2024.01.26
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実はあなたも?意外と身近な精神疾患
「仕事が辛くて気分が落ち込む」「職場に行く足取りが重い」など働いている中で仕事が辛いと悩んでいる人は多いでしょう。そして、そのまま頑張って働き続けることで気付かないうちに悪化してしまい、結果的にうつ病など精神疾患を患ってしまうようなケースも少なくありません。精神疾患は意外と身近なものであり、自分が気付いていないだけで症状がすでに表れている可能性もあります。そこで、今回は身近にある精神疾患の症状や対処法について詳しく解説していきます。
そもそも精神疾患とは?
「精神疾患」と聞くと難しいイメージがある…という人も多いかもしれません。しかし実際には、気分の落ち込みなども精神疾患の症状として認められています。その他幻覚や幻聴、妄想など、心身に様々な影響を及ぼすものです。脳内の神経伝達物質の乱れによって起こると言われていますが、はっきりとした原因は分かっていません。代表的なものでは適応障害、うつ病などが広く知られています。その他、統合失調症や発達障害なども精神疾患に含まれます。
精神疾患は身近な病気?
うつ病や統合失調症など精神疾患について耳にしたことはあるものの、あまり身近に感じられないという人もいるでしょう。実際に身の回りにそうした病気を患っている人がいなければ身近に感じないのも当然です。しかし、うつ病は日本において100人に3~7人は経験したことがあるとされており、精神疾患患者は近年増加傾向にあります。厚生労働省調べによると、2012年には250万人ほどの精神疾患患者が、2017年には400万人を超えています。そして、400万人の内の半数近くはうつ病と統合失調症の患者になっています。この数字だけ見れば、近年患者が急増しているように見えます。しかし逆に言えば、以前はなかなか周囲に相談できなかった精神疾患が、広く認知されてきていることで相談しやすい環境になってきたとも言えるでしょう。アメリカなどでのメンタルヘルスケアが広まり、心療内科や精神科のハードルが下がってきたという影響もあります。そのため、一概に「昔は精神疾患を発症する人はいなかったのに、ここ数年で一気に増えた」と言えるわけでもないのです。
精神疾患はどんなことが原因で起こる?
精神疾患にはさまざまなものがありますが、精神疾患が引き起こされる原因は大きく分けると3つあります。まずはその原因から見ていきましょう。
心因性のもの
何か精神的に大きな負担やストレスといった「心」に原因があることで、精神疾患が引き起こされます。適応障害や不安神経症などは心因性のものとなり、人の持つ性格と環境要因が複雑に関係しています。近年では仕事による人間関係や昇進、リストラなどに対するストレスといったものが原因で引き起こされるケースが増加しています。仕事のストレスなどが原因でストレスを抱えることによって発症する、というものなので、同じ仕事や職場環境にある人であっても、発症する人、しない人がいます。その人の価値観や考え方によって異なるのです。
外因性のもの
脳や内臓など体に病気があったり、事故や薬物などでダメージを負ったりしたことが原因で起こる精神疾患です。体に病気があることで脳が影響を受け、精神症状が出てくるようになります。脳腫瘍や脳卒中、肝臓病などさまざまな体の病気が原因として考えられます。その他、身体の疾患や外傷、薬剤等が原因になることもあります。薬物中毒や依存症、禁断症状などもこの部類に入ります。脳の障害による外因性精神病として有名なのはてんかん精神病でしょう。心の健康は、身体の健康あってこそのものです。身体のどこかが不調になった場合は、心の状態も不調になってしまうのです。
内因性のもの
内因性とは、遺伝や脳の血流障害、ウイルス感染など心因性でも外因性でもなく、脳に何らかの病的変化が起きることによる引き起こされる精神疾患です。遺伝の影響もあるとされていますが、遺伝だけで必ずしも発症するものではありません。遺伝とストレスが絡み合った場合に発症することがあると考えられています。内因性の精神疾患の代表的なものとしては、統合失調症や躁うつ病などが挙げられます。また、心因性と思われがちなうつ病も脳の異常により発症するものと考えられています。特定は難しいですが、脳による何らかの異常があると思われる場合は内因性と見られることが多くなるでしょう。
仕事が原因で起こり得る精神疾患とは?
