2022.09.02
給付金について
就業促進定着手当がもらえない場合の原因とその対処法
雇用保険とは、労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進を目的とした保険制度です。雇用保険は知らないうちに加入していてメリットも感じないまま雇用保険料を払っている方も多いですが、退職時や転職時には役に立つ社会保険の一つです。そんな意外と知らない雇用保険について、しくみや目的など基礎をわかりやすく解説します。
雇用保険とは
雇用保険とは、労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進を目的とした保険制度です。
労働者は皆(一部除き)必ず加入して保険金を積み立て、その積立金は働けなくなった場合に給付されます。
いわゆる失業手当や育休手当(育児休業給付金)、介護休業給付金、傷病手当などが雇用保険の給付です。
さらに雇用の安定に寄与する事業者側にも助成されたり、職業訓練(ハロートレーニング)の運営に活用されていたりします。
雇用保険は社会保険の一つ
雇用保険は、狭義の社会保険においては労働保険に含まれる保険制度です。
政府が運営する公的保険で、労働者の生活保障と雇用安定を図る目的があります。
雇用保険の保険者と財源は?
雇用保険は、労働者を一人でも雇っている企業は必ず加入する義務があり、また雇用される労働者は雇用保険の被保険者となります。
財源は主に労働者と企業が負担する保険料と国庫の拠出からなり、過不足に応じて保険料率に変動があります。
雇用保険加入のメリットは働けなくなった時に給付が受けられること
雇用保険の代表的な事業の一つが失業等給付で、基本手当や再就職手当、就業促進定着手当などがあります。
失業後、すぐに再就職先が見つからない場合に受け取る事ができます。
その他にも産後パパ育休(出生時育児休業)をとった場合に、「出生時育児休業給付金」や「育児休業給付金」の支給を受けることができます。
また企業側にも「二事業」という、雇用安定事業、能力開発事業があります。
①雇用安定事業
・事業主に対する助成金
・中高年齢者等再就職の緊要度が高い求職者に対する再就職支援
・若者や子育て女性に対する就労支援
②能力開発事業
・在職者や離職者に対する訓練
・事業主が行う教育訓練への支援
・ジョブ・カード制度の構築
雇用保険の加入条件(パートやバイトも入る?)
雇用保険は下記の条件をどちらも満たしている場合は、パート・アルバイト・派遣といった雇用形態を問わず、必ず加入する義務があります。
①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
雇用契約書に記載の所定労働時間が週20時間以上になっていれば、パートやアルバイトでも雇用保険に加入できます。
また週20時間未満の契約の人が、急な残業などで週20時間以上働いたとしても、加入条件にはあてはまりません。
②31日間以上、引き続き雇用される見込みがあること
“期間の定めがなく雇用される場合”や”雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇い止めの明示がない場合”も加入条件にあてはまります。
雇用保険加入条件を満たさない例
上記2つの条件をどちらも満たしていても、高等学校もしくは大学に在学している人などは雇用保険に加入できません。
ただし、定時制や夜間学部に通う学生などは加入することができます。
ダブルワークの場合
「主たる賃金を受ける雇用関係にある会社でのみ」加入することになりますので、二重加入することはできません。
またそれぞれの会社の所定労働時間が20時間未満であるが、2つの会社の所定労働時間を合計すると20時間以上になるケースもあるかと思いますが、この場合はどちらの会社でも雇用保険に加入することはできません。
雇用保険で受給できる手当金
基本手当(失業給付)
失業手当とは、退職後の求職活動を行っている期間中に受け取れる給付金の事です。
正しくは「雇用保険の基本手当」といい、失業給付や失業保険とよばれる事もあります。
どのくらいの金額を何日間受け取れるかは、退職前の月収や退職理由によって異なりますが、一般的に自己都合退職より会社都合退職の方が様々な点で優遇されるといえます。
≪受給条件≫
①自己都合退職の場合は離職日以前2年間のうち12か月以上、会社都合退職の場合は離職日以前1年間のうち6か月以上、雇用保険の被保険者期間がある事
なお雇用保険の加入期間は、前職や前々職で加入していた期間も合算ができるケースがあります。
それは転職の間隔(雇用保険に加入していない期間)が1年未満の場合です。
ただし一度失業手当を受け取ると、今までの雇用保険の加入期間はリセットされますので注意が必要です。
②定期的に求職活動をしている事
認定日の度に、既定の回数以上求職活動をしていたかチェックされます。
求職活動と認められる内容は下記でご確認ください。
求職活動実績にならない | 求職活動実績になる | |
ハローワーク | ・求人情報の閲覧のみ | ・職業相談 ・セミナーへの参加 ・雇用保険説明会 |
転職サイト | ・サイトの閲覧、登録のみ | ・求人応募(面接、履歴書提出) |
転職エージェント | ・サイトの閲覧、登録のみ | ・面談(電話面談含む) ・求人応募(面接、履歴書提出) |
