょう。
そのため具体的に計算してみると、以下の金額がひと月あたりの目安金額となります。
総支給が25万円を超える場合は、傷病手当金の方が受給金額が高くなるケースが多いです。
受給金額次第でどちらの手当てを使っていくべきなのか、判断材料のひとつにするのもよいでしょう。
うつ病として手当を受け取っていた事は再就職先に伝わる?
うつ病として傷病手当金や失業手当を受け取っていた場合、うつ病だった事が再就職先に伝わってしまうのではないかと心配される方も多くいらっしゃいます。
結論、”基本的に再就職先に伝わる事はない”です。
保険組合やハローワークが再就職先に報告する事もありませんし、再就職手当の受給に必要な書類を会社に書いてもらう際にも、”うつ病として失業手当を受け取っていた”という事が分かるような内容が記載されている事もありません。
しかし会社によっては、入社時に”既往歴”を聞かれるケースもあります。
その場合は正直に伝える必要があるでしょう。
まとめ
近年うつ病が原因で退職する人は増えていますが、”就職困難者”としてではなく”自己都合退職”として失業手当の申請をしてしまっている人も多くいます。
うつ病と診断されていても正しい順序で手続きをおこなわないと、給付日数を延ばすことはできません。
しかしうつ病になって精神的にも辛い状況の中、制度について自分で勉強したり、ハローワークと病院を何度も行ったり来たりする気力もないという人も多いでしょう。
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もちろんうつ病で会社を辞める事になった人が使える給付金は失業手当の就職困難者制度だけではありませんので、どの手当を使うのがベストなのかなど、退職コンシェルジュが相談にのります。
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