精神疾患があったとしても、見た目にはほとんど変わりがないため気付かれにくいものです。それは周囲にとっても、自分にとっても同じこと。自分では大丈夫と思っていても、実は症状が現れているような場合もあります。仕事の人間関係や昇進などのプレッシャー、失業などが原因となり、精神疾患が引き起こされるようなケースは非常に多いものです。仕事が関係するストレスなどによって起こり得る精神疾患はどういったものがあるのか、症状なども合わせて紹介します。ここでは4つを紹介しましたが、この名前以外にも数多くの精神疾患があります。
うつ病
うつ病は、精神的なストレスが原因で起こる病気ですが、なぜ発症するのか正確には分かっていません。少し前までは「心の病気」の代表的なものでしたが、研究によって「脳の病気」であると立証され、近年では脳内神経伝達物質の異常という説が有力です。「心理的なストレス」はもちろんですが、「脳内の変化」、「なりやすい体質」が絡み合った時にうつ病を発症すると言われています。
気分の落ち込みは誰にでもあるものですが、うつ病では時間が経っても強い抑うつ状態が続きます。楽しさや喜び、興味などを感じることがこれまでよりも感じられなくなります。また、集中力が続かないことから仕事で小さなミスを連発するようになってしまう人もいるでしょう。小さなことでも不安を感じたり、疲労感が強く出るようになったりするなどして日常生活に支障をきたすような症状も現れることがあります。その他にも食欲が落ちる、眠れない、疲れやすいなど、様々な症状があります。
不安障害
仕事など様々なものに対して不安に思う気持ちは誰もが持っているものですが、不安障害では心配や不安が過度になりすぎて日常生活に支障をきたします。パニック障害も不安障害の1つで、突然息切れや動悸などの発作が現れるものです。「仕事で失敗してしまったらどうしよう」「上司に何か怒られないか?」などの不安がずっと頭の中で続いてしまうため、仕事が怖いと思うようなり、仕事に行きたくないという状態になる人もいるでしょう。人前で話すのが怖くてたまらなくなってしまう社会不安障害も不安障害に含まれます。また、鍵やガスの元栓を閉めたかどうか何度も確認してしまうといった、同じ行為を何度も繰り返してしまう強迫性障害も不安障害の中の一つです。確認は決して悪いことではありませんが、何度も繰り返してしまうことで時間がかかり、日常生活に支障が出てしまう場合もあるのです。
統合失調症
統合失調症は、自分の気持ちや考えが上手くまとまらなくなってしまい、幻覚や妄想などの症状が現れる精神疾患です。会話に脈絡がなくなり、何を話しているのか分からないといった症状などもあるため、行動や気分、人間関係などに様々な影響が出てしまうことも少なくありません。また、自発的に自分で何かをしようという意欲がなくなるため、仕事にやる気が起きなくなるといった症状が現れるケースもあります。集中力や判断力、記憶力などが低下することもあるため、仕事がスムーズに進まなくなることも多いでしょう。意外にも、約100人に1人がかかると言われている病気でもあり、珍しくはありません。統合失調症がなぜ起こるのか原因ははっきりと分かっていませんが、仕事のストレスなども病気を誘発する可能性があります。重症化するほど治療が困難になるため、早期治療がカギとなる病気です。
適応障害
適応障害とはストレスによって、気分の落ち込みや意欲低下、不眠などの身体症状が現れる、ストレス性障害の一つです。通常、ストレスになっている原因が消失すれば症状は改善すると考えられています。例えば、「職場の人間関係」がストレスの原因となっている場合は、会社を休職したり、部署を異動したりして問題の人間関係から離れることで改善が見られることがあるのです。しかし、ストレスの原因がずっと続いている場合等は適応障害を患っている期間も長くなる上、悪化する場合もあり、改善にも時間がかかるようになります。上記の例で言えば、人間関係にストレスを抱えながら同じ職場で働き続けることで、症状が悪化したり、治療が長引いてしまったりするのです。適応障害の原因は、仕事、家庭、恋愛、学校、病気など様々な要因が考えられます。うつ病と似た症状のため、医師の診断による区別が必要です。うつ病の場合は抗うつ剤を用いて、長期的な治療が必要になることが多く、適応障害とは治療方法や治療期間が異なるためです。
仕事で精神疾患を引き起こすことになる原因とは?
