2024.11.16

給付金について

再就職手当の支給金額とは?受給要件や受け取るメリット・デメリット紹介

再就職手当の金額は、年齢や条件により異なります。計算式は「基本手当日額×基本手当の支給残日数×60%(条件により70%)」です。しかし、8つの要件をすべて満たさなければ、せっかくの再就職手当も受け取れません。

本記事では、8つの受給要件と受け取るメリット・デメリット、具体的な受給例、申請期限について、初めて受給する方向けにわかりやすく解説しています。

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再就職手当とは

再就職手当とは、 雇用保険における「就職促進給付」の一つです。雇用保険の受給資格があり、失業給付(基本手当)を受給中の方が、一定の要件を満たして再就職した場合に支給されます。

失業者の早期就職を応援する制度のため、再就職までの期間が早ければ早いほど、手当の給付率が高くなります。

再就職手当の受給金額

再就職手当の支給額は、基本手当日額と基本手当の支給残日数によって決まります。

ここでは、計算式と具体的な支給例について紹介します。

再就職手当の計算方法

計算式は、次のとおりです。

再就職手当の額=基本手当日額×基本手当の支給残日数×60%

基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている状態で再就職すると、計算式に用いる率は60%から70%に上がります。

再就職手当の支給例

再就職手当の支給例は、再就職までの期間(支給残日数)や離職前の給与、年齢などにより異なります。ここでは複数の例を紹介します。

≪Aさん(33歳)の場合≫
基本手当日額:4,000円
所定給付日数:90日
退職理由:自己都合
給付制限期間中(20日経過時点)に、知人の紹介で再就職

自己都合退職の場合、7日間の待機期間と2か月の給付制限期間があります。給付制限期間中に再就職して再就職手当を受給する場合、ハローワークや職業紹介事業者の紹介以外での就職は「給付制限が30日以上経過している」という条件を満たす必要があります。Aさんの場合、給付制限が30日以上経過していないため、再就職手当は0円です。

 

≪Bさん(42歳)の場合≫
基本手当日額:5,000円
所定給付日数:180日
退職理由:会社都合(特定受給資格者)
受給資格決定日から50日後に再就職

所定給付日数が180日ですが、待期期間は基本手当が支給されないため、基本手当の支給残日数は138日となります。基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っているため、70%の給付率で計算されます。

計算式は、下記のとおりです。

5,000円×138日×70%=483,000円

早期再就職により、支給率が上がるため、就職活動のモチベーションアップにつながるでしょう。

再就職手当の受給要件

再就職手当を受給するためには、次の8つの条件すべてを満たす必要があります。

1.受給手続き後の7日間の待期期間が終わってから就職または事業を始めたこと
2.就職日前日まで失業認定を受け、支給残日数が給付日数の3分の1以上あること
3.新しい就職先と前の職場に、人事や取引などの深い関係がないこと
4.新しい職場で1年以上働く予定であること
5.新しい職場で雇用保険に加入していること
6.過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受けていないこと
7.受給資格が決まる前から採用が決まっていないこと
8.給付制限期間がある場合、待期期間終了後の最初の1か月間はハローワークなどの紹介で採用されたこと

早期に再就職すると、支給額が増えるというメリットがありますが、7日間の待機期間中に入社日をむかえた場合は、再就職手当は支給されません。

また、自己都合退職の場合は、2か月の給付制限期間が設けられています。7日間の待機期間満了後1か月以内に就職する場合は、ハローワーク等の紹介による就職でなければ、再就職手当は支給されません。

再就職手当のメリット・デメリット

再就職手当を受給するには、再就職先が決まっている必要があります。生活の安定といったメリットがある一方で、再就職手当の受給だけを目的として就職先を決めてしまうと、後悔する可能性もあります。

