2024.12.10
給付金について
失業保険(失業給付金)の受給に確定申告は原則不要!した方がよいケースも解説
失業手当をもらっていても年内に再就職が決まった場合や収入が失業手当のみの場合は、確定申告の必要はありません。しかし、再就職が年内に決まらなかったり、失業手当以外の収入があったりする場合は確定申告したほうがよいケースもあるため注意が必要です。
この記事では、失業手当をもらった期間がある場合に確定申告が必要なケースを具体的に解説します。また、失業手当の受給方法や確定申告の手順、扶養に入りながら失業手当をもらう条件などを紹介します。
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失業給付金は基本的に確定申告不要
会社を退職後、失業給付金(失業保険、失業手当)をもらっていた時期があっても基本的に確定申告は不要です。
失業給付金は所得とはみなされず、課税対象にはなりません。なぜなら、失業給付金から税金をとってしまうと、手取り金額が減って生活が困難になる可能性があるためです。
保障のための給付金という理由から、失業給付金を確定申告で申告する必要はありません。ただし、確定申告したほうがよいケースもあるため注意が必要です。
そもそも失業給付金とは
失業給付金とは失業手当や失業保険とも呼ばれ、労働者が失業した場合や雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、再就職までの生活費を保障するための給付です。収入が途絶えてしまうと就職活動に集中しにくくなるため、職が見つかるまでの間の生活を安定させる目的で給付されます。
「パートやアルバイトでは失業給付金をもらえないのでは?」と思うかもしれませんが、雇用保険(失業保険)に加入していると失業時に給付を受けられます。
ただし、受給には条件があるため、ここでは受給条件と受給金額、受給期間を説明します。
失業給付金の受給条件
失業給付金を受け取るためには、次の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険に加入し、保険料を支払っている
- 退職前の2年間に12カ月以上雇用保険の被保険者期間がある(特定受給資格者の場合は退職前1年間に6カ月以上の被保険者期間がある)
- 就労の意志と能力があり求職活動を行っている
特定受給資格者とは、倒産や会社都合の解雇により離職を余儀なくされた者を指します。自己都合による一般の離職者は、退職前2年間に12カ月以上雇用保険の被保険者期間が必要です。
また受給条件だけでなく、給付開始までの期間も退職理由によって異なります。自己都合退職した一般の離職者は、原則2カ月間の給付制限期間が発生します。
失業給付金の受給金額
失業給付金の受給金額は失業前の給与額と離職者の年齢によって変動し、「給付日数 × 基本手当日額」で決まります。一般的に、受給額は離職前の給与総支給額の50%〜80%(60歳〜64歳については45%〜80%)程度です。
具体的な受給金額の計算手順は、以下のとおりです。
計算手順:
1. 賃金日額の計算方法:退職前6カ月の賃金合計 ÷ 180
2. 基本手当日額の計算方法:賃金日額 × 給付率
3. 基本手当総額の計算方法:基本手当日額 × 給付日数
「基本手当日額」とは1日当たりの支給額で、離職前の賃金を基に算出されます。ボーナスなどの賞与を除く退職前6カ月間の賃金を180日で割った「賃金日額」に、50〜80%の給付率を掛けた金額です。
給付率は離職時の年齢や退職前の賃金によって変動し、一般的には賃金が低いほど給付率が高くなります。基本手当日額には上限があり、上記の計算で上限金額を超える場合は上限額が基本手当日額となります。また、下限を下回る場合は最低額の2,295円が基本手当日額です(2024年8月時点)。
離職者の年齢 |
上限額 |
30歳未満 |
7,065円 |
30歳以上45歳未満 |
7,845円 |
45歳以上60歳未満 |
8,635円 |
60歳以上65歳未満 |
7,420円 |
失業給付金の受給期間
失業給付金の受給期間は、離職者の年齢と雇用保険の被保険者期間によって異なります。また、離職の理由によっても異なるため、会社都合のケースと自己都合のケースそれぞれを解説します。
<会社都合の場合>
倒産や会社都合の解雇により離職した特定受給資格者は、自己都合退職と比較して以下の表のように給付日数が長く設定されています。