人間関係
職場の人間関係に悩む人は多く、この人間関係がストレスとなって病気を引き起こすケースは多いものです。上司と合わない、仲のいい同僚がいないといった職場の人間関係は、仕事が辛いと感じさせる原因になります。例えば、威圧的な上司がいるのであれば、上司の顔色を伺い続けることで委縮してしまい、精神的に追い詰められていってしまいます。また、人間関係が円滑でない場合は、仕事内容で分からないことがあっても聞きにくいため、仕事自体が進めにくくなりがちです。仕事が上手くいかないことで自分を責めてしまったり、落ち込んでしまったりすることもあるでしょう。そのため、職場の人間関係はストレスに直結するのです。
パワハラ
人間関係にも近い点ですが、ハラスメント(嫌がらせ)も精神的に追い詰められる一因となります。代表的なものはパワハラです。些細なミスを社員全員の前で怒鳴りつけられたり、暴力を振るわれたりといったパワハラの例は有名でしょう。その他にも、近くにある物を殴ったり蹴ったりする、物を近くに投げつけられるといった間接的な暴力もパワハラに含まれます。その他、パワハラの中には挨拶しても無視される、会議に入れてもらえないといった「仲間外れ」のような実態もあります。多すぎる仕事を割り振り、まだ仕事を覚えていない新入社員にベテランと同じ仕事量を求めるのは当然パワハラに入ります。逆に少なすぎる仕事しか与えないのもパワハラに入るのです。
セクハラ
パワハラと同じく、セクハラも大きなストレスの原因となります。中には会社を辞めざるを得なくなったというケースもあります。言葉や接触によるセクハラのイメージが強いですが、メールやチャットによる電子的なセクハラも被害者を悩ませるハラスメントに当たります。また、権力を利用したセクハラも上司に逆らうことができない社員には辛いものです。権力を利用したセクハラとは、上司や管理職が性的な要求や関係を強制し、それに応じることを条件として昇進や昇給を約束するようなことです。また、それを断った際に報復として悪い噂を流したり、仕事の妨害をしたりすることもセクハラに入ります。セクハラもパワハラも、社内でそれらのハラスメントが起きると周囲の空気も悪くなるため、直接の被害者でなくてもストレスに感じることが多いでしょう。
労働環境
仕事量が異常に多い、残業が多すぎるといった労働環境の悪さはストレスを生み出す原因です。自分でやりきらなければならない仕事量が多すぎると、精神的苦痛を感じる人もいるでしょう。長時間労働はストレスと同時に疲弊にも繋がるため、労働環境によって左右されることも多いのです。また、仕事量と給料が見合っていなければモチベーションが上がりません。どんなに頑張って仕事をしていても、自分の仕事を評価してもらえないことが続くと、仕事をすることがストレスになっていきます。仕事内容が複雑でなかなか覚えられないのもプレッシャーになるでしょう。また、有給が取りにくいなどの会社の環境も原因の一つです。
その他
上記に紹介したもの以外でも、例えば入社時にはそれほど辛くなかった通勤時間が徐々に辛くなってきたというケースもあります。また、ハラスメントではなくても社内のいじめや差別など、辛い思いをしてしまう場合や、純粋に仕事内容に苦痛を感じることもあります。仕事のある日は一日の大半を仕事に費やすことになるため、職場でのストレスによって自分の精神状態が左右されることは少なくありません。仕事そのものにストレスを感じているわけではなくても、上手く息抜きができない場合も、気付かないうちにストレスが溜まっているものです。
精神疾患かもしれない?そんな時の対処法
もしかすると自分には精神疾患の症状が現れているかもしれないと思ったり、周囲の人から心配されたりするような場合にはどうしたら良いのでしょうか?精神疾患かもしれないと疑いがある場合、また精神疾患だと病院で判断された場合はどのようにすべきなのでしょうか?精神疾患を患う人が珍しくない昨今、そうした問題も他人事ではありません。自分ではなくても身近な人が同じ問題に直面する可能性もあります。そうした場合の選択肢を知っておきましょう。