ここでは、再就職手当受給に関するさまざまなメリット・デメリットについて、解説します。

再就職手当のメリット

再就職手当を受給したあとに、何らかの理由で退職した場合でも、罰則などはありません。条件を満たせば、再び失業保険を申請できます。再就職手当の受給条件には「1 年を超える勤務が見込まれる」との記載があるものの、1年以内に退職しても返金の必要はありません。

また、再就職手当は非課税です。年末調整や確定申告の必要もありません。ただし、社会保険の扶養の判定には算入されます。受給額によっては扶養から外れる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

再就職手当のデメリット

再就職手当と失業手当を同時に受給することはできません。早期に再就職すれば、再就職手当の支給額は増えますが、その一方で失業手当の支給は打ち切られます。結果として、受け取れる金額は、「再就職手当 < 失業手当の満額受給」となる可能性があります。

すぐに仕事が見つからない可能性なども考慮すると、必ずしもデメリットとはいえませんが、再就職手当を受給するうえでの注意点として認識しておきましょう。

早期に再就職を決めると、再就職手当の計算に用いられる給付率が10%上がります。1割増額は魅力的ですが、企業研究や業界研究が不十分なまま焦って就職先を決めてしまうと、入社後に後悔する可能性があります。再就職手当の支給額にとらわれず、自分の適性に合った企業を選び、納得したうえで就職先を決定することが大切です。

再就職手当の申請方法

再就職手当受給に向けては、いくつかの手順があります。スムーズな申請のために、申請手順と必要書類、申請期限について解説します。

申請手順

1.採用証明書を受け取りハローワークに提出する
再就職先に「採用証明書」の発行を依頼します。採用証明書は、ハローワークインターネットサービスからダウンロードできます。会社から受け取った採用証明書と、「失業認定申告書」「雇用保険受給資格者証」を合わせてハローワークに提出します。

2.窓口で再就職手当支給申請書を出してもらう
提出した資料をもとに、ハローワーク側で確認が行われます。支給要件を満たしていると認められれば、「再就職手当支給申請書」を受け取ることができます。

3.新しい就職先に申請書を提出して記入してもらう
「再就職手当支給申請書」を再就職先に提出し、必要事項を記入してもらいます。この際、前職との間に人事交流や資本関係、取引関係などがないことを証明する書類の記入も必要となります。

4.「再就職手当支給申請書」「雇用保険受給資格証」をハローワークに提出する
提出後、ハローワークが支給の可否を判断します。タイムカードなど、再就職先での勤務実態を証明する書類の提出を求められる場合があります。必要に応じて、追加で書類を提出しましょう。

必要書類

再就職手当の申請に必要な書類は、下記3種類です。

  • 採用証明書(雇用保険受給資格者のしおりに同封)
  • 失業認定申告書(雇用保険説明会にて渡される)
  • 雇用保険受給資格者証

 

書類を紛失した場合は、ハローワークのWebサイトからダウンロードできます。また、ハローワークの窓口で「雇用保険受給資格者証」の再交付を受けることができます。

申請期限

雇用保険法施行規則によると、再就職手当の支給申請期限は、再就職した日の翌日から1か月以内です。スムーズに支給を受けるためには、期限内に申請を行うようにしましょう。

期限を過ぎてしまった場合でも、2年以内であれば申請が可能です。 ただし、申請が遅れた場合は、支給までに時間がかかる可能性があります。

その他の雇用保険給付についても、2年以内であれば申請することができます。過去に申請し忘れているものがないか、確認しておきましょう。下記は、対象となる給付の一例です。

  • 就業手当
  • 就業促進定着手当
  • 常用就職支度手当
  • 広域求職活動費
  • 高年齢再就職給付金

まとめ

再就職手当の支給額は、基本手当日額と基本手当の支給残日数によって決まります。メリットとデメリットの両方を理解したうえで、再就職手当を受給するかどうかを検討しましょう。

しかし、再就職手当をはじめとした給付金の申請手続きは複雑で、分かりにくい部分も多いです。ご自身だけで手続きを進めるのが難しいと感じる場合は、専門家に相談することをおすすめします。

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