また、一部の特定理由離職者も会社都合の離職と同様に、以下の表に従って受給期間が定められています。一部の特定理由離職者とは、期間の定めがある労働契約が満了し、契約の更新がなく離職した者です。ただし、契約更新を希望したにもかかわらず、会社と合意に至らず契約が成立しなかった場合に限ります。
年齢 |
被保険者期間 |
||||
1年未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
|
30歳未満 |
90日 |
90日 |
120日 |
180日 |
ー |
30歳以上 35歳未満 |
120日 |
180日 |
210日 |
240日 |
|
35歳以上 45歳未満 |
90日 |
150日 |
180日 |
240日 |
270日 |
45歳以上 60歳未満 |
90日 |
180日 |
240日 |
270日 |
330日 |
60歳以上 65歳未満 |
90日 |
150日 |
180日 |
210日 |
240日 |
出典:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数
<自己都合の場合>
自己都合による退職は年齢による給付日数の変動はなく、以下の表のように雇用保険の被保険者期間に応じた期間が設定されています。以下の受給期間は、自己都合退職した一般の離職者と会社都合に該当しない特定理由離職者に適用されます。
年齢 |
被保険者期間 |
||
10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
|
全年齢 |
90日 |
120日 |
150日 |
出典:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数
確定申告をしたほうがよいケース
冒頭で解説したとおり失業給付金は課税対象外のため、基本的に確定申告は不要です。
しかし、一部のケースでは確定申告することで還付金が戻ってくるケースもあります。そのため、ここでは失業給付金をもらったときに確定申告したほうがよいケースを紹介します。
年内に再就職しなかった場合
年の途中で退職し、その年に再就職しなかった場合は確定申告したほうがよいケースがあります。なぜなら、年末調整で戻ってくるはずだった還付金がもらえない可能性があるためです。
雇用主が行う年末調整では、給与から源泉徴収として天引きされた所得税額と実際に支給された1年間の給与支給額から計算した所得税額の差額を算出して、還付あるいは追加徴収を行います。つまり、年の途中に退職して年内に再就職しない場合は年末調整が受けられず、還付金があっても受け取れません。
年内に再就職しない場合に確定申告すると、払い過ぎた税金が戻ってくる可能性がありますが、申告書類を作成する手間もかかります。還付額や手間を考慮し、必要に応じて確定申告するとよいでしょう。
また、失業中に支払った社会保険料がある場合、確定申告で社会保険料控除を受けられるため、還付金額が増えるケースがあります。確定申告する場合は、社会保険料の申告も忘れないようにしましょう。
失業中に収入があった場合
失業給付金の給付制限中や受給中も、週20時間未満のパートやアルバイトが認められています。給与から源泉徴収され、年末調整を受けた場合は原則として確定申告は不要ですが、年内に再就職しなかった場合や年末調整されていない収入があった場合は確定申告が必要です。
また、不動産所得や配当所得等による収入が年間20万円を超える人など、失業中に収入がある場合は確定申告が必要になります。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
退職時に退職金を受け取った場合、通常は退職金の支給時に源泉徴収されるため確定申告は不要です。ただし、退職金の支払いを受ける時までに会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合は、個人で確定申告する必要があります。
「退職所得の受給に関する申告書」とは、退職金を受け取る人が勤務先に提出することで源泉徴収してもらうための書類です。この書類を提出しなかった場合は、自動的に退職金の20.42%が源泉徴収されます。
本来支払うべき税金より多く支払ってしまっている可能性があるため、還付を受けるためにも退職金を受け取った翌年に確定申告したほうがよいケースです。