精神疾患かもしれないと思ったら…
精神疾患には気持ちの落ち込みや集中力の低下、その他にも様々な症状があります。そうした症状を自覚したら、まずは心療内科、または精神科に行きましょう。行ったことがないと少し気おくれしてしまうかもしれませんが、風邪を引いた時に行く内科や耳鼻科と大差ありません。風邪は熱や喉、鼻などに異常が出て医師の元を訪れるものであり、精神疾患は心が不調な時に訪れる専門の病院だからです。しかし、風邪と違って目に見えるものではないため、精神疾患は専門の医師にとっても診断が難しいものです。医師によっても様々なポリシーがあり、同じ症状を伝えても皆がみんな同じ治療法を提案するとは限りません。そのため、自分と相性の良い医師がいる病院に巡り合えることが重要になります。
休職する
心身が疲れてしまっている場合、会社によりますが、まずは休職という方法を取ることができます。休職という制度があるかどうか、そしてあった場合もどの程度休職できるのかどうかは会社により異なるので、会社によって変わってきます。休職ができるかどうかわからない場合は、会社に確認する必要があるので注意してください。うつ病などで気分の落ち込みが大きい時は、大きな決断を避けた方が良いとされています。そのため、「今は何も考えられない」というような状態であれば、一度休職をして心身を休ませてあげるのが良いでしょう。休職できる場合は病院で医師に診断書を発行してもらい、診断書を会社に提出します。医師が「休職が妥当」と判断した場合は、「○週間の休職を要する」等の文言が入った診断書を発行してくれます。その診断書を元に本人と会社の話し合いを経て、休職に入ることとなります。
仕事を辞める
少し休めば大丈夫だろう、仕事を辞めるほどではないと考える人も多いでしょう。しかし、無理をするほど症状は悪化する可能性があります。また、「会社に籍を置いている状態」ということが耐えられないという場合や、プレッシャーを感じて「早く治さなければ」と焦ってしまうケースも少なくありません。もしも業務内容や会社の体制そのものに対してストレスを感じている場合は、少し休んだところで改善されませんよね。自分の部署の業務内容がストレスということであれば異動という手段も方法の一つですが、人数の兼ね合いなどで異動できない場合も多いでしょう。仕事を辞めることでストレスや悩みの原因から解放され、ゆっくりと休息を取れば心も落ち着くかもしれません。仕事を辞めることは決して「逃げ」というわけではなく、病気を改善するための手段の1つなのです。
専門家に相談して治療をする
精神疾患は非常に複雑なものです。そのため、仕事がストレスだと思っていても実は仕事だけではなく、様々な要因が重なっていることもあります。生活に支障をきたすような症状が出ている場合や、病気が疑われるような場合には専門家に相談することが必要です。心療内科や精神科にて治療を受け、生活に対するアドバイスをもらいながらゆっくり治せるようにしましょう。カウンセリングで自分の正直な気持ちを吐き出して聞いてもらうのも効果的です。自分が気付かなかった自分の本音に気付くことができ、改めて自分の未来を考えられるようになることもあります。
まとめ
仕事をストレスに感じることは誰でもあるかもしれませんが、そのストレスの感じ方には個人差があるものです。精神疾患の症状が出始めていると思ったら、すぐに専門家である医師に相談してみましょう。精神的に限界がきてしまう前に、我慢をやめて仕事を辞めるという選択肢もあります。退職を言い出すことは勇気がいることですが、精神疾患の症状が重くなると、治るまでに長い時間を要してしまいます。この先の未来を考えて、自分の身体と心の状態を優先しましょう。
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