2024.03.29
退職について
テーマ:
失業手当(失業保険)のもらい方は?自己都合退職でも受給する条件・金額計算方法
失業手当(失業保険)とは雇用保険の基本手当のことです。
失業手当を受給するために必要な条件や申請方法・給付日数・金額計算式などを紹介します。
失業手当を受給するメリット・デメリットや受給中にアルバイトをするときの注意点、再就職手当についてもご紹介します。
失業手当とは
失業手当とは、雇用保険の被保険者の方が退職後の求職活動を行っている期間中に受け取れる給付金の事です。
正しくは「雇用保険の基本手当」といい、失業給付や失業保険とよばれる事もあります。
基本手当とは、求職者の失業中の生活の安定を図りつつ、求職活動を容易にすることを目的とし、求職活動を行っているにもかかわらず就職できない場合に支給されるものです。
どのくらいの金額を何日間受け取れるかは、退職前の月収や退職理由によって異なりますが、一般的に自己都合退職より会社都合退職の方が様々な点で優遇されるといえます。
参考:基本手当について【厚生労働省】
失業手当(失業保険)を受け取る条件は2つ
失業手当は、現在雇用保険に加入していれば誰でも受給できるという訳ではありません。
失業手当を受け取るためには、以下の2つの条件をどちらも満たしている必要があります。
①離職日以前の2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あること
②ハローワークで求職申し込みを行い、就職する意思と能力があるが失業状態であること
2つの条件については、以下で詳しく解説します。
参考:基本手当について【ハローワーク】
①離職日以前の2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あること
現在雇用保険に加入していて、現職だけで12か月以上雇用保険の被保険者になっている場合はもちろん問題ありません。
しかし現職での雇用保険の被保険者期間が12か月未満の場合は、前職や前々職での被保険者だった期間を合算できるケースがあります。
それは雇用保険に加入していない期間が1年未満の場合です。
ただし一度失業手当を受け取ると、今までの雇用保険の加入期間はリセットされますので注意が必要です。
なお会社都合退職(特定受給資格者)の場合は、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あることが条件となります。
特定受給資格者とは主に、「倒産」や「解雇」等により離職した人をさしますが、詳細は以下を参照ください。
参考:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要【ハローワーク】
②ハローワークで求職申し込みを行い、就職する意思と能力があるが失業状態であること
失業手当は【積極的に仕事を探しているにもかかわらず仕事につけない】状態にある方が受給できるものとなっています。
その為【就職する能力・意思がない状態】または【職業に就いている状態】にある場合は対象外となります。
失業手当(失業保険)の受給が対象外となる例
2つの条件を満たしていた場合でも、以下の状態に当てはまる場合は失業手当受給の対象外となります。
【就職する能力がない状態】
①病気やけがですぐには就職できないとき
②妊娠・出産・育児などにより就職することができないとき
③家事の手伝いや家業の手伝いで就職することができないとき
④昼間学校に通っていて、学業に専念するとき
【就職する意思がない状態】
①離職後しばらくの間休養するとき
②家事に専念するとき
【職業に就いている状態】
①仕事をしたとき
②自営業(準備を含む)をしているとき ※収入の有無を問いません
③会社の役員に就任しているとき ※活動や報酬がない場合はハローワークでご確認ください
求職活動実績の例・求職活動実績にならない例
“積極的に仕事を探している”という事を証明する為に、失業手当受給中は定期的に求職活動をする必要があります。
求職活動と認められるか否かは下記でご確認ください。
求職活動実績にならない |
求職活動実績になる |
|
ハローワーク |
・求人情報の閲覧のみ |
・職業相談 ・セミナーへの参加 ・雇用保険説明会 |
転職サイト |
・サイトの閲覧、登録のみ |
・求人応募(面接、履歴書提出) |
転職エージェント |
・サイトの閲覧、登録のみ |
・面談(電話面談含む) ・求人応募(面接、履歴書提出) |
派遣会社 |
・サイトの閲覧、登録のみ |
・面談(電話面談含む) ・求人応募(面接、履歴書提出) |
資格試験 |
・再就職に関係のない試験の受験 ・受験勉強のみ |
・再就職に関係する試験の受験 |
失業手当(失業保険)のもらい方
失業手当を申請するためには、ハローワークに足を運び手続きを行う必要があります。
会社の住所ではなく、自分の住民票の住所を管轄するハローワークに行く必要がありますのでご注意ください。
失業手当(失業保険)申請に必要な持ち物