税金の控除を受けたい場合
確定申告は税金の過不足を調整するだけでなく、各種控除を申告して税負担を軽減できるメリットがあります。
たとえば、一定金額以上の医療費を支払った場合、確定申告すると還付金を受け取れるケースがあります。ただし、年末調整では申告できませんので、控除を受けたい場合は個人での確定申告が必要です。
確定申告が必要な控除の一例は、以下のとおりです。
- 医療費控除
- 雑損控除
- 寄付金控除
通常は住宅ローン控除を受ける際、入居2年目以降から年末調整で控除できますが、失業中に年末調整を受けられない場合は確定申告が必要です。
再就職先に失業中の社会保険料を伝え忘れた場合
退職後、再就職するまでに自分で社会保険料を納めた場合、再就職先での年末調整で「給与所得者の保険料控除申告書」を提出すると会社側で手続きしてくれます。
「給与所得者の保険料控除申告書」は、会社を通して支払っていない社会保険料を把握し、精算するための書類です。個人で支払った社会保険料は会社が把握していないため、年末調整で書類を提出し忘れた場合は、自分で確定申告する必要があります。
個人事業主になり一定の条件に当てはまった場合
退職後に個人事業主となった場合は勤務先で年末調整を受けられないため、個人で確定申告する必要があります。
ただし、1年間の事業所得合計が48万円以下の場合は基礎控除により所得が課税されないので、確定申告は不要です。事業所得とは、個人事業主として営む事業から得られた所得で、収入金額から必要経費を差し引いた金額を指します。
たとえば、個人事業主として50万円の収入があった場合でも、必要経費が5万円であれば事業所得は45万円となり確定申告は必要ありません。一方、収入が50万円で必要経費が1万円だった場合、事業所得は49万円となり確定申告が必要です。
確定申告とは?必要書類や手続き期間
ここでは、必要な書類や申告期間など確定申告するうえで知っておきたい情報を紹介します。
そもそも確定申告とは
確定申告とは、1月1日から12月31日までの総所得に対して納めるべき税金を計算し、申告・納税する手続きです。会社員などの給与所得者は、年末調整として会社が手続きするため、基本的に確定申告は必要ありません。
確定申告が必要な条件を一部紹介します。
- 個人事業主で事業所得が48万円を超える
- 給与を1カ所から受ける給与所得者のうち、給与所得や退職所得を除く各種の所得金額が20万円を超える
- 給与を2カ所から受ける給与所得者のうち、年末調整を受けていない1カ所と各種の所得金額の合計が20万円を超える
- 源泉徴収されていない退職所得がある
必要書類
確定申告では、作成した確定申告書と必要書類をまとめて管轄の税務署に提出する必要があります。所得の種類や受ける控除によって必要書類は異なりますが、共通して必要な書類は以下のとおりです。
- 本人確認書類
- 還付を受ける銀行口座の情報
- 所得金額がわかる書類
- 控除の適用を証明できる書類
- 印鑑
本人確認書類はマイナンバーカード、またはマイナンバーカード以外の個人番号が記載された書類+身元確認書類(運転免許証、健康保険証など)が必要です。
給与所得などで源泉徴収されている場合、源泉徴収票を参考に確定申告書を作成します。しかし、源泉徴収票の添付や提示は不要です。
手続き期間
確定申告する場合、申告と納税の期限は翌年の2月16日から3月15日までです。たとえば、2024年1月1日から12月31日までの所得を申告する場合は、2025年2月16日から3月15日までに申告と納税を行います。
納税の必要がない還付申告であれば、確定申告期間に限らず翌年の1月1日から5年以内に申告すれば、還付金を受け取れます。
期限を過ぎてから申告することを期限後申告と呼び、期限後申告すると無申告加算税が課されるケースもあります。無申告加算税を課されたくないからと申告しない場合、悪質とみなされると重加算税や刑事罰を課される可能性があるため注意しましょう。
確定申告の申請方法
それでは、実際に確定申告する際の申請方法を解説します。
必要な書類を用意する
まずは、必要書類を準備しましょう。必ず必要な書類は、以下のとおりです。
- 確定申告書
- 印鑑
- マイナンバーカードや通知カードなど個人番号のわかる書類
- マイナンバーカード以外の個人番号書類の場合は身元確認書類(運転免許証や健康保険証など)
- 源泉徴収票
また、該当する場合に必要な書類があれば準備しておきます。特に控除証明書は原本の添付が必要になるため、提出までなくさないように保管しましょう。
