2024.11.15
給付金について
就業手当金とは?受給条件や手続き、注意事項を解説
「就業手当金とは何?」「どうすればもらえる?」とお悩みの方もいることでしょう。就業手当は、失業保険受給者が条件を満たすことで受け取れる給付金です。
本記事では、受給条件や申請方法、受給の際の注意事項について解説します。注意事項や、似た制度の「再就職手当」との違いについても紹介していますので、損をしないために参考にしてみてください。
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就業手当金とは
就業手当は、失業保険の就職促進給付の一つであり、条件を満たして就業した際に受け取れる手当です。合わせて、就業手当と似た制度の「再就職手当」との違いについても理解を深め、自分がどちらに当てはまるか考えてみてください。
就業手当は失業保険の就職促進給付の一つ
失業保険受給者の就職促進給付の手当には「就業手当」「就業促進定着手当」「再就職手当」「求職活動関係役務利用費」などがあります。就業手当とは、失業保険(基本手当)の受給資格がある人が、雇用期間の定めがある非正規雇用の形態で就業した時に受け取れる手当です。ただし、就業手当は令和7年3月31日をもって廃止される点に注意しましょう。
就業手当と再就職手当との違い
就業手当と再就職手当の違いは、雇用期間の違いです。雇用期間1年以上の職に就いた人は再就職手当、1年未満の職に就いた人は就業手当をそれぞれ受け取れます。
共通点は、失業保険(基本手当)の受給資格がある人のみが受け取れることです。また、どちらも就職した時点で、失業給付金は受け取れなくなります。
就業手当の受給条件
就業手当金の受給には、下記6つの条件をすべて満たす必要があります。
- 就職日の前日時点で、基本手当の支給残日数が45日以上、所定給付日数の3分の1以上あること
- 1年以上雇用される見込みがないアルバイトやパート、期間雇用など、安定した職業に該当しない就業をしたこと
- 求職の申し込み以前に採用が決まっていた事業者に雇用されたわけではないこと
- 離職前の事業者に再雇用されたものでないこと
- 離職理由による給付制限期間中の方で、待期満了後1か月の期間内の場合は、ハローワーク(公共職業安定所)の紹介で職に就いたこと
- 待期(離職の手続きを行い、失業保険の受給資格を得た後の7日間)が経過したあとの就業であること
ここでの「就業」とは、「7日以上の契約」「週20時間以上の労働時間」「週4日以上の勤務日数」の条件を満たす状態を指します。内定・採用=就業手当金の受給とはならない点に注意しましょう。
就業手当の受給額や期間
就業手当の計算方法は、下記のとおりです。
就業手当=基本手当日額×30%×就業日
就業手当の支給額は、就業した日数に応じてもらえる仕組みです。年齢により、1日あたりの支給額上限が決められており、令和6年8月1日時点の1日の最大支給額は1,918円、60歳以上65歳未満は1,551円です。
ここで40歳、自己都合退職者の就業手当の計算方法について解説します。
離職時の年齢 |
40歳 |
退職理由 |
自己都合 |
離職後の基本手当 |
6,000円/日額 |
基本手当の所定給付日数 |
90日 |
基本手当の受給日数 |
10日 |
基本手当の支給残日数 |
80日 |
就職形態・勤務日数 |
期間雇用・40日 |
就業手当の日額=6.000円×30%=1,800円です。年齢から見る最大支給額(1,918円)を超えていないため、1,800円として計算します。
受け取り期間の上限=支給残日数のため、この場合は80日です。ただし、「働いた日」と「基本手当支給残日数」の少ないほうが適応されるため、今回受け取れるのは40日分です。
上記の計算式に当てはめると、就業手当金の総額は、1,800円×40日=72,000円となります。
就業手当の受給手続き
就業手当を受給するためには、ハローワークに行き、失業保険の給付手続きを行う必要があります。手続きから就業手当申請までの流れについて解説します。
1.ハローワークで失業保険の手続きをする
ハローワークで失業保険の手続きを行う手順は、下記のとおりです。
1.退職した会社から「雇用保険被保険者離職票」を受け取る
2.ハローワークにて「求職の申し込み」を行い、必要書類を提出する
3.待機期間(7日間)を待つ
4.雇用保険受給者の初回説明会に参加する
5.失業認定を受ける
6.4週に1回、失業認定を受けにハローワークに行く
ハローワークに持参する必要書類について、下記にまとめました。
- 雇用保険被保険者離職票
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
- 身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 写真(マイナンバーカードがある場合は不要)
- 本人名義のキャッシュカードまたは預金通帳
2.就業先を決める
失業認定を受けたら、失業保険を受給しつつ、就職活動を進めます。年齢やスキルにもよりますが、就業先が決まるまで大体1〜2か月はかかると見込んでいた方がよいでしょう。失業手当の支給日数が45日以上かつ3分の1残っており、かつ就業先の就業期間が1年未満の場合は就業手当が申請できます。
3.就業手当を申請する
就業先が決まったらハローワークに報告し、就業手当を申請します。申請書類は、ハローワークインターネットサービスのwebサイトで作成し、印刷して失業認定日に持参するほか、電子申請による届出も可能です。
就業手当の申請には、下記書類を用意しましょう。
- 就業手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 就業していることがわかる書類(給与明細など)
就業手当金を受け取るにあたって注意すべきこと
就業手当金は、非正規雇用での就職決定後の金銭面サポートにおいて強い味方になってくれますが、受け取るにあたっては、注意点があります。損をしないためにも確認しておきましょう。
就業手当を申請すると失業保険はもらえなくなる
就業手当を申請すると、残りの失業手当は支給されなくなります。同時に両方の手当をもらうことはできません。就業手当を受けたのちに、早期退職したとしても、条件を満たしていなければ失業手当が受給されない可能性があり、注意が必要です。
また就業手当は、就職のタイミングが遅い場合にももらえません。失業保険の支給期間が、3分の1以上かつ45日以上残っている必要があります。
就業手当金をもらう方が損することもある
就業手当は、基本手当日額の30%です。短期間の仕事に就いた場合、想定していたよりも手当金が少ない可能性があります。失業保険の受給額が少なく、生活費の捻出が厳しいからと、焦ってアルバイトや期間雇用として就職した結果、「基本手当の支給を頼りに、正社員の仕事を探せばよかった」と後悔する事態になりかねません。
就業手当の支給は受けず、基本手当の支給を受けたほうが得をすることもあります。ただ、受け取る予定の失業手当は、先送りすることもできるため、求人倍率のチェックや手当金の金額計算などを行い、自分にとってどちらが得かを考えてみましょう。
就業手当は自己都合でもパートやアルバイトでももらえる
就業手当は、自己都合による失業や、派遣やアルバイトなどの非正規雇用の形態でも受け取れます。現在在職中の方も、いざというときに備えて覚えておきましょう。
ただし、正当な理由がない自己都合で退職し、失業した場合は、2か月の給付制限が発生します。失業手当の受け取りまでに時間がかかるため、注意が必要です。
まとめ
就業手当は、失業保険を給付中かつ6つの条件を満たしている場合に支給されます。自己都合退職や、パート・アルバイトなどの非正規雇用での就職でも受給できるケースがあるため、自分が当てはまるかどうかを確認しましょう。
就業手当のように、本来受給対象にも関わらず、制度を知らずに申請せず、受け取っていない方は少なくありません。社会保険給付金サポートサービスでは、退職前・退職後ともに丁寧なヒアリングを実施しています。
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