2023.09.22
退職について
休暇が少ない場合の労働基準法と適正な休日・給料について
使用者である企業などは、労働者に対して労働基準法で定められた休日や給与を支払う義務があります。しかし、働いている中で、休みが少ない、残業代が入ってないのでは?と感じたことがある人もいるでしょう。ここでは、労働基準法で定められている休日数や給与、残業代について詳しく解説します。
労働基準法で定められている休日数やルール
労働基準法では、労働者に対して原則「毎週1日」または「4週間を通じて4日間」以上の休日を設けるように定められています。これを「法定休日」と呼び、最低限度必要な休日数を示しています。ただし実際には、労働時間管理との兼ね合いもあるので、これに加えて独自の「法定外休日」を設けるという事が通例となっています。年間の休日数の下限目安は105日となっています。なぜ、105日かというと、労働基準法による法定労働時間をフルで働いた場合、年間の休日が105日となるからです。
法律の範囲内での最大勤務日は、次のような計算式で計算する事が出来ます。
365日÷7日×40時間=2085.7時間(1日8時間として260日に相当)
つまり、法律の範囲内で最大限勤務日にする事が出来るのが260日で、残りの105日が年間休日の下限の目安となるわけなのです。これは、1日の労働時間が8時間以下の会社の場合は、年間休日数も105日以下に減る事はあり得ますので覚えておくと良いでしょう。年間休日が多い業種としては、130日を超える事も多いとされる「製造業(メーカー)」です。これは、休日に完全に工場を停止させるために、休みが取りやすいからだと考えられます。主に、自動車やコンピューター関係の製品を製造しているメーカーが当てはまります。
逆に年間休日が少ない業種としては、「外食・小売り・サービス業」などで、105日に満たない事もあります。サービス業は、世間が休みであるゴールデンウイークや年末年始など、かき入れ時があるため、なかなか休みが取りづらいという事が影響していると言えるでしょう。
また、「振替休日」と「代休」に関しては、休日出勤に関わる重要な制度です。具体的には、事前に手続きを行う事で、あらかじめ休日だった日を出勤日として、代わりに他の出勤日を休日へと振り替える事で調整します。振替休日の場合は、通常の出勤日と同様に扱われるので、使用者である企業は労働者に対して、割増賃金を支払う義務はありません。
休日出勤時の給与や割増賃金について
では、休日出勤をした際の給与や割増賃金について、見ていきましょう。使用者である企業が、就業規則に規定した休日に、労働者を働かせる事を「休日出勤」と呼びます。例えば、平日を通常の出勤日として、土日・祝日を休日と規定している企業の場合は、土日・祝日に働いた日を休日出勤として扱う事になるのです。
この場合、同じ休日出勤であったとしても、企業が独自に定めている「法定外休日」と、労働基準法によって必ず与えなければならない「法定休日」とでは、発生する賃金率が異なるので覚えておく必要があります。法定外休日の休日出勤では、その日の賃金は通常の出勤日と同様の賃金率で計算されます。一方、指定された法定休日に出勤をした場合は、通常の1.35倍の賃金率で計算された割増賃金で給与が支払われます。
そして、法定休日に休日出勤を行った場合は、同じ週のいずれかの日で休日を振り替えるか、休日数が「4週間を通じて4日間」になるように、代休での調整が必要となります。
労働基準法では、残業代は定められている?
最近では、働く側の意識も変わってきており、例えちょっとした時間外労働だとしても、いわゆる「サービス残業」にはせずに、しっかり残業代を請求する動きが多くなってきています。しかし、労働基準法では残業代に関して明確な規定はあるのでしょうか?実は、労働基準法には「残業代」という概念がありません。労働基準法による規定には、あくまで「労働者に1日8時間、週40時間を超える労働をさせてはならない」という決まりがあるだけで、明確な残業代に関する決まりはないのです。ただ、この法定労働時間を超えて働いた場合は、「時間外労働」という扱いになり、割増賃金が発生する仕組みになっています。例えば、1日9時間働いた場合は、時間単価に25%割増した1時間分の賃金を加えて、給与として支払うという形です。
一方、残業代に関する良くある間違いとして、残業した全ての時間分に割増賃金を加算するというものがあります。しかし、実際には昼休みなどを1時間と就業規則で定めている企業は多く、実質7時間労働になっている事が多いのです。こうした場合は、規定就業時間が9時~17時で18時まで残業したとしても、8時間労働の枠内で時間単価分は支払われる事はあっても、割り増し分が支払われる事はありません。
労働基準法に違反した場合の罰則とは?
「法定休日」を労働者に与えずに働かせて、「法定休日の付与義務違反」を認定された企業は、労働基準法第119条に規定されている「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられる事になります。これは、「時間外・休日及び深夜の割増賃金支払い義務」に違反した場合も同様です。
まとめ
労働基準法第35条では、使用者である企業は労働者に対して、最低限与えなければならない法定休日が定められており、それに違反した場合は罰則が科せられる事になっています。労働基準法では、年間休日の最低ラインは、1日8時間労働の場合で105日と計算されていますが、多くの企業では「法定外休日」を設けています。働いている中で、適切な休日数を確保できているかを、しっかり確認しておく事が働きやすい職場環境の整備に対して、重要だという事が分かりますね。
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