- 生命保険料や社会保険料、地震保険料など控除証明書
- 還付金を受け取る銀行口座の通帳
結婚などで氏名が変わったときは、申告時点の氏名と同じ名義の銀行口座が必要です。控除証明書が旧姓になっている場合は、発行元に訂正してもらう必要はありません。
転居で住所が変わったときは、住民票を置いている場所に関係なく引っ越し先の住所を管轄する税務署に申告書類を提出します。提出の際、住所変更に関する書類は不要です。
確定申告書を作成する
必要書類を手元に準備できたら、確定申告書を作成します。確定申告書は税務署でもらうか、国税庁のホームページから印刷できます。手書きでも作成可能ですが、確定申告ソフトがなくても「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従うだけで書類を作成できて簡単です。
確定申告書は、準備した源泉徴収票や所得を証明する書類、控除証明書をもとに必要箇所に記入していきます。記入漏れや記載間違いに注意し、間違いがないかしっかり確認しましょう。
確定申告書を提出する
確定申告書の作成と添付書類の準備が整ったら、所轄の税務署に書類を提出しましょう。書類の提出方法は、主に以下の3つです。
- 税務署へ持参して窓口で提出する
- 税務署に郵送または信書便で送付する
- e-Taxを利用して電子申告する
郵送や信書便で送付する場合は通信日付印に表示される日付が提出日となるため、申告期限日の当日に送付手続きが行われていれば期限内とみなされます。ただし、当日郵送する準備ができても郵便局の受付時間に間に合わないなど、トラブルが起きるとも限りません。確定申告書類は余裕を持って提出しましょう。
また、前述のとおり確定申告の期限は3月15日までですが、期日までに書類の提出だけでなく所得税の納付まで行う必要があることに注意が必要です。納付方法は、以下から選べます。
納付方法 |
必要な手続き |
上限額 |
現金納付 |
納付書に記入のうえ、金融機関または所轄税務署で納付 |
なし |
ダイレクト納付 |
e-Taxの開始手続き後、税務署にダイレクト納付利用届出書を提出し、口座引き落としで納付 |
なし |
インターネットバンキング等 |
e-Taxの開始手続き後、インターネットバンキングやATMで納税 |
なし |
クレジットカード納付 |
「国税クレジットカードお支払サイト」から納付 |
なし |
スマホアプリ納付 |
「国税スマートフォン決済専用サイト」からアプリ決済で納付 |
30万円以下 |
コンビニ納付 |
「コンビニ納付用QRコードの作成」でQRコードを作成し、コンビニで納付 |
30万円以下 |
振替納税 |
e-Taxまたは書面で預貯金口座振替依頼書を提出し、振替日に口座引き落としで納付 |
なし |
出典:国税庁|【税金の納付】
振替納税は一度手続きしておくと、翌年以降は手続きなしで登録した銀行口座から引き落とされます。継続して確定申告するときは便利な納付方法ですが、転居などで納税地を変更する場合、再度手続きが必要になります。一時的に確定申告が必要になった場合などは、事前手続き不要で上限額もない現金納付がおすすめです。
期限までに納付金額の1/2を納付すれば、残りの金額は当年の5月31日まで延納できます。ただし、延納期間中は年0.9%の利子税がかかるため、本来納付すべき所得税額より多く納税することになります。
還付時期の目安は、確定申告書を書面で提出した場合は1〜1.5カ月程度、電子申告の場合は2〜3週間程度です。書類に不備があったり、手続きが混み合う時期と重なったりすると処理に時間がかかり、還付時期が遅くなることもあります。
提出書類に間違いがないかしっかり確認し、期限ギリギリでの提出にならないように前もって準備を進めておきましょう。
失業保険の受給方法
ここからは、失業給付金の受給方法を解説します。必要書類の準備から給付までの流れを説明するので、退職後にどのような手続きが必要か確認してみましょう。
必要書類を揃える
失業給付金を受給するためには、退職後にハローワークで求職申し込みの手続きをします。求職申し込みでは、以下の書類が必要になります。
- 雇用保険被保険者離職票-1、2
- 雇用保険被保険者証
- 証明写真2枚(たて3.0cm×よこ2.4cm、証明上半身)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、住民票記載事項証明書)