失業手当の申請には、以下の物が必要になります。
・雇用保険被保険者離職票(-1、2)
・個人番号確認書類(いずれか1種類)
マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
・身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類((1)の書類をお持ちでない方は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可))
(1)運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
(2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
・写真(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)2枚
・本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。)
参考:雇用保険の具体的な手続き【ハローワーク】
【雇用保険被保険者離職票(-1、2)】は一般的に【離職票】と言われるもので、ハローワークが発行したものを会社に送り、会社が本人に郵送する流れとなりますので、自宅に届くまでは退職後2週間~1か月程度はかかると思っておいた方がよいでしょう。
失業手当の申請をする上で離職票は必須となりますので、その間に他の書類を準備しておくとスムーズに申請する事ができるでしょう。
参考:雇用保険被保険者離職票-1
雇用保険被保険者離職票-2
失業手当(失業保険)の手続きの流れ
離職票を受け取ってからの流れは以下の通りです。
自己都合退職と会社都合退職で流れが変わりますのでご注意ください。
まず離職票が届いたらハローワークへ行って離職票を提出し【求職申し込み】を行います。
失業手当を受け取れるのは”仕事を探している人”なので、自身の希望する求人の条件を登録してもらいます。(勤務地、雇用形態、職種、給与など)
失業手当の手続きに加えて上記の求職申し込みを行った日の事を【受給資格決定日】といいます。
また【雇用保険受給資格者のしおり】という冊子を渡されますので、しっかり目を通しておきましょう。
次に7日間の【待期期間】というものを待つ必要があります。
この期間は”失業状態にあるか”をハローワークが確認する期間となりますので、たとえ1時間であったとしてもアルバイト等の就労をしてはいけません。
次に指定された日時に開催される【雇用保険受給説明会】というものに参加する必要があります。
※ハローワークによっては、コロナウイルスの影響で雇用保険受給説明会が中止となっている事もあります。(2023年時点)
次に【初回認定日】というものに行っていただく必要があります。
失業認定日は4週間に1度の頻度であり、「この4週間のうち2回以上求職活動を行ったか、その上でまだ就職できていない状況なのか」をハローワークが確認する日となります。
【失業認定申告書】という書類に、求職活動の実績(いつどこの会社で面接を受けた、いつハローワークで職業相談をしたかなど)やアルバイトの出勤状況などを記載して提出します。※郵送不可
失業手当受給中のアルバイトについてはこちらで詳しく解説しています。
雇用保険受給説明会、もしくは初回認定日で【雇用保険受給資格者証】というものを渡されますので、そこで自分が受給できる手当の日額などを確認する事ができます。
その後の流れは自己都合退職の場合と会社都合退職の場合で異なります。
会社都合退職の場合は初回認定日を終えてから1週間以内を目安に初回の失業手当が振り込まれますが、自己都合退職の場合は2か月間の【給付制限】という手当が発生しない期間を待ってから受給が開始します。(給付制限期間中も求職活動と失業認定を行う必要があります。)
そのため会社都合退職の場合は退職日から初回の手当が振り込まれるまで【1~2か月】かかるのに対し、自己都合退職の場合は【約4か月】はかかってくるのです。
以降は失業認定日を、失業手当の支給が終了するまで、もしくは再就職するまで繰り返す必要があります。
失業手当(失業保険)の給付日数
以下では失業手当(失業保険)がもらえる期間を解説します。
失業手当の給付日数は、退職理由や雇用保険の加入年数により異なります。
【自己都合退職の場合】
離職時の年齢 |
被保険者であった期間 |
||
10年未満 |
10年以上20年未満 |
20年以上 |
|
65歳未満 |
90日 |
120日 |
150日 |
【会社都合退職の場合】
離職時の年齢 |
被保険者であった期間 |
||||
1年未満 |
1年以上5年未満 |
5年以上10年未満 |
10年以上20年未満 |
20年以上 |
|
30歳未満 |
90日 |
90日 |
120日 |
180日 |
– |
30~34歳 |
120日 |
180日 |
210日 |
240日 |
|
35~44歳 |
150日 |
180日 |
