2025.01.15
給付金について
適応障害で退職しても失業保険は受け取れる!ポイントや支援制度紹介
適応障害による退職は、心身の健康を守るための重要な決断です。しかし、「失業保険は受給できるのか」「生活費は大丈夫なのか」など、経済的な不安を感じる方も少なくありません。
本記事では、退職で後悔しないためのポイントをわかりやすく解説します。利用可能な制度や相談先についても紹介しますので、ぜひこの記事を参考に、安心して次のステップに進み、自分らしさを取り戻しましょう。
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適応障害とは
適応障害は、転勤や新しい人間関係など、社会生活上のストレスにうまく対処できず、精神的・身体的な不調が現れている状態を指します。気分の落ち込みやイライラ、不眠、吐き気など、症状は多岐にわたります。また、症状が出ることにより仕事を休みがちになったり、ミスや対人トラブルが起きたりと、社会生活そのものにも支障をきたしてしまいます。
症状を改善するには、適応障害の原因となるストレスから離れることが何よりも重要です。原因を取り除くことができれば、比較的早期に症状が改善される一方で、ストレスから距離を取れない状況が続くと、症状が慢性化するおそれがあります。
自分では適応障害に気付けないこともあるため、心身の不調がある人は症状を軽視せず、早めに医療機関を受診するように心がけましょう。
適応障害で退職する前にやっておきたいこと
すぐにでも退職したいと考えている人も、まずは以下の手順を踏むことをおすすめします。適応障害の辛い症状を緩和し、サポートが受けやすくなります。
主治医や産業医に相談し診断を受ける
まずは医師の診断を受けることが重要です。
適応障害の人は病気であるという自覚が乏しく、「自分の努力や実力が足りないからだ」と自身を責めてしまうことがあります。専門医の診断を受け、今の辛い状態は適応障害という病気のせいであり、適切な治療により改善するとわかれば、気持ちが楽になるでしょう。
適応障害になると判断能力が低下することもあるため、早まって退職をしてしまうと後悔する事態にもなりかねません。適切な療養の仕方について、仕事との向き合い方も含めて医師に相談しましょう。
会社に産業医がいる場合は、適切な働き方について助言をもらえるので、相談するのも一手です。ただし、産業医は基本的に治療は行わないため、専門治療が必要な場合は精神科や心療内科の受診が必要となります。いずれにしても、1人で抱え込まず、医療的な視点を持つ医師へ相談することが大切です。
上司や人事担当者に相談する
上司や人事担当者に今の業務が過度の負担になっていることを伝えるのも重要です。休職や退職をしなくても、勤務時間の短縮や配置換えなどの対応をしてもらえれば、仕事を続けられる場合もあります。早めに相談しておけば、休業や退職が必要になった時もスムーズに対応してもらえるでしょう。
直属の上司に相談できるのが理想ですが、言い出しにくい場合には、産業医や企業内カウンセラーなど、会社に設置されているメンタルヘルスの窓口を活用しましょう。守秘義務を遵守したうえで相談に応じ、必要時には会社との調整役を担ってくれます。
そもそも会社に相談するのは気が引けるという場合には、外部の相談機関に客観的なアドバイスを求めても良いでしょう。例えば「働く人のこころの耳相談」というサービスを利用すれば、電話やSNS、メールにて匿名で相談が可能です。
休職や退職を検討する
業務量の調整をしても症状が改善しない、あるいは業務量の調整ができない場合には、仕事を離れて療養することが必要です。十分に休養すれば復職できる可能性があるため、まずは休職し、退職の決断はできる限り先延ばしにする方が賢明です。
休職の期間には個人差がありますが、復職までの間に体調や生活リズムを整えるだけでなく、会社に労働環境を調整してもらう必要もあります。傷病手当金を受給できる日数(最大で1年6か月分)をリミットとして復職のタイミングを考えると、見通しをつけやすいでしょう。
傷病手当金の支給期間が終了しても復職が難しいと予測される場合には、経済的な視点からも、休職を続けるより退職を検討した方が良い場合もあります。
適応障害で退職する際の伝え方やタイミング
基本的に、労働者には退職の自由が認められていますが、円滑に退職するためには伝え方のポイントや法的なルールについて知っておく必要があります。
適応障害で退職する伝え方
いきなり人事部に退職届を提出するのではなく、まずは1~3か月前に直属の上司に退職の意思を伝えるのが一般的な方法です。理由については、適応障害とわざわざ伝える必要はありません。具体的な理由を伝えることで退職を引き留められる可能性もあるため、「自己都合」や「健康面での理由」とシンプルに伝えた方が良いでしょう。
法律上は、退職の意思を会社が拒否することはできませんが、「退職届を受け取ってもらえない」「離職届を発行しないと言われる」など、強引な引き留めにあうケースもあります。
そのような場合は、労働基準監督署にある総合労働相談コーナーや、法テラスなどの公的な相談窓口にて、無料相談が可能です。また、費用はかかりますが、退職代行サービスを利用すれば退職手続きのストレスを軽減できるためおすすめです。
適応障害で退職するタイミング
退職までに必要な日数は雇用形態によっても異なります。
正社員のように、雇用期間が定められていない場合は、民法では退職の意思を伝えた14日後に雇用契約を解除できるとされています。会社の就業規約に独自のルールが設定されている場合であっても、退職の意思を伝えて2週間たてば退職は可能です。とはいえ、円満退職のためにも、可能であれば会社のルールに合わせられると良いでしょう。