- 身元確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など)
雇用保険被保険者離職票は、退職した会社からもらえます。雇用保険被保険者証は会社が保管しているケースが多く、その場合は雇用保険被保険者離職票と一緒に手元に戻ってきます。被保険者が保管している場合に紛失が発覚したら、ハローワークで再発行してもらいましょう。
また、証明写真は受給手続きや支給申請ごとにマイナンバーカードを提示すれば省略できます。
ハローワークに給付を申し込む
必要書類が手元に揃ったら、ハローワークで求職申し込みの手続きをしましょう。具体的には、次の流れで手続きします。
1.ハローワークの検索・登録用パソコンで求職情報を入力するか、求職申込書に記入する
2.相談窓口で求職申し込み手続き、職業相談を行う
3.雇用保険受給者初回説明会の日時が決定する
申し込み後、受給資格が決定すると「失業等給付受給資格者のしおり」が渡されます。雇用保険受給者初回説明会は申請日から7日間の待機期間を経て、1〜2週間後に指定されます。説明会に参加しないと受給できないため、忘れないようにメモしておきましょう。
待機期間を過ごす
ハローワークでの求職申し込みの手続き後、7日間の待機期間が設けられます。この待機期間は、ハローワークが失業状態を調査するための期間のため、短時間の勤務やパート・アルバイトで就労してしまうと「失業状態にある」と認定されず給付されません。
また、待機期間中に入社を迎えると失業状態とは認定されず失業給付金が給付されないだけでなく、お祝い金である再就職手当も受け取れなくなってしまいます。「給付金はいらないから一刻も早く再就職したい」という場合を除き、待機期間中は就労や求職活動はしないほうがよいでしょう。
雇用保険説明会に参加する
失業給付金を受給するには、指定された日時に開催される雇用保険受給者初回説明会に参加する必要があります。説明会では失業保険の仕組みや受給の流れ、求職方法などが詳しく説明されるため、今後の求職活動をスムーズに進めるためにも理解を深めるよう努めましょう。
説明会に持参するものは、以下のとおりです。
- 雇用保険受給資格者のしおり
- 印鑑
- 筆記用具
終了後に雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が渡され、初回の失業認定日が案内されます。
求職活動を始める
説明会で案内された初回の失業認定日までに、1回以上の求職活動を行うことで失業が認定され、給付金を受給できます。雇用保険受給者初回説明会が求職活動1回分の実績と認められているため、初回の失業認定日までに別の活動を行わなくても問題ありません。
2回目以降の失業認定日では、原則として2回以上の求職活動実績が求められるため、計画的に実績を作る必要があります。具体的には、ハローワークや認可機関が開催するセミナーへの参加、求人への応募、職業相談などが求職活動の実績になります。
求人情報の閲覧や知人への紹介依頼だけでは求職活動とみなされないため、実績になるか確認しながら求職活動を進めましょう。
失業認定日にハローワークを訪れる
指定された失業認定日にハローワークへ赴き、失業認定申告書に求職活動の状況を記入し、雇用保険受給資格者証と一緒に提出します。
失業認定日は4週間ごとに1日指定されますが、初回は離職票を提出した日から約3週間後に設定されます。
失業保険を受給しながら扶養に入る条件
配偶者の扶養家族になっている場合や失業に伴い扶養に入りたい場合、失業給付金の受給要件を満たしていれば受給できます。
ただし、失業給付金を受給しながら扶養に入れないケースもあるため注意が必要です。ここでは、失業給付金を受給しながら扶養に入る条件を紹介します。
税法上の条件は年収103万円以下
所得税法上、被扶養者の年収が103万円以下の場合は所得税が発生せず、かつ扶養している配偶者が配偶者控除を受けられます。給与所得控除額が最低55万円、基礎控除が最大48万円であるためです。
ただし、年収が103万円を超えていても一定の条件を満たせば、年収200万円までは配偶者特別控除を受けられます。
退職前の給与は、会社が発行する源泉徴収票で確認できます。源泉徴収票は退職後1カ月以内に会社が交付する義務があるため、発行が遅れている場合は勤務していた会社に問い合わせましょう。
社会保険上の条件は年収130万円未満