派遣会社 | ・サイトの閲覧、登録のみ | ・面談(電話面談含む) ・求人応募(面接、履歴書提出) |
資格試験 | ・再就職に関係のない試験の受験 ・受験勉強のみ |
・再就職に関係する試験の受験 |
また失業手当は【積極的に仕事を探しているにもかかわらず仕事につけない】状態にある方が受給できるものとなっています。
その為、以下の状態に当てはまる場合は失業手当受給の対象外となります。
【就職する能力がない状態】
①病気やけがですぐには就職できないとき
②妊娠・出産・育児などにより就職することができないとき
③家事の手伝いや家業の手伝いで就職することができないとき
④昼間学校に通っていて、学業に専念するとき
【就職する意思がない状態】
①離職後しばらくの間休養するとき
②家事に専念するとき
【職業に就いている状態】
①仕事をしたとき
②自営業(準備を含む)をしているとき ※収入の有無を問いません
③会社の役員に就任しているとき ※活動や報酬がない場合はハローワークでご確認ください
≪申請方法≫
①会社から離職票が送られてきたら、下記のものを準備して管轄のハローワークに行く
※離職票は退職後1~2週間を目安に会社から郵送されます
◆持ち物
・雇用保険被保険者離職票(-1、2)
・個人番号確認書類(いずれか1種類)
マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
・身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類((1)の書類をお持ちでない方は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可))
(1)運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
(2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
・写真(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)2枚
・本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。)
参考:ハローワーク
②求職申し込みをする
求職申し込み後の流れは、会社都合退職か自己都合退職かによって異なります。
自己都合退職の場合、2か月間の給付制限という手当が発生しない期間を待ってから受給が開始します。(給付制限期間中も求職活動を行う必要があります。)
そのため会社都合退職の場合は退職日から初回の手当が振り込まれるまで【1~2か月】かかるのに対し、自己都合退職の場合は【約4か月】はかかってくるのです。
失業認定日はハローワークから指定されますので、必ず指定された日時にハローワークに足を運んで、失業認定申告書を提出する必要があります。(郵送不可)
これを失業手当の支給が終了するまで、もしくは再就職するまで繰り返す必要があります。
再就職手当
再就職手当とは、失業手当受給中の方に対して早期の再就職を促進するための制度で、簡単にお伝えすると”再就職が決まったら貰えるお祝い金”のようなものです。
≪受給条件≫
①待期期間終了後に就職する事
失業手当の申請をした日から7日間が待期期間です。
②基本手当が3分の1以上残っている事
3分の1以上残して再就職した場合は受け取らなかった失業手当の60%を、
3分の2以上残して再就職した場合は受け取らなかった失業手当の70%を受け取る事ができます。
③離職前の会社と関わりのない企業に就職する事
全く同じ会社への再就職はもちろん、関連会社などに再就職した場合も対象外となります。
④(給付制限がある場合)待期期間満了後、1か月以上経過してから就職する事
待期期間満了後1か月以内でも、ハローワークや職業紹介事業者の紹介した企業に就職すれば対象となる可能性があります。
ただし紹介状を出してもらう事が必須となるため、例えば【ハローワークの求人検索パソコンを見て、自ら応募した】などは対象外となります。
⑤1年を超えて勤務する事が確実である事
【6か月契約の派遣社員等で、更新の予定がない場合】や【1年以下の雇用期間で、契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合(保険会社など)】は対象外となります。
⑥再就職先で雇用保険の被保険者になっている事
再就職後も雇用保険に入れる場合に対象となります。
⑦過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当を受けたことがない事
常用就職支度手当については、こちらをご確認ください。参考:厚生労働省
⑧受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでない事
失業手当の申請日より前から内定が出ている場合は、再就職手当の対象にはなりません。
その為在職中から次の会社の内定が出ている場合なども対象外となります。
参考:ハローワーク
≪申請方法≫
①就職日(入社日)前日にハローワークに行き、【再就職手当支給申請書】を受け取る
②本人記入欄を記入し、再就職先にも必要事項を記入してもらう
③就職日の翌日から1か月以内に雇用保険受給資格者証を添えて再就職手当支給申請書をハローワークに提出する(郵送可)
