2022.04.08

給付金について

年末調整と傷病手当金の関係、控除の適用方法を解説

休職して傷病手当金を給付されている人、あるいは働きながら障害年金を支給されている人は「年末調整」の影響があるのか、あるいはさらに確定申告が必要になるのか、など気になっている人もいるかと思います。

今回は障害年金と傷病手当金での年末調整の扱いについて解説します。

障害年金のみ受給している場合は?

障害年金について年末調整用紙に、自分および家族の障害年金の受給の有無を記載する必要はありません。障害年金は非課税所得なので、年末調整は不要です。

また、自分および家族に障害者手帳の交付がある場合は控除額が拡大します。ただし、配偶者が障害者手帳を持っている場合、配偶者の所得が38万円以上(給与収入で103万円以上)だと、障害者控除の申請は出来ません。

なお、自分および家族への障害者手帳の交付を会社に内緒にしている場合は、確定申告で対応できます。

ただし、障害年金は年末調整が不要ですが、他の点で注意が必要です。障害年金について税務上は非課税のため収入や所得として見なされないのですが、健康保険と国民年金という社会保険上では「収入」として扱われます。

障害年金のみ、あるいはその他の収入と合算し、年収として180万円以上になると、配偶者の社会保険上の扶養からは外れることになります。これは一般的には配偶者における社会保険上の扶養が130万円で外れるのですが、障害者の場合は180万円で外れます。

このとき、障害者自身が20歳以上60歳未満で被扶養配偶者であった場合は、第3号被保険者から外れるため、国民年金第1号被保険者となり、国民健康保険に加入する必要があります。今後、申請を検討される人はこの点も念頭に入れておくとよいでしょう。

障害者控除とは

障害者控除とは「税制上の条件に合致した障害者」となっていて、障害年金の等級とは別個の要件となっています。国税庁のホームページには以下のように記載されています。

納税者自身、同一生計配偶者(注)又は扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といいます。
 なお、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。

(注) 同一生計配偶者とは、納税者の配偶者でその納税者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち、合計所得金額が38万円以下(令和2年分以後は48万円以下)である者をいいます。

 

では、所得税法の障害者とは具体的にどのような条件を指すのでしょうか。
その条件は次の通りです。なお、これらの認定は居住地自治体の市区町村長等が行うことになっています。詳細は居住地自治体の窓口に相談してください。

・障害者控除の対象となる人の範囲

(1) 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人。
この人は、特別障害者になります。
(2) 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人。
このうち重度の知的障害者と判定された人は、特別障害者になります。
(3) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人。
このうち障害等級が1級と記載されている人は、特別障害者になります。
(4) 身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人。
このうち障害の程度が1級又は2級と記載されている人は、特別障害者になります。
(5) 精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が(1)、(2)又は(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人。 このうち特別障害者に準ずるものとして市町村長、特別区区長や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者になります。
(6) 戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人。
このうち障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は、特別障害者となります。
(7) 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人。
この人は、特別障害者となります。
(8) その年の12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする(介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)人。
この人は、特別障害者となります。

引用:国税庁ホームページ No.1160 障害者控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm

障害者控除の金額は次の通りです。

・障害者控除の金額

区分 控除額
障害者 27万円
特別障害者 40万円
同居特別障害者(※) 75万円

(※)同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常としている方です。

引用:国税庁ホームページ No.1160 障害者控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm

休職中などの傷病手当金は年末調整や確定申告が不要

それでは、次に傷病手当金について解説していきたいと思います。

休職中などに受給した傷病手当金について、年末調整や確定申告は不要です。傷病手当金は、育児休業手当金と同様に非課税所得として収入金額に含めないということです。ただし、傷病手当金の支給を受けて休職していても、社会保険料や厚生年金保険料は休職前と同じ金額の支払いが必要です。

なお、傷病手当金を受給して、かつ失業状態にある場合で、保険料を納めることが困難な方は、保険料が免除される場合があります。保険料の免除が受けられるのは次の場合です。

1つ目は、国民年金や厚生年金保険などから障害の年金を受けているときや、生活保護法による生活扶助を受けているときなどです。この場合は、市区町村を通して日本年金機構に届け出れば免除されます。(法定免除)

2つ目は、保険料の納入義務がある本人・世帯主・配偶者のいずれの方にも所得がないなど保険料を納めることが著しく困難と認められるときです。この場合は、これらの方々の所得を記載した申請書により、市区町村を通して申請を行い、厚生労働大臣(日本年金機構)が認めた場合に保険料の全額、4分の3、半額、4分の1が免除されます。なお、申請年度もしくは前年度における失業の事実を明らかにする公的機関の証明(雇用保険受給資格者証の写しや雇用保険被保険者離職票の写しなど)が併せて提出されれば、失業されている方以外の所得を免除基準に照らして、保険料の免除が受けられることとなります。(申請免除)

3つ目は、平成17年4月から、30歳未満の方が将来、無年金や低年金となってしまうことを防止するために、同居している世帯主の所得にかかわらず、本人と配偶者の所得要件のみで、保険料の納付が猶予される若年者納付猶予制度が始まりました。

(引用:ハローワークインターネットサービス失業された方からのご質問(失業に伴う公的保険等の手続き)
https://www.hellowork.go.jp/member/unemp_question01.html

傷病手当金受給時、年末調整での配偶者の扶養への影響は?

傷病手当金を受給している場合、非課税対象になる傷病手当金ですが、年末調整における配偶者の扶養の計算に含める必要があります。なお、厚生年金や社会保険の扶養控除は、原則的に扶養されることになった時点での見込み年間収入が130万円未満になることが条件となります。

傷病手当金受給者は、就業を継続していれば年末調整で還付金も

傷病手当金受給の際に退職していなければ、年末調整で税金が還付金として戻ってくる可能性があります。つまり、傷病手当金には住民税や所得税などが課税されず、収入として扱われないため、休職期間中に勤務先から給与が出てない場合の受給者の年収は、前年よりも低いと思われます。そのため、傷病手当金受給後(中)に就業を継続していれば年末調整により源泉徴収で払い過ぎた税金が年末調整還付金として還付される可能性があります。

なお、退職し、再就職していない場合は、自分で確定申告を行うことが必要です。

傷病手当金の年末調整手続きの方法

退職せず就業継続中(休職含む)の場合、傷病手当金の年末調整手続きの方法は、支給されていない場合と同様で、必要に応じて保険料控除証明書、住宅ローン控除などとあわせて提出します。これで勤務先企業、あるいは退職していて再就職している場合は新しい勤務先などが年末調整の手続きを行います。

なお、退職し再就職していない場合は、自分で確定申告を行うことが必要です。

まとめ

障害年金と傷病手当金の年末調整や障害者控除について解説しましたが、不明な点があれば自治体や税理士会が開催している無料税金相談や「障害年金の窓口」といったサービス、あるいは国税庁の税の相談窓口などに相談するとよいでしょう。

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▼国税庁 税についての相談窓口(一覧)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shirabekata/9200.htm

 

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