退職後は任意継続しない限り、加入していた健康保険から国民健康保険へ切り替える必要があります。しかし、扶養家族になれば配偶者の健康保険に加入できる場合もあり、その基準は今後の年収が130万円未満になる予定であることです。
配偶者の健康保険に扶養で入るには、失業給付金を含めた収入で判断されます。収入が失業給付金のみの場合、基本手当日額が3,611円以下であれば年収が130万円以下となり、扶養の対象となります。
基本手当日額の計算方法は、以下のとおりです。
賃金日額 = 退職する6カ月間の給与(賞与除く) ÷ 180日
基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(45~80%)
ただし、扶養に入れる条件は配偶者が加入する健康保険組合によって異なるため、詳細は配偶者の勤める会社に確認しましょう。
失業保険を受給しながら扶養に入るメリット
扶養に入るためには、配偶者が勤める会社に確認が必要だったり、被扶養者届などの書類を会社に提出したりと手間がかかります。
しかし、失業給付金を受給しながら扶養に入るメリットもあるため、どのようなメリットがあるかを把握して扶養に入るかどうかを検討しましょう。
配偶者控除を受けられる
扶養に入ると配偶者控除の対象となるため、世帯全体の税負担が軽くなります。配偶者控除は年収103万円以下が条件で、納税者の合計所得金額が900万円以下の場合は38万円の控除が受けられます。
年収が103万円を超えてしまった場合でも、配偶者特別控除が受けられるケースもあります。たとえば、納税者の年間合計所得が900万円以下で、扶養される配偶者の年間合計所得が103万円超133万円以下の場合、配偶者特別控除の金額は3万円です。
被扶養者の保険や年金の負担が減らせる
退職後は国民健康保険や国民年金に加入する必要がありますが、扶養家族として配偶者の社会保険に加入すると、社会保険料の負担がなくなります。
国民年金の保険料は2024年度で月額16,980円、国民健康保険料は自治体や前年度の収入によって異なりますが、東京新宿区の目安では総所得200万円で月額2万円程度です。次の就職先を探す間は失業給付金で生活費をまかなわなくてはならないため、社会保険料の負担を減らせることは大きなメリットです。
失業保険を受給しながら扶養に入る際の注意点
失業給付金を受給しながら扶養に入ると、配偶者控除を受けられたり社会保険料の負担を減らせたりするメリットがあります。
一方で、失業給付金を受給しながら扶養に入る際に注意しなければならないポイントもあるため、ここで解説します。
社会保険上では収入扱いとなる
失業保険給付金は収入とみなされないため、確定申告や年末調整で申告する必要はなく、扶養に入って配偶者控除を受けられる「年収103万円以下」の条件にも含まれません。
しかし、社会保険上では失業給付金も収入とみなされるため、扶養家族として配偶者の健康保険に加入できる「年収130万円未満」の条件に受給額が含まれます。
扶養に入りたい場合は、失業給付金の基本手当日額を確認したうえで、配偶者が加入する健康保険組合に加入できるか確認しましょう。
不正受給にはペナルティがある
申請時に条件を満たして社会保険上の扶養に入っていても、年収130万円以上になると扶養認定が取り消されてしまいます。ただし、収入の増加が一時的であれば、即時取り消しとはならないケースもあるようです。
しかし虚偽申請と判断されると、扶養認定の取り消しだけでなく、過去にさかのぼって支払われた保険給付金を返還する必要があります。
「言わなければバレないのでは?」と思うかもしれませんが、扶養手続きはマイナンバーを通して行われるため、不正受給の発覚リスクは高いとされています。条件を超えてしまうとわかったら、速やかに扶養を抜ける手続きをしましょう。
まとめ
失業給付金は再就職までの期間、安定した生活を保障するための給付です。そのため非課税となり、失業給付金に対して所得税や住民税などの税金を納める必要はありません。課税対象ではないため、収入が失業給付金のみの場合は確定申告も不要です。
家族の扶養に入りながら失業給付金を受給することも可能で、失業中の社会保険料の負担を軽減できます。しかし、失業給付金を受け取るためには必要書類を揃えて申請し、ハローワークで指定された手続きを進めなくてはなりません。
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