2023.10.06
退職について
解雇の種類って?
あなたは、「解雇」と聞いて何を思い浮かべますか?「辞めさせられる」というイメージを持つ方が多いかもしれませんね。しかし、「解雇」といっても、様々な種類があるのです。また、このご時世ですので、突然解雇されてしまう可能性というのは、誰にでもあることでしょう。
今回は、そんな時に慌てず、適切に対応できるようにするためにも、解雇の種類について解説します。
解雇とはどういうもの?
解雇の定義
解雇とは、労働者が承諾する余地がないまま、退職を余儀なくされるケースをいいます。解雇通知書や解雇予告通知書、さらには解雇理由証明書などが出されることもありますが、実際には「解雇」とはっきりと言われずに、解雇と同様の状態になっているケースも多くあります。
解雇と自主退職の違い
「急に仕事にこなくていい」と言われたために退職した場合は、企業からの強制力が強いので、解雇と判断されやすいでしょう。それに比べて、「辞めたかったら辞めていい」と言われて退職した場合は、労働者側が少なからずその要請に応じた側面もありますので、解雇と判断されず、自己都合退職の扱いをされる可能性が高くなります。
もし、あなたが会社から強引に退職を求められたという場合は、必ず解雇通知書や解雇理由証明書の交付を希望することが重要となります。
解雇の種類について
解雇には大きく分けて、以下のような4種類があります。
普通解雇とは
いわゆる「労働者の債務不履行」を理由とした解雇です。普通解雇は、就業規則を基に実行されます。例えば、傷病による労働能力の低下や、会社での仕事をする能力や適格がないとみなされる場合などが挙げられます。具体的な行動パターンとしては、無断欠勤や遅刻の増加や、業務指示及び命令を無視する場合などが考えられます。普通解雇は、懲戒解雇よりも一段軽い制裁と位置付けられる場合が多いです。
整理解雇とは
これは、会社の方針として、経営不振の打開策として行われる人員削減が目的の解雇のことをいいます。つまり、「リストラ」のことです。普通解雇と違い、整理解雇の場合は、労働者には何の非もないのに会社から一方的に解雇されてしまうわけです。整理解雇が認められるためには、次の4つの要件を確認する必要があるといわれます。
整理解雇に客観的な必要性がある
人員削減の必要性があるかどうかがポイントです。本当に削る必要があるのか、きちんと確認することが求められます。
解雇を回避する努力義務を果たしたこと
会社が解雇回避の努力義務を行ったかどうかも重要です。解雇は最後の手段であるため、その前に新規採用の停止や役員の報酬カット、一時帰休、希望退職者募集など、様々な人件費の削減措置をとる必要があります。
解雇の人選に妥当性がある
解雇される人物の選び方も大切です。個人的な理由などではなく、勤務成績を考慮することや、解雇による打撃が少ない人物を選ぶなど合理的な基準が必要となります。
雇用者への説明が十分行われている
労働者・労働組合への説明や協議をきちんと行う必要性があります。また、その手続きや規模を含め、きちんと説明することが求められます。
諭旨解雇(ゆしかいこ)とは
一般的には懲戒解雇にされてもいいところを、本人に反省が見られるなどの情状酌量の余地がある場合に、企業が労働者に対して、退職を勧めることをいいます。
諭旨解雇の場合は、「解雇予告手当」や退職金が支給されるケースが多いです。不祥事を起こした労働者のそれまでの功績や将来などを考慮し、懲戒解雇という重い処分を避けるときに行われる解雇だといえます。
懲戒解雇とは
制裁罰としての解雇です。労働契約の不履行を理由として行われる普通解雇とは全く違います。会社内の刑罰によって会社から追い出される、つまり、労働者にとっては「死刑」に等しい重大な処分とも言えます。
懲戒解雇の有効性は、普通解雇に比べて、非常に厳しく判断される傾向なので、懲戒解雇された場合は、弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。
懲戒処分について
労働者を処分する「懲戒処分」は全部で6種類あります。職務上の義務違反について口頭・文書で警告し、将来の職務姿勢を戒める「譴責(けんせき)」や減給、出勤停止、降格のほか、先ほど触れたような諭旨解雇、懲戒解雇が挙げられます。
その中で最も重く捉えられているのが、懲戒解雇です。この解雇は、以下のような不利益を被ることになります。
- 解雇予告手当なしの即時解雇
- 退職金も没収ないし不支給
- 雇用保険法上でも自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を受けた者として、雇用保険法23条の特定受給資格者に該当しないことになる
- 経歴上、懲戒解雇を受けたという社会的汚名を背負う
特に、4つ目の事項が懲戒解雇の本質的な意義とされています。一定の業界では、業界内で公開されることもあるため、同じ業界での再就職は不可能となってしまう可能性があるのです。
会社都合の退社によるダメージを減らすために
自分に責任がないのに、突然会社都合による退職を余儀なくされたとしたら、とても焦りますよね。そんな時に困り果ててしまわないように、覚えておいていただきたい制度について、以下にお伝えします。
解雇予告手当とは
解雇予告手当とは、解雇予告の日数が30日に満たない場合、会社側が労働者に支払う不足日数分の平均賃金のことです。解雇予告手当の金額は、1日の平均賃金に、30日から解雇日を引いた日数を掛けて算出します。急な解雇だった場合は、こちらに該当しないかどうか確認してみましょう。
解雇制限について
労働者の生活の困窮を防ぐために、以下のような特定の期間について解雇を一時制限するものです。
- 労働者が業務上の負傷・病気になった場合に、その療養のために休業する期間及びその後30日間
- 産前産後の女性が休業する期間及びその後30日間
このように、特定の期間であることが証明されれば、解雇を一時的に免れることもあります。まずは焦らず専門家に相談しましょう。そして、失業保険をもらうためにも、確実に離職票を企業からもらうようにしてください。
仮に、渡された書類に会社都合にもかかわらず、自己都合などと書かれていた場合は今後自分に不利になってしまいます。きちんと企業と話し合いをし、修正してもらうようにしましょう。
まとめ
解雇と一口に行っても、様々な種類や仕組みがあることがお分かりいただけたかと思います。もし、解雇をされた場合は、落ち着いて労働契約書を確認したり、専門家に相談をしたりすることで、不当な扱いを受けないように気をつけましょう。
また、必ず離職票をもらい、未来の自分のためにできることから始めていくことが大切です。自分には関係ないと思わず、こういった制度についても常に頭の片隅で覚えておくことが重要だと言えます。
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