240日 |
270日 |
|
45~59歳 |
180日 |
240日 |
270日 |
330日 |
|
60~64歳 |
150日 |
180日 |
210日 |
240日 |
このように自己都合退職より会社都合退職の方が、給付日数が大きく優遇されます。
なお失業手当の受給期間は、原則として離職日の翌日から一年間(例外あり)となりますので、”給付日数が多い人は特に”期間内に手当を受け取り切れるよう早めに手続きを行いましょう。
また給付日数が残っていても受給期間が終わると受給はできなくなります。
三分の一以上給付日数が残っている場合は、再就職手当の対象となる可能性があります。
失業手当(失業保険)の受給金額計算方法
自身の給付日数や基本手当日額は【雇用保険受給資格者証】で確認できますが、自分がどのくらいの失業手当をもらえるのかによっては失業手当の受給をあきらめ、すぐに再就職を選択する方もいるでしょう。
失業手当は自己都合退職・会社都合退職問わず、離職日の直前6か月間に支払われた賃金をもとに、以下の計算式で算出されます。
① 離職日の直前6か月間の賃金日額を算出する
② ①で求めた賃金日額に、既定の給付率をかけて基本手当日額を算出する
③ 基本手当日額に、自身の給付日数をかける
3つのステップをより詳しく解説すると以下になります。
① 離職日の直前6か月間に支払われた賃金の1日当たりの金額(=賃金日額)を算出する
【離職前6ヶ月間に支払われた給与の合計※÷180日】
※残業代や通勤手当、役職手当、住宅手当などの各種手当含む
賞与(ボーナス)や退職金は含まない
ただし賃金日額には上限と下限が定められている為、上記の計算式で求めた金額が上限額を上回る際には上限額を、下限額を下回る際には下限額を賃金日額とします。
離職時の年齢 |
上限 |
下限 |
29歳以下 |
13,890円 |
2,746円 |
30~44歳 |
15,430円 |
|
45~59歳 |
16,980円 |
|
60~64歳 |
16,210円 |
② ①で求めた賃金日額に、下記のパーセンテージをかけて基本手当日額を算出する
賃金日額 |
給付率 |
5,110円以下 |
80% |
5,111円以上12,580円未満 |
80~50% ※1 |
12,581円以上 |
50% ※2 |
※1 離職時の年齢が60〜64歳の場合は80〜45%
※2 離職時の年齢が60〜64歳の場合は45%
こちらも同じく上限と下限がある為、上限額を上回る際には上限額を、下限額を下回る際には下限額を基本手当日額とします。
離職時の年齢 |
上限 |
下限 |
29歳以下 |
6,945円 |
2,196円 |
30~44歳 |
7,595円 |
|
45~59歳 |
8,355円 |
|
60~64歳 |
7,177円 |
上限額や下限額は毎年改定される可能性があり、上記の金額は令和5年8月以降に適用される金額となります。
参考:雇用保険の基本手当日額について【厚生労働省】
③基本手当日額に、自身の給付日数をかける
以上のような流れで、自身が受け取れる失業手当の総額を算出する事ができます。
例として、退職前半年間の総支給が毎月25万円で給付日数が90日の人がどのくらいの失業手当を受け取れるか計算してみましょう。
①25万円×6か月=150万円
150万円÷180日=8,333円←賃金日額
②賃金日額が8,333円の方の給付率は80~50%となるため、
50%の場合:8,333円×50%=4,166円
80%の場合:8,333円×80%=6,666円
基本手当日額は4,166~6,666円の間になるといえます。
③50%の場合:4,166円×90日=374,940円
80%の場合:6,666円×90日=599,940円
基本手当総額は374,940~599,940円の間になるといえます。
少し計算に手間がかかりますので、シュミレーションサイトを利用しておおよその受給金額を把握するのもよいでしょう。
失業手当受給中のアルバイト
退職後は手当金が貰えるとはいえ、手当金の金額は在職時の給与の5~8割程度です。
手当金だけでは生活できない場合は、「再就職先が決まるまで、アルバイトをしながら失業手当を受け取りたい!」と考える人も多いでしょう。
結論、条件を満たす範囲内であれば失業手当受給中のアルバイトは可能です。
満たす必要のある条件は以下になります。
①待機期間の7日間はアルバイトをしない
失業手当の申請をした日(=受給資格決定日)から7日間は、【待期期間】という失業している事を証明する期間となります。
その為その期間にアルバイトをしてしまうと再就職したとみなされ、失業手当が申請できなくなってしまいます。
②週20時間以上、または31日以上雇用される見込みの職場では働かない
週20時間以上、もしくは31日以上雇用が見込まれる職場で働く場合、雇用保険に加入する必要があります。
雇用保険に加入するともちろん再就職したとみなされる為、失業手当の支給が停止してしまいます。
その為アルバイトをする場合は、単発や短期のアルバイトを探すとよいでしょう。