④ハローワークの審査の結果【支給決定通知】もしくは【不支給決定通知】が自宅に届き、基本手当と同じ口座に振り込まれる(審査期間:1か月程度)
申請期間がかなり短いので、忘れないよう気を付けましょう。
就業手当
就業手当とは、失業手当受給中の方が【再就職手当】の支給対象とならない常用雇用等以外で就業した場合に支給されます。
【 就業日数 ×(基本手当日額 × 30%)】を受け取る事ができます。
※1日当たりの支給額の上限は、1,887円(60歳以上65歳未満は1,525円)となります。(毎年8月1日以降に変更されることがあります。)
また就業手当を受けた日については、基本手当の支給を受けたものとみなされます。
引用:北海道ハローワーク
≪受給条件≫
①待期期間終了後に就業する事
失業手当の申請をした日から7日間が待期期間です。
②基本手当が3分の1以上残っている、かつ45日以上ある事
基本手当の残日数が上記をきった時点で、就業手当の支給は終了します。
③離職前の会社と関わりのない企業に就職する事
全く同じ会社での就業はもちろん、関連会社などで就業した場合も対象外となります。
④(給付制限がある場合)待期期間満了後、1か月以上経過してから就職する事
待期期間満了後1か月以内でも、ハローワークや職業紹介事業者の紹介した企業で就業すれば対象となる可能性があります。
⑤再就職手当の支給対象とならないような常用雇用等以外の職業に就いた事
「常用雇用等以外」とは、アルバイトや1年未満の契約期間で仕事をするなど、臨時的な雇用のことをいいます。
⑥受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでない事
失業手当の申請日より前から内定が出ている場合は、就業手当の対象にはなりません。
≪申請方法≫
①【就業手当支給申請書】を記入する
②就業した事実を証明する給与明細等、失業認定申告書、雇用保険受給資格者証を添えて、失業認定日に提出する
就業促進定着手当
就業促進定着手当とは、再就職手当の支給を受けた方が再就職先に6か月以上雇用さ
れ、再就職先での6か月間の賃金が離職前の賃金よりも低い場合に、基本手当の支給残日
数の40%を上限として、低下した賃金の6か月分を支給するものです。
≪受給条件≫
①再就職手当の支給を受けている事
②再就職の日から、同じ事業主に6か月以上雇用保険の被保険者として雇用されている事
起業により再就職手当を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられません。
③所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回る事
離職前の賃金日額は、雇用保険受給資格者証で確認できます。
ただし、賃金日額の上限額を超える場合は上限額、下限額より低い場合は下限額となります。
離職前賃金日額の上限額と下限額 ※毎年改訂あり
・上限額
離職時の年齢が30歳未満の方 :12,810円
離職時の年齢が30歳以上45歳未満の方:14,230円
離職時の年齢が45歳以上60歳未満の方:15,660円
離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方:14,940円
・下限額
全年齢共通:2,310円
再就職後6か月間の賃金の1日分の額の算出方法
★月給の場合
再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 180
★日給・時給の場合
次の(a)(b)のうち、どちらか金額の高い方
(a) 再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 180
(b)(再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 賃金支払いの基礎となった日数)× 70%
※賃金とは、税金や雇用保険料などが控除される前の総支給額のことを指し、通勤手当や皆勤手当なども含みます。
ただし夏冬の賞与など、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含みません。
参考:厚生労働省
≪申請方法≫
①再就職手当支給決定通知書とともに送られてくる【就業促進定着手当支給申請書】を事業主に記載してもらう
(再就職からおおむね5か月後に郵送されるケースもあります)
②就職日から6か月間の出勤簿や賃金台帳の写し、雇用保険受給資格者証などを添えて、就職日から6か月経過した日の翌日から2か月以内にハローワークに提出する(郵送可)
こちらも再就職手当と同様に申請期間が短いので、忘れないよう気を付けましょう。
教育訓練給付金
教育訓練給付金とは、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した方に対し、その費用の一部が支給される制度です。
対象となる教育訓練は、そのレベルなどに応じて3種類があり、それぞれ給付率が異なります。
対象となる講座やスクールはこちらから確認できます。【教育訓練給付制度 検索システム】
≪受給条件≫
パート・アルバイトや派遣労働者の方も対象となりますが、雇用保険の加入期間などの条件があります。
引用:厚生労働省
就業促進定着手当がもらえない主な原因
就業促進定着手当が支給されない理由として、次のような具体的なケースがあります。
就業期間が不足している場合