一方、派遣社員やパート社員など有期雇用の場合は、原則期間中の契約解除はできないとされていますが、就労実績が1年以上ある場合には、申し出たその日に退職することも可能です。
1年未満の場合も、病気で就労の継続が難しい状態になれば、雇用契約を解除し退職することが可能です。体調が優れないなか、無理をして働き続ける必要はありません。周囲への配慮も大切ですが、自身の健康を第一に退職日を決めましょう。
適応障害による退職で後悔しないためのポイント
退職が正しいのか、悩んでしまう人もいるでしょう。後悔しないためには、適応障害の原因に向き合い、その後の生活に向けた準備を行いましょう。以下に3つのポイントを解説します。
ストレッサーがなんだったのかを明らかにする
退職までの経緯を振り返り、適応障害を発症する原因となったストレス源(ストレッサー)が何だったのかを明確にする必要があります。ストレッサーがわかれば、症状の軽減や再発防止のための適切な対処法がわかります。例えば、仕事のノルマがストレッサーであれば、再就職を検討する際は自分のペースで働ける仕事を選ぶとよいでしょう。また、ストレス耐性を高めるためのカウンセリングを受けるのも有効です。
なお、違法な時間外労働や、過重労働により適応障害を発症した場合には、労災と認められる場合もあります。労災に認定されると、治療費や生活費の給付を受けられる可能性も。思い当たることがある人は、厚生労働条件相談ほっとラインを利用し、労働基準に関する専門家に無料で相談してみましょう。
有給をできるだけ取得しておく
有給休暇を取得するのは労働者の正当な権利であり、退職が決まっている場合も、もちろん取得できます。有給休暇は退職した時点で消滅するため、退職前にできる限り消化するのが理想的です。
とはいえ、急な退職の場合に有給休暇を使い切ることは難しいでしょう。その場合は、可能であれば退職日の調整や、有給休暇を会社に買い取ってもらうのも一案です。残った有給休暇を買い取ることは会社の義務ではありませんが、相談ができる会社もあります。
周囲の人への配慮も大切ですが、自分の権利である有給休暇を上手に活用できるよう検討してみましょう。
資産と支出をしっかり管理する
経済的な心配をすることなく適応障害の治療を続けるためには、お金の管理も重要です。退職後、次の就職までに期間が空く場合には、無収入の期間が発生するリスクがあります。貯金を切り崩しての生活に不安になることもあるでしょうが、資産額と支出を把握すれば、不要な心配をしなくて済みます。
これまで家計簿をつけていなかった人も、家賃や水光熱費、食費など月々にかかる必要経費を把握しましょう。必要経費がわかれば、収入がなくても貯蓄だけで何か月生活が維持できるのか予測できるため、経済面も含めて今後の方針を検討する余裕が生まれるでしょう。
適応障害で退職後に利用できる失業保険以外の制度
適応障害により退職した場合、失業保険を受給したくても、病状的にすぐに求職活動を行うことが難しいことも考えられます。また、受給には複数の条件があるため、該当しない人や、十分な金額を受け取れない人もいるでしょう。
ここでは、傷病手当金や自立支援医療など、適応障害で退職した人が利用できるその他の制度を紹介します。なお、適応障害で失業保険を受給する時のポイントについては以下の記事を参照ください。
傷病手当金
傷病手当金とは、健康保険に加入している人が、病気や怪我を理由に仕事を休んだ際に、給料の3分の2程度の手当金を受け取れる制度です。条件を満たせば、退職後にも受給できるため、退職後のお金の不安を軽減できます。
適応障害で退職する人が傷病手当金を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 退職日までに1年以上継続して健康保険に加入していた
- 退職日より前に傷病手当金を受給しているが、まだ1年6か月分の全てを受給していない
- 退職日より前に連続して3日間仕事を休み、退職日当日を休むことができる
- 労災の認定を受けていない
傷病手当金について詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。
自立支援医療
自立支援医療(精神通院医療)は、精神科の通院費を軽減するための制度です。この制度を利用すると、精神科を受診した際の医療費負担が原則1割負担で済みます。さらに、収入や症状によっては月ごとの負担上限額が設定されるため、診察料や薬代を心配することなく、適切に治療を継続できるでしょう。
適応障害と診断された方も、医師が通院継続の必要性を認めた場合には、自立支援医療を利用できます。具体的な手続きの方法は居住地によって異なるため、お住まいの地域の役所に確認してみてください。
障害者手帳
障害者手帳とは、その人の障がいの種類や程度を示す証明書です。取得することで、税金の控除や公共交通機関の割引などの経済的なサポートや、手帳の等級に合わせて就労支援などの福祉サービスを受けられます。
障害者手帳には3種類ありますが、適応障害は精神疾患に含まれるため、取得の可能性があるのは精神障害者保健福祉手帳です。しかし、適応障害の診断だけでは、障害者手帳の取得は難しいでしょう。障がいとは、病気の症状が固定し治らない状態を指します。
精神障害者福祉手帳の取得条件の一つに、発症から6か月以上経過していることがありますが、適応障害は半年以内には改善することが多い疾患です。
