2020.10.02
転職・再就職について
リワークデイケアってどんなもの?
うつ病になると仕事にどういう支障が出る?
うつ病は、日本人の約15人に1人の割合で現れる精神疾患だと言われています。つまり誰もがなり得る可能性のある病気です。うつ病は個人によってがあるものの、主な共通の症状には以下のような特徴があります。
精神的症状
- 気分が落ち込む、ゆううつになる
- やる気が出ない
- 以前好きだったものにも興味がわかなくなる
- ちょっとした出来事が異常に心配になる、集中力が低下する
- すぐに悲しくなったり、怒りっぽくなったりする など
身体的症状
- 眠れない、または眠りすぎる
- 食欲がなくなる
- ちょっとしたことで疲れやすくなる
- 頭痛や肩凝り、喉の異物感、微熱などが出る
- 身体が重く、動きにくくなる
- 汗をかきやすくなる など
このような症状が出ることから、うつ病になると今までの日常生活を送ることが困難になるケースも少なくありません。まして、仕事をしている場合は上司や同僚などの話を聞き、いち早く仕事の内容を理解したり、納期までに仕事を終わらせたりするための集中力などが重要になります。しかし、うつ病に陥ると職場でのパフォーマンスが落ちるので、大切な物事を聞き逃してしまうこともあり、仕事を要領よくこなすことができなくなります。
仕事の流れが止まってしまい、周囲の人が絶えずフォローをする必要が出てきます。
うつ病で転職活動などをするときは十分な注意が必要
うつ病は、仕事上においてさまざまな影響をもたらします。そのため、休職、あるいは転職することを考える方もいるでしょう。しかし、うつ病は回復までに時間を要することもあるため、自分では完治したと思っても完治していない場合もあります。それゆえに、うつ病の発症から回復までは、医師の治療などを受けながら、自身の状態を客観的に判断してもらうことが大切です。
このプロセスを軽んじてしまうと、病気が回復していないにも関わらず、焦って転職活動をしてしまうこともあるかもしれません。しかし、そういう状態で動いてしまうと、転職活動自体がプレッシャーになり、余計に症状を悪くしてしまう可能性もあります。また、無事に転職できたとしても、いつも通りのパフォーマンスに戻っていないため、思うように仕事ができずに再発してしまう場合もあるでしょう。
一方、転職活動だけではなく、休職から復職をするにあたっても、時期を誤ってしまうと、スムーズな復職が失敗に終わることもあります。
長く離れていた席に戻るのはただでさえ緊張するものです。自身のパフォーマンスへの不安が残る中で周りの方への配慮もしなければならないので、余計に頑張りすぎてしまい、また心身のバランスを崩してしまうといった悪循環に陥りがちです。
復職を検討しているなら、リワークデイケアが効果的
休職から今まで働いていた会社へ復職するにしても、新しい職場へ転職するにしても、自分の判断だけで突然動き出すのは注意した方が良いでしょう。なぜなら、うつ病が緩和したからと言っても病気前の能力に戻るまでには、一定の準備期間が必要だからです。そのためのリハビリテーションとして、精神科や心療内科では、リワークデイケアというプログラムを行っている場合があります。リワークデイケアとは、以下のような特徴を持っています。
休職中や退職した方の復職を支援する
リワークデイケアは、休職や退職した方を対象とし、彼らが復職を目指すために日常生活の乱れを整え、人とのコミュニケーションスキルを取り戻すための訓練を行います。病気をしているときは通勤をしているときと比べて、活動の時間帯が変化している場合が多いため、リワークデイケアに決められた日時で規則正しく通うことにより、病気をする前のような生活を取り戻して行くことを目的とします。
また、病気を経験したことで、自身の考え方のゆがみや人とのコミュニケーションに対して自信を失っている方も珍しくありません。そのため、自身の否定的な考え方のクセに気づき、それを前向きな捉え方に修正していく心理療法を実施する場合もあります。また、人と接することに再び自信を持つことができるように、プログラムの参加者同士で悩みを打ち明け合うなどのミーティングを開くことも、効果的だとされています。
リワークデイケアを卒業後、交流会を設けているケースも
リワークデイケアを終了し、無事に復職や転職がかなっても、仕事による悩みや不安がすべて消えるわけではありません。そのような彼らの思いを緩和するために、精神科や心療内科によってはリワークデイケアを卒業した後も、定期的に交流会を行っている場所もあります。
リワークデイケアのプログラムを共に経験した仲間が集い、今の仕事に関する問題を分かち合ったり、お互いにアドバイスなどをしたりしながら、職場への定着を促し、離職を防ぐ役割を果たしているのです。
また、医師や医療スタッフが現在の健康状態や仕事などに関して、詳しく相談にのるなどの試みを行っているケースも存在します。
リワークデイケアは保険適用が可能
精神科や心療内科などで行うリワークデイケアは、外来治療の一環に含まれます。そのため、プログラムを受けるにはお金を払う必要があります。仕事をしていないときは原則的に収入がない場合も多いので、リワークデイケアに参加することを尻込みする方もいるかもしれません。しかし、リワークデイケアは保険診療となり、健康保険が適用されますので、費用負担は基本的に3割のみとなるのです。つまり、高額なお金を支払いながらプログラムを受ける状況にはなりませんので、ご安心ください。
また、うつ病を始めとする精神疾患は治療が長期間にわたる可能性があるため、自立支援医療の手続きを市役所で行うこともできます。これが認められると、リワークデイケアの費用が1割負担のみとなりますので、経済的な不安がより軽減されることでしょう。
まとめ
うつ病などに陥っているときは、仕事に復職できるのか、どうやったら以前のパフォーマンスまで回復できるのかなど、複雑な感情に苛まれるものですよね。リワークデイケアを利用することで、心身の負担を軽くすることが出来ます。
また、リワークデイケアに励むことにより、結果的に早くスムーズに復職できる場合も多いのです。復職を希望する方は、リワークデイケアを選択肢の中に入れてみることをおすすめします。
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