③失業認定日には、アルバイトした事実をハローワークに報告する
失業認定日に提出する【失業認定申告書】には就労した日を記入する項目があるので、正直に報告しましょう。
またアルバイトをする上での”必須条件”ではありませんが、アルバイトをする場合は一日4時間以上働くことをおすすめします。
なぜかというと、一日4時間以上働いた日の分の失業手当は受給が先送りになる為、あとからその日の分の手当を受け取る事ができるからです。
しかし一日4時間未満で働いた場合は、その日の分の失業手当が減額されたり不支給となり、かつ給付日数を消化してしまうケースがあります。
アルバイトした日の失業手当が減額になってしまうのか、確認する方法は以下の流れで計算ができます。
—————————————————————————————————————————
(A)基本手当日額+アルバイト収入-控除額(1,331円)
※1,331円はハローワークで定められた控除額であり、毎年改定されます。
1,331円は2023年8月時点の控除額です。
(B)離職時賃金日額×0.8
(A)が(B)より少ない、もしくは(A)と(B)が同じ金額の場合→全額支給
(A)が(B)よりも多い場合→差額が減額されて支給
一日分のアルバイト収入が(B)より多い場合→支給なし
—————————————————————————————————————————
例①
離職時賃金日額が9,650円
基本手当日額が5,900円
時給1,000円で一日3時間勤務
その場合の計算式は、
(A)5,900円+3,000円-1,331円=7,569円
(B)9,650円×0.8=7,720円
この場合は(A)が(B)より少ない為、基本手当日額の5,900円を全額受け取る事ができます。
例②
離職時賃金日額が9,650円
基本手当日額が5,900円
時給1,500円で一日3時間勤務
その場合の計算式は、
(A)5,900円+4,500円-1,331円=9,069円
(B)9,650円×0.8=7,720円
この場合は(A)が(B)より多い為、差額の1,349円が減額されて失業手当が支給されます。
そのため基本手当日額の5,900円から差額の1,349円を差し引いた、4,551円が失業手当として支給されます。
一日4時間以上働いた場合と違って、先送りにはならずに給付日数を消化してしまいますので注意が必要です。
とはいえアルバイトした事実を隠して失業手当を受け取ると不正受給となり、手当の支給が停止されるのはもちろん、今までに受給した手当の返還や、不正受給した金額の3倍の金額の納付を求められる事もありますので絶対に辞めましょう。
その他の失業手当や再就職手当に関する疑問は、以下のQ&Aで解説されているかもしれませんので、一度確認してみるとよいでしょう。
参考:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~【厚生労働省】
失業手当(失業保険)受給中も支払う3つのお金
会社を退職し失業手当を受給している間でも、以下の3つは支払いを行う必要があります。
・国民健康保険料、もしくは任意継続保険料
・国民年金
・住民税
しかし収入が減り、どうしても支払いが難しい方もいるでしょう。
場合によっては免除や減免の対象となることがありますので、それぞれ詳しくご説明します。
◆国民健康保険料
退職後は社会保険から抜ける事になりますので、再就職まで空きがある場合は下記3つの中からどれかを選択して加入する必要があります。
・国民健康保険
社会保険の資格喪失後14日以内に、市区町村の窓口で手続きを行う必要があります。
一般的には扶養家族がいない場合は国民健康保険の方が安いケースが多いとされています。
また会社都合退職の場合限定ですが、最大2年間国民健康保険の軽減が可能です。
・任意継続
退職前の会社で加入していた社会保険に入り続ける事ができる制度です。
資格喪失日から20日以内に、保険組合に必要書類を郵送して手続きを行う必要があります。
扶養がいた場合は扶養もそのまま引き継がれますが、任意継続できる期間は最大2年間です。
今まで会社が半額負担していた保険料も自身で負担する事になりますので、保険料は在職時のおおよそ2倍になります。
・扶養に入る
失業手当受給中も、両親や配偶者の扶養に入る事は可能です。
ただし失業手当も収入としてみなされますので、収入制限にかかると扶養に入れない可能性があります。
◆国民年金
国民年金は退職理由問わず、離職後は最大2年間軽減や免除が可能となる場合があります。
全額免除から1/4免除まであり、世帯状況や家族の収入によって異なります。
お近くの年金事務所、もしくは市区町村の国民年金担当窓口で手続きが可能です。(郵送での手続きも可。)
なお免除された保険料は、10年以内であれば後から納めること(追納)ができます。
免除された期間があると、保険料を全額納付したときに比べ、将来受け取る年金額が少なくなりますが、追納すると保険料を全額納付したときと同じになります。
