2024.06.07

退職について

「〇〇ハラ」に遭った時の対処方法、具体的な解決策を紹介

最近、会社などで受けたハラスメントが原因で退職を余儀なくされる被害者の実態が、ニュースなどで取り上げられる機会が多くなり、社会問題にもなっています。それだけに、ハラスメントは誰でも経験する可能性があるのです。この記事では、ハラスメントの特徴や被害に遭った際にどう対処すれば良いのかについて解説します。

ハラスメントとは?

ハラスメントとは、言葉や行動によって他者を不快にさせたり、傷つけたりすることを指します。また、意図的かどうかは関係なくハラスメントを受けた側が、不快な感情になれば原則的に「ハラスメント」になり得ます。なお、会社などでは特定の人物が対象となっていなくてもハラスメントは成立し、不特定多数の人間に対して相手を不快にさせるような言動があれば、ハラスメントとなる可能性が高いのです。

会社で関わる可能性のあるハラスメント

会社は仕事をするのはもちろんのこと、さまざまな人の感情が行き交う場所でもあります。年齢も性別も、育って来た環境もバラバラな人が集まっています。それゆえに、ハラスメントが起こりやすいとも言えるでしょう。以下に、代表的なハラスメントについて紹介します。

セクシャルハラスメント(セクハラ)

セクシャルハラスメントは、性的な要素を含む言動で相手を不快にさせる行為を指します。セクシャルハラスメントは、男性から女性への嫌がらせというイメージを持つ人が多いかもしれませんが、加害者は男性・女性のどちらもなり得るもので、異性だけではなく同性に対してもこのような言動があればセクシャルハラスメントとなります。具体的なセクシャルハラスメントの内容とは、食事やデートへの執拗な誘いや相手が嫌がっているのに性的な体験談を強制的に聞かせるなどが該当します。また、必要もないのに体へ触る行為やわいせつな画像などを配布するような行為もセクシャルハラスメントの類です。

パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメントは、客観的に見た時に、業務で必要と思われる範囲を超えた指導・指示などを職場内で行うことです。具体的な言動としては、「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「労働者の就業環境が害されるもの」が挙げられます。また、「殴る・蹴るなどの身体的な攻撃」「人格を否定するような精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大・過少な要求」などもパワーハラスメントに該当します。

マタニティハラスメント(マタハラ)

マタニティハラスメントは、女性が妊娠・出産したタイミングで、精神的もしくは肉体的な嫌がらせをする行為を指します。具体的には、妊娠・出産を理由に解雇や雇い止めなどの不利益な扱いをすることを言います。また、妊娠・出産を理由に嫌がらせなどがなくても、妊娠・出産を理由に不利益な扱いが行われるだけでもマタニティハラスメントになる場合もあるでしょう。

代表的なハラスメントの種類ごとの罰則

ハラスメント行為は人の気持ちや尊厳を踏みにじるだけでなく、傍にいる人にも悪影響を与える行為です。近年では上記に挙げたハラスメント行為には、加害者に罰則が与えられるようになっています。その詳細を、以下にお伝えします。

セクシャルハラスメント(セクハラ)

セクシャルハラスメントに対する罰則が適用される法律としては、男女雇用機会均等法があります。また、セクシャルハラスメントによって適用される刑事罰には、次のようなものが挙げられます。

  • 名誉棄損罪(刑法第230条):3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金
  • 侮辱罪(刑法第231条):拘留または科料
  • 暴行罪(刑法第208条):2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金
  • 傷害罪(刑法第204条):15年以下の懲役、または50万円以下の罰金
  • 強要罪(刑法第223条):3年以下の懲役
  • 強制わいせつ罪(刑法第176条):6ヶ月以上10年以下の懲役

パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメントに関する罰則が適用される法律としては、パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)があります。なお、パワーハラスメントで適用される可能性がある刑事罰には、次のとおりです。

  • 名誉毀損罪(刑法第230条):3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金
  • 侮辱罪(刑法第231条):拘留または科料
  • 脅迫罪(刑法第222条):2年以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 暴行罪(刑法第208条):2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金
  • 傷害罪(刑法第204条):15年以下の懲役、または50万円以下の罰金

マタニティハラスメント(マタハラ)

マタニティハラスメントに関する罰則が適用される法律としては、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などが挙げられます。マタニティハラスメントを防止するためには、事業主に対して下記の措置を講じることが求められます。

  • 社内方針の明確化と周知、啓発
  • 相談に適切に対応するための体制づくり
  • マタハラが発生した場合の迅速な対応
  • 第三者のプライバシーを保護するために必要な措置
  • 不利益な扱い禁止の定めと周知、啓発など

ハラスメントに遭った場合の対処法とは?

職場などでのハラスメントは、被害者が苦痛や不快感を与えられたと感じれば成立するため、まずはハラスメントに遭っている事実を相談することが大切です。特に、加害者とは関係のない専門窓口などを通してハラスメントの実態を把握してもらい、適切な対処を求めることが重要になります。また、加害者に対して、やめてほしいと訴えても聞いてもらえなかったり、相談窓口などでの対処が難しかったりする場合は、弁護士などを通して損害賠償を検討するようにしましょう。

まとめ

ハラスメントは、性別関係なく被害者・加害者になり得ます。また、会社という外部から遮断された空間で行われるケースが多いため、被害者がうつ病や精神疾患を発症して退職するまで分からないという可能性もあります。万が一、ハラスメントに遭ってしまったら、泣き寝入りせず適切な対処を検討してもらえる窓口や弁護士などを頼るようにしてくださいね。

 

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