2024.12.11
給付金について
失業保険をすぐにもらうには?自己都合でも要件を満たせばもらえる!
失業保険をすぐにもらうためには条件があります。会社都合の場合、すぐにもらうことができますが、自己都合の場合は特定理由離職者とみなされなければなりません。
本記事では、失業保険をすぐにもらう方法と特定理由離職者とみなされるための要件などを詳しく解説します。
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失業保険とは?
失業保険をすぐもらうには、まず、「失業保険とはどのような制度なのか」を頭に入れておくことが大切です。基本的なことを理解しておけば、そもそも自分が対象なのかがわかり、スムーズに申請できるでしょう。
ここでは失業保険の概要や種類、受給条件などを詳しくまとめます。
失業給付の概要
失業給付とは、労働者が失業した場合及び雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、生活を支え、再就職活動を支援するための給付金制度です。正式名称は、雇用保険の「基本手当」です。
失業給付は雇用保険の被保険者が対象です。基本的には、次に当てはまる人は雇用保険の被保険者となります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
雇用保険に加入していると、失業給付の給付対象になります。
失業給付の種類
失業給付は雇用保険の「基本手当」ですが、厚生労働省が定める「失業等給付」の一つでもあります。失業等給付は、大きく分けて4つあります。
- 求職者給付
- 就職促進給付
- 教育訓練給付
- 雇用継続給付
このうち、失業給付が給付されるのは「求職者給付」です。ほかにも、失業者に対する手当にはさまざまな種類があります。
失業給付の受給条件
失業手当を受け取るための条件は次のとおりです。
- 雇用保険に加入し、保険料を支払っていること
- 離職前2年間に12か月以上の雇用保険の被保険者期間がある(特定受給資格者の場合は1年間に6か月以上)こと
- 就労の意志と能力があり、求職活動を行っていること
失業給付の受給金額
失業手当の受給額は「給付日数 × 基本手当日額」で決まります。退職前6か月間の総支給額の約50%〜80%(60歳〜64歳については45%〜80%)が支給されます。賃金の低い人ほど、給付率は高くなります。
なお、失業給付には上限が定められています。令和6年8月1日現在の上限は次のとおりです。
30歳未満 |
7,065円 |
30歳以上45歳未満 |
7,845円 |
45歳以上60歳未満 |
8,635円 |
60歳以上65歳未満 |
7,420円 |
失業給付の受給期間
失業給付の受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間です。所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日です。
所定給付日数は退職理由によって異なります。会社都合(特定受給資格者)や一部の特定理由離職者の場合、次のとおりです。
雇用保険の加入期間 |
|||||
1年未満 |
1年以上5年未満 |
5年以上10年未満 |
10年以上20年未満 |
20年以上 |
|
30歳未満 |
90日 |
90日 |
120日 |
180日 |
― |
30歳以上35歳未満 |
90日 |
120日 |
180日 |
210日 |
240日 |
35歳以上45歳未満 |
90日 |
150日 |
180日 |
240日 |
270日 |
45歳以上60歳未満 |
90日 |
180日 |
240日 |
270日 |
330日 |
60歳以上65歳未満 |
90日 |
150日 |
180日 |
210日 |
240日 |
自己都合の場合は次のとおりです。
被保険者だった期間 |
||||
区分 |
1年未満 |
1年~10年未満 |
10年~20年未満 |
20年以上 |
全年齢 |
90日(※) |
90日 |
120日 |
150日 |
※特定理由離職者については、被保険者期間が6か月(離職以前1年間)以上あれば基本手当の受給資格を得ることができます。
受給期間中に病気やけが、妊娠、出産、育児等の理由で30日以上働くことができなくなった場合は、働けなくなった日数分、受給期間を延長できます。延長できる期間は最長で3年間です。
退職理由で異なる失業保険の給付
失業保険の給付は退職理由によって異なります。ここでは退職理由を大きく次の2つに分けて説明します。
- 自己都合退職
- 会社都合退職
退職理由を決めるのは会社です。ただ、異議があればハローワークに申し立てることができます。
自己都合退職のときの失業保険
自己都合退職の場合は、すぐに失業保険を受け取ることはできません。2か月の給付制限期間があり、さらに7日間の待機期間を経る必要があります。
なお、以下に当てはまる場合は給付制限期間が3か月になります。