ただし、適応障害と診断された人のなかには、うつ病や発達障害など、別の診断がされていることもあり、その場合は障害者手帳の取得が検討できる場合もあります。手帳が取得できるかどうか、まず主治医に確認すると良いでしょう。
障害年金
障害年金は、障がいによって日常生活や仕事に支障があると認められた人に支給される年金です。ベースとなる障害基礎年金(2級)の場合は月に約67,000円で、1級に該当する場合や、厚生年金に加入している場合は更に支給額が増えます。
障害年金を受給するためには、保険料の納付をしているほかに、障がいの程度が定められた基準に該当する必要があります。障がいとは、生活に支障のある症状が長期に続く状態を指します。適応障害は一時的なものとみなされるため、通常は障害年金の対象とはなりません。ただし、適応障害以外に、うつ病や発達障害などの診断がある場合には、その疾患として障害年金の申請が可能です。
年金の受給を検討したい場合は、主治医に相談し、現在の診断や症状の程度について確認することをおすすめします。
生活保護
適応障害によって働けず、経済的に困窮した場合は、生活保護の受給も検討できます。憲法で保障された国民の権利ですので、必要なときはためらわずに窓口である福祉事務所へ相談してください。
対象となるのは、資産がなく、生活保護の受給以外に手立てがない人です。支給される金額は、居住地や世帯構成に応じて定められた「最低生活費」をもとに算定されます。ほかに収入がある場合には、生活保護の支給額が調整されます。
画像出典:生活保護制度|厚生労働省ホームページ
生活保護は自立した生活を目標とした制度です。そのため、受給中は担当者との定期的な面談があり、生活状況の確認や、自立に向けた指導を受けることになります。生活保護を利用しながら、自分らしい生活を取り戻していきましょう。
適応障害で退職した際に支援してもらえる機関
ハローワーク
ハローワークは失業者をサポートするための公的機関です。失業手当の手続きや求人案内だけでなく、退職後の生活面のサポートや、復職に向けた職業訓練、再就職後の職場定着支援などさまざまなサービスを提供しています。
病気や障がいのある人の支援にも注力しており、障害者手帳がなくても相談が可能です。必要時には他の機関との連携も可能ですので、退職後の生活や再就職に向けての不安があれば、まずハローワークに相談すると良いでしょう。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、病気や障がいにより現在働いていない人が、一般企業で働けるようサポートする福祉施設です。具体的には利用者の状況に合わせて、体調管理やコミュニケーションスキルの訓練、職業スキルの習得プログラムなどが個別で提供されます。
就労移行支援事業所を利用するには、お住いの地域の役所で所定の手続きを行う必要があります。障害者手帳の所持は必須ではありませんので、気になる方は直接施設に相談するか、どのような施設があるのか役所に相談すると良いでしょう。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、精神保健福祉法に基づく専門機関で都道府県ごとに設置されています。精神障がいのある人が利用できる自立支援医療や、精神障害者保健福祉手帳の判定業務などの専門的な業務を行う一方で、こころの問題に関する相談にも広く対応しています。匿名での電話相談も可能です。
相談の受付方法や時間帯は機関ごとに異なるため、詳細はお住まいの地域の精神保健福祉センターに確認してください。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、独立行政法人である高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営しており、全国の都道府県に設置されています。ハローワークや医療機関、事業主と連携しながら、就労に向けたカウンセリングや職業リハビリテーションを提供しています。
適応障害により休職中の人も、症状が安定していれば、復職に向けた訓練(リワーク支援)の利用を検討してみるのも良いでしょう。主治医に相談のうえ、最寄りの地域障害者職業センターへ問い合わせてみましょう。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障がいのある人を、就労と生活の両面からサポートする機関です。就職の相談だけでなく、金銭管理や健康管理などの日常生活上の相談にも応じています。
相談のなかで、具体的に利用したいサービスが明らかになった場合は、ハローワークや地域障害者職業センター、医療機関など他機関とも連携してくれます。仕事だけでなく、日常生活でも困ったときには、まず障害者就業・生活支援センターに相談すると良いでしょう。利用料もかかりません。
まとめ
労働環境によって適応障害になった場合は、ストレス源である仕事から距離をとり、十分に休息をとることが重要です。健康のために退職が必要になる場合もありますが、その場合は経済的な不安が生じる可能性があるため、必要な手続きや利用できる制度を調べておくと良いでしょう。
とはいえ、体調が優れないなかで慣れない手続きや制度の勉強をするのは大変です。手続きの負担や不安を軽減し、安心して療養するために、退職コンシェルジュによる社会保険給付金サポートの利用をおすすめします。
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