2021.12.03

退職について

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労災の種類によって補償内容が変わるって本当!?

著しい経済発展や生産技術の進歩・生産規模の拡大に伴って、労働者が事故にあうリスクが増えていると言われています。しかし、労働災害が起きるリスクが高まる中で、事業者がこれを全て補償するのは困難です。このような背景から、労災保険の必要性が生じ、様々な補償内容が設けられています。今回は、労災の種類や条件、詳しい内容について解説します。

労災の種類や条件とは?

労災には、「業務災害」と「通勤災害」、「第三者行為災害」の3種類があります。

業務災害とは、業務中の負傷・病気・死亡などを指し、業務との因果関係が認められた際に認定される労災です。また、通勤災害は、通勤時に起きたものを指し、会社に報告している正しい経路と方法をとっていることが認定条件となっています。つまり、通勤災害では電車通勤と申告しているのに、自転車通勤で事故にあったなど、ふさわしくない経路の場合は認定されません。しかし、会社が緊急と認める経路の場合は、通勤災害として認定されます。3つ目の第三者行為災害は、業務や通勤以外で、第三者の行為によって生じた災害を指します。第三者行為災害は、通勤中や業務中などの事故において、事故の相手方に加害者が存在する災害を指すので、事故を起こした相手側に損害賠償責任が発生した際に認定されます。

労災が認定されると受けられる給付とは?

労災保険からは、「療養給付」「休業給付」「傷病年金」「障害給付」「遺族給付」「介護給付」の6種類の給付を受けることが出来ます。

療養給付は、業務中に発生したケガや病気の治療費を補償するというものです。これは、通勤中に発生した災害の場合も含まれます。給付の範囲は、「診察」「治療材料・薬剤」「処置・手術」「病院または診療所への入院及びその療養に伴う世話や看護」「居宅における療養上及びその療養に伴う世話や看護」「移送費」など、必要と認められたものに限ります。休業給付は、労災による傷病の療養で4日以上休業している場合、当該期間の休業補償給付及び休業特別支給金が受け取れる制度です。傷病年金は、仕事や通勤中に発生した傷病が原因で働けなくなり、療養期間が1年6か月以上にわたる場合で、かつ受給要件を満たしている場合に受けられる補償です。受給要件は、①ケガや病気が治っていないこと。②傷病級第1級~第3級に該当することとなっています。

障害給付は、業務または通勤を原因として受けたケガや病気は治ったものの、それでもなお身体に一定の障害が残った場合に支給されるものです。具体的に、どのような身体障害であればどのくらいの障害等級に認定されるかは、「労働者災害補償保険法施行規則」の「別表第一」で定められている、「障害等級票」で確認できるようになっています。遺族給付は、業務災害または通勤災害が原因で、亡くなった労働者の遺族に対して支給されるものです。受給資格者は、労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。しかし、配偶者以外の親族に関しては、一定の高齢または年少であるか、一定の障害がある事が必要となっています。また、葬儀を行った遺族に対しては、葬祭料または葬祭給付が支給されます。

介護給付は、障害年金または傷病年金受給者のうち、障害等級・傷病等級が第1級の人または、第2級で「精神神経・胸腹部臓器の障害」を有している人が現に介護を受けている場合に、支給されるものです。支給要件は①常時介護または随時介護を要する状態で、一定の障害の症状に該当すること。②民間の介護サービスや親族などから現に介護を受けていること。③病院または診療所に入院していないこと。④介護老人施設、障害者支援施設などに入所していないこととなります。

労災の支給期間や支給金額とは?

療養給付の支給期間は、原則として症状が治癒するまでとなっています。治癒の中には、一定の治療を行っても、これ以上は医療効果が期待出来なくなった状態も含まれます。つまり、完全に回復した状態のみを指すのではなく、症状が残っている場合でも、医療効果が期待できないと判断される場合も同様です。支給金額は、療養の費用を支出した日ごとに請求権が発生します。休業給付の支給期間は、給付条件を満たしている期間中支給されます。療養開始後1年6か月を経過し、その負傷または疾病が治っておらず、傷病等級に該当する程度の障害がある場合は、傷病年金に切り替わります。支給金額は、療養で労働が出来ずに賃金を受けない日ごとに請求権が発生します。

傷病年金の支給期間は、条件を満たす場合、当該障害の状態が継続している間は支給を受けることが出来ます。支給金額は、傷病等級第1級は給付基礎日額の313日分、第2級は給付基礎日額の277日分、第3級は給付基礎日額の245日分です。障害給付の支給期間は、傷病が治癒した日の翌日から5年を経過すると、時効が完成してしまいます。支給金額は、障害等級によって異なり、第1級では給付基礎日額の313日分、第14級では給付基礎日額の56日分となります。遺族給付の支給期間は、被災労働者が亡くなった日の翌日から5年を経過すると、時効が完成してしまいます。支給金額は、1人の場合は給付基礎日額の153日分、2人の場合は給付基礎日額の201日分、3人の場合は給付基礎日額の223日分です。

介護給付の支給期間は、介護を受けた月の翌月の1日から2年を経過すると、請求権の時効が完成します。支給金額は、常時介護の場合は上限で171,650円、随時介護の場合は、上限85,780円とされています。(※令和5年3月1日現在)

労災の申請方法について

最後に、労災の申請の流れをご紹介していきましょう。以下のような手順を参考にしてくださいね。

  1. 労働者から、会社に労働災害が発生した旨を報告。
  2. 労働基準監督署長宛に必要書類の提出を行う。
  3. 労働基準監督署の調査への対応。
  4. 保険金の給付。

 

このような流れで、各給付の種類によって必要書類を揃えて、各窓口へ提出します。療養給付では「療養補償給付たる療養の費用請求書」。休業給付では「休業補償給付支給請求書」が必要になります。また、障害給付では「障害補償給付支給請求書」、遺族給付では「遺族補償年金支給請求書」「遺族補償一時金支給請求書」「遺族補償年金前払い一時金請求書」を用意し、傷病補償年金では「傷病の状態等に関する届」、介護給付では「介護給付支給請求書」「介護補償給付支給請求書」となります。

まとめ

普通に仕事をしていても、突然不慮の事故に巻き込まれることは誰にでも起こり得ますよね。そのような時に、労災について理解しておくと、いざという時に慌てずに済みます。自分だけではなく、働いている家族のためにも、今回ご紹介した労災についての情報を、ぜひ覚えておいてください。

 

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