- 令和2年9月30日以前に自己都合で離職した人
- 自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された人
参考:厚生労働省|「給付制限期間」が2か月に短縮されます
参考:ハローワークインターネットサービス|よくあるご質問(雇用保険について)
会社都合退職のときの失業保険
会社都合退職の場合は、7日間の待機期間後、すぐに失業保険を受け取ることができます。
会社都合退職とは、会社からの一方的な解雇や倒産、事業部の廃止など、労働者が退職のタイミングを選べないケースを指します。
「特定受給資格者」と「特定理由離職者」
上述したように、自己都合退職の場合はすぐに失業保険をもらうことはできません。ただし、「特定理由離職者」に該当すればすぐにもらうことができます。
また、特定理由離職者と似たような言葉として「特定受給資格者」があります。ここではそれぞれを詳しく解説します。
「特定受給資格者」とは
特定受給資格者とは、倒産や解雇など会社都合で離職し、再就職の準備をする時間的余裕がないまま職を失った人のことです。いわゆる「会社都合退職」です。
上述したように給付制限がなくなり、所定給付日数が手厚くなる場合もあります。
参考:厚生労働省|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
「特定理由離職者」とは
特定理由離職者とは、自己都合で退職したにも関わらず、特定受給資格者(会社都合退職者)に近い扱いを受けられる人のことです。のちほど詳しく説明しますが、次のような人が該当します。
- 契約期間満了で更新を希望していたにもかかわらず、会社から一方的に契約を打ち切られた人(雇い止め)
- 結婚や出産、育児、介護などのために、仕事を続けるのが難しくなった人
特定受給資格者と同じように、給付制限が免除されます。また、所定給付日数が手厚くなるのも同じです。ただし、結婚や出産、育児、介護、体調不良やケガが理由の場合、所定給付日数は通常の自己都合退職と変わりません。
「特定受給資格者」と「特定理由離職者」の優遇
特定受給資格者や特定理由離職者に該当すると、給付制限が免除されるだけでなく、受給の条件が一部緩和されます。
被保険者期間 |
|
通常 |
離職前2年間に12か月以上 |
特定受給資格者・特定理由離職者 |
離職前1年間に6か月以上 |
このように、被保険者期間が短くても失業保険給付の対象となります。
「特定理由離職者」と認めてもらうために必要なもの
自己都合でも特定理由離職者に該当する人は、給付制限なしですぐに失業保険をもらえます。ただし、特定理由離職者に該当するかどうかを自分で決めることはできません。判断するのはハローワークです。
ハローワークに特定理由離職者と認めてもらうためには、根拠となる書類などを用意することが大切です。上記のケースを例に挙げて、求められる主な書類を紹介します。
求められる書類 |
|
契約期間満了で更新を希望していたにもかかわらず、会社から一方的に契約を打ち切られた人(雇い止め) |
労働契約書、雇入通知書、就業規則など |
結婚や出産、育児、介護などのために、仕事を続けるのが難しくなった人 |
受給期間延長通知書など |
体調不良やケガなど、やむを得ない事情で退職した人 |
医師の診断書など |
参考:厚生労働省|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
失業保険をすぐもらうには【自己都合の場合】
上述したとおり、自己都合の場合、「特定理由離職者」に該当すれば失業保険をすぐにもらうことができます。
ただ、「自分が特定理由離職者に当てはまるかどうかわからない」という方もいるでしょう。そこで、ここでは失業保険をすぐもらうために、特定理由離職者と判断される基準を紹介します。
雇い止め
例えば、派遣社員など期限付きの仕事において、契約の更新が明示されている一方、労働者本人が更新の希望を伝えたにもかかわらず、できなかった場合は、特定理由離職者に該当する可能性があります。
しかし、最初から労働契約において「更新しない」と決まっている場合は、特定理由離職者にはなりません。
体力面の問題
業務に必要な体力を維持できず、遂行が困難となり離職した場合も、特定理由離職者に該当する可能性があります。心身の障害や疾患によって業務を続けることができなくなったにもかかわらず、職場環境の調整や支援が不十分だったケースが対象です。
<求められる書類>
医師の診断書など
妊娠や出産、育児
妊娠・出産・育児を理由に離職した場合も、特定理由離職者に該当します。具体的には、次の理由によって、受給期間の延長措置の決定を受けた場合です。
- 離職理由が雇用保険法第20条第1項の受給期間の延長事由に該当している
- 離職の日の翌日から引き続き30日以上職業に就くことができない
<求められる書類>
受給期間延長通知書など
介護