◆住民税
住民税は前年度の所得から支払う金額が決まる為、基本的には失業を理由に免除される可能性は少ないでしょう。
※生活保護基準を下回る程度まで生活に困窮している場合を除く
失業手当(失業保険)を受給するメリット・デメリット
今のところメリットしかなさそうな失業手当ですが、場合によっては受給する事でデメリットが生じるケースがあります。
【メリット】
・金銭面の不安を軽減し、落ち着いて転職活動ができる
一番大きなメリットは、退職後の収入がない期間に手当金を受け取れるという事です。
退職後の生活が不安で、転職先が決まってからでないと中々退職に踏み切れないという方も多いかと思います。
しかし働きながら転職先を探すのは、スケジュール的にも中々難しいものです。
退職後に失業手当を受け取りながらじっくりと自分に合った転職先を探す事ができる事はメリットといえるでしょう。
【デメリット】
・雇用保険加入期間がリセットされる
雇用保険の加入期間は、転職の間隔(雇用保険に加入していない期間)が1年未満の場合は前職や前々職で加入していた期間も合算ができます。
しかし一度失業手当を受給すると、今までの雇用保険の加入期間はリセットされます。
失業手当は、雇用保険の加入期間が長ければ長いほど、手当の給付日数も増える仕組みです。
その為早期に再就職することが明らかである場合は、失業手当を受給せず、雇用保険の加入期間を再就職先と合算した方が得になるケースがあります。
再就職手当とは
再就職手当とは、失業手当受給中の方に対して早期の再就職を促進するための制度で、簡単にお伝えすると”再就職が決まったら貰えるお祝い金”のようなものです。
受給条件
①待期期間終了後に就職する事
失業手当の申請をした日から7日間が待期期間です。
②基本手当が3分の1以上残っている事
3分の1以上残して再就職した場合は受け取らなかった失業手当の60%を、
3分の2以上残して再就職した場合は受け取らなかった失業手当の70%を受け取る事ができます。
③離職前の会社と関わりのない企業に就職する事
全く同じ会社への再就職はもちろん、関連会社などに再就職した場合も対象外となります。
④(給付制限がある場合)待期期間満了後、1か月以上経過してから就職する事
待期期間満了後1か月以内でも、ハローワークや職業紹介事業者の紹介した企業に就職すれば対象となる可能性があります。
ただし紹介状を出してもらう事が必須となるため、例えば【ハローワークの求人検索パソコンを見て、自ら応募した】などは対象外となります。
⑤1年を超えて勤務する事が確実である事
【6か月契約の派遣社員等で、更新の予定がない場合】や【1年以下の雇用期間で、契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合(保険会社など)】は対象外となります。
⑥再就職先で雇用保険の被保険者になっている事
再就職後も雇用保険に入れる場合に対象となります。
⑦過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当を受けたことがない事
常用就職支度手当については、こちらをご確認ください。
参考:常用就職支度手当について【厚生労働省】
⑧受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでない事
失業手当の申請日より前から内定が出ている場合は、再就職手当の対象にはなりません。
その為在職中から次の会社の内定が出ている場合なども対象外となります。
参考:再就職手当のご案内【ハローワーク】
申請方法
①就職日(入社日)前日にハローワークに行き、【再就職手当支給申請書】を受け取る
②本人記入欄を記入し、再就職先にも必要事項を記入してもらう
③就職日の翌日から1か月以内に雇用保険受給資格者証を添えて再就職手当支給申請書をハローワークに提出する(郵送可)
④ハローワークの審査の結果【支給決定通知】もしくは【不支給決定通知】が自宅に届き、基本手当と同じ口座に振り込まれる(審査期間:1か月程度)
申請期間がかなり短いので、忘れないよう気を付けましょう。
まとめ
失業手当や関連する手当を受け取るためには細かな条件が数多く定められています。
条件を満たせず「手当が受け取れなかった!」とならないためにも、ハローワークから受け取った資料は必ず目を通すようにしましょう。
また各ハローワークによって対応が異なる場合もありますので、少しでも不安に思う事があったら、直接自分の住所を管轄するハローワークに問い合わせるのがよいでしょう。
また退職後に受け取れる給付金は、失業手当だけではありません。
失業手当は雇用保険の給付金ですが、実は社会保険にも給付金があるのはご存じですか?
社会保険の給付金と失業手当を組み合わせる事で、最大28か月間も給付金を受け取れる可能性があるので、失業手当の申請をする前に、ぜひ無料のWEB説明会に参加してみてくださいね。
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