父や母が亡くなったり、病気やけがをしたりした場合、または家族の看護が必要な場合です。介護が必要な家族の病気やけがで退職した場合には、退職の申し出をする段階で、看護が30日以上続く見込みであることが必要です。心身に障害がある人の看護も同じです。
また、自宅が火事や水害に遭い、働き続けるのが客観的に不可能または困難であると認められる場合も該当します。一方、学校への入学や教育のための退職は当てはまりません。
<求められる書類>
・健康保険証
・医師の診断書
・扶養控除等申告書など
別居生活が困難
配偶者や扶養する家族と別居を続けることが、家庭生活や経済的な理由で難しくなった場合が該当します。
一緒に住むために通勤が困難、または不可能な場所へ引っ越しして退職した場合も含まれます。
<求められる書類>
・転勤辞令
・健康保険証
・住民票の写し
・扶養控除等申告書など
通勤不可能または困難
次に当てはまる場合も、特定理由離職者に該当します。
理由 |
求められる書類 |
結婚で住所を変更したため通勤が不可能または困難となり、勤務継続が難しくなった場合(退職から住所移転までの期間がおおむね1か月以内であること) |
住民票の写しなど |
住所や職場の近隣に保育施設や親族がいない、または勤務時間と保育時間の関係で利用が難しく通勤困難になる場合 |
保育園の入園許可書など |
業所が通勤困難な場所に移転した場合 |
事業所移転の通知、移転先が分かる資料 |
住居の強制退去や天災で通勤困難となった場合 |
強制退去や天災の証明書など |
鉄道やバスの廃止、運行時間変更などの原因による通勤困難の場合 |
運輸機関の運行変更に関する書類 |
事業主の指示で通勤困難な場所に転勤または出向を命ぜられ、同居の家族と別居を避けるために退職した場合 |
転勤辞令、申立書、住民票の写しなど |
配偶者が転勤や再就職のため住所を変更し、同居を続けるために住所を移転した結果、通勤が困難となった場合 |
転勤辞令、住民票の写しなど |
人員整理等で希望退職者の募集に応じた
希望退職者の募集に応募して退職した場合も、特定理由離職者として認められることがあります。ただし、退職の目的が「人員整理」であることが条件です。
必要な書類については、ハローワークの窓口で確認してください。
失業保険をすぐもらうには【会社都合の場合】
会社都合、つまり特定受給資格者の場合、失業保険をすぐもらうことができます。特定受給資格者として判断される条件は大きく分けて2つです。
- 事業所の倒産
- 解雇
それぞれ詳しく解説します。
事業所の倒産
事業所が倒産した場合、特定受給資格者として認められます。
<倒産による離職>
倒産手続の開始や不渡手形の発生などが理由で退職した場合が該当します。再建型の倒産手続では、再生計画が決定される前に退職を申し出る必要があります。必要な書類は、倒産手続の申立てを証明するものです。
業務停止命令に伴う離職は、すべての業務が停止され倒産が確実となり、再開前に退職を申し出た場合が該当します。業務停止命令を示す資料が必要です。
<大量雇用変動による離職>
大量雇用変動による離職は、事業所で1か月に30人以上の離職が予定されている場合や、従業員の3分の1以上が離職した場合が該当します。この場合、公共職業安定所への届出などの確認書類が必要です。
<事業所の廃止による離職>
事業所の廃止による離職には、事業所の廃止、活動停止で再開見込みがない場合、または解散の議決が行われた場合が該当します。解散議決の議事録などの書類が求められます。
<事業所移転による通勤困難での離職>
事業所移転による通勤困難での離職は、通勤が困難(往復約4時間以上)な場所への事業所移転が理由で、移転後おおむね3か月以内に退職した場合が該当します。必要な書類は、事業所移転の通知、移転先情報、通勤経路の時刻表などです。
解雇
離職理由が次に提示する条件に1つでも当てはまる場合は、特定受給資格者に該当します。
- 勤務先からの解雇
- 労働条件の相違
- 賃金の未払い
- 賃金の低下
- 長時間の時間外労働
- 妊娠や出産、介護中の強制労働
- 職種転換時の無配慮
- 継続して3年以上雇用されている会社で、契約の更新を希望したが更新されなかった場合
- 契約の更新を行う旨が明示されているにも関わらず、契約の更新を希望したが更新されなかった場合
- 上司や同僚などから嫌がらせ
- 事業主からの退職勧奨
- 使用者の都合による休業の継続
- 業務の法令違反
参考:厚生労働省|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
まとめ
離職理由によって、失業保険がすぐもらえるかどうか変わります。
- 会社都合の場合:給付制限がなく、待機期間を過ぎればすぐにもらえる
- 自己都合の場合:待機期間に加え、2か月(最大3か月)の給付制限がある
ただし、自己都合の場合でも、「特定理由離職者」に該当すればすぐにもらうことができます。ご自身が特定理由離職者に該当するかどうかは、ハローワークに相談してみることをおすすめします。
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