再就職後に支給を受けるためには、6ヶ月以上継続して雇用されている必要があります。短期間の雇用や途中退職がある場合、対象外となります。
雇用保険の加入が不十分な場合
再就職先で雇用保険への加入が義務となりますが、契約内容や雇用形態によっては保険加入対象外となることがあります。この場合も支給対象外となります。
就業促進定着手当を受け取るための具体的な対処法
手当を受給するためには以下の点を確認・対策しましょう。
就業期間を確認する
再就職先との雇用契約が6ヶ月以上継続する内容になっているか、またその契約に従って働けているかを確認します。職場との話し合いにより、契約の見直しが可能な場合もあります。
職業訓練(ハロートレーニング)
雇用保険制度の一環として、職業訓練(ハロートレーニング)という制度があります。
「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の総称で、仕事をお探しの方を対象とした公的な職業訓練制度です。
公共職業訓練
雇用保険の受給資格者が通うことができるのが「公共職業訓練」です。
雇用保険の基本手当(失業手当)を受け取りながら通うことができ、たとえ受講途中で所定給付日数が終了したとしても、基本手当の支給は訓練終了まで(最長2年)延長されます。これを【訓練延長給付】といいます。
さらに【技能習得手当】という1日あたり500円の受講手当と交通費も支給されます。
【受給金額】
基本手当と同額 + 受講手当(1日500円・上限40日)+ 交通費(条件あり)
【受給条件】
①ハローワークで職業訓練の受講指示を受ける事
②受講期間が2年以内のコースを受ける事
③過去1年以内に公共職業訓練を受講していない事
④所定給付日数が3分の1以上残っている状態で職業訓練を開始する事
④の所定給付日数の残日数に関しては給付制限の有無によって異なりますので、下記を参照ください。
所定給付日数 | 必要な残日数 | |
給付制限あり | 給付制限なし | |
90日 | 30日 | 支給終了まで |
120日 | 40日 | |
150日 | 50日 | 30日 |
180日 | 60日 | |
210日 | 70日 | |
240日 | 90日 | |
270日 | 120日 | |
300日 | 150日 | |
330日 | 180日 | |
360日 | 210日 |
参考:ハローワーク神戸
公共職業訓練を受講中の方は失業認定日の代わりに、訓練施設経由で「認定関係書類」を提出すればいいので、認定日にハローワークに出向く必要はありません。
ただし、代わりにコースごとに定められた月1回の「指定来所日」にハローワークで職業相談をおこなう必要がありますが、来所日は職業訓練がお休みになるため、無理なく足を運べるようになっています。
求職者支援訓練
雇用保険の受給資格者以外の方や、基本手当の受給が終了してしまった方が通うのが「求職者支援訓練」です。
「求職者支援訓練」に通っている方は、条件を満たす事で【職業訓練受講給付金】という給付金を受け取る事ができます。
【受給金額】
月額10万円 + 交通費(条件あり)
【受給条件】
①本人の収入が月8万円以下
②世帯全体の収入が月30万円以下
③世帯全体の金融資産が300万円以下
④現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
⑤全ての訓練実施日に出席している
⑥世帯の中に給付金を受給して訓練を受けている人がいない
⑦過去3年以内に、不正行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
⑧過去6年以内に職業訓練受講給付金の支給を受けたことがない
参考:厚生労働省
訓練開始前に「就職支援計画書」の交付を受け、訓練受講期間中及び訓練終了後3か月間、月1回の指定来所日にハローワークに出向く必要があります。
雇用保険料の計算方法
雇用保険料は、下記の計算式から算出されます。
【 雇用保険料 = 給与総額 × 雇用保険料率 】
雇用保険料率は随時改定されますので、現状の雇用保険料率は随時厚生労働省のHPから確認する事ができます。
令和6年度の雇用保険料率は以下になります。
引用:厚生労働省
そのため総支給30万円で一般の事業に従事されている方の場合は、
【 300,000 × 6 ÷ 1000 】となりますので、雇用保険料は【 1,800円 】となります。
健康保険料と比較すると金額は少ないですが、総支給によって変動すると知っておくとよいでしょう。
また雇用保険料は賞与からも控除されます。
雇用保険の加入・脱退・変更手続き
従業員は手続き不要
雇用保険の加入・変更手続きは全て会社が行いますので、労働者本人は何も手続きを行う必要はありません。
脱退手続きも会社が行いますが、基本手当(失業保険)の申請は自身で行う必要がありますので、離職票が届き次第住所を管轄するハローワークで手続きを行いましょう。
従業員を雇い入れたら行う手続き
新たに労働者を雇い入れた場合は、その都度、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければならないこととなっています。
この届出によってハローワークから交付された「雇用保険被保険者証」については事業主から本人に渡してください。
従業員が離職したら行う手続き
雇用保険被保険者が離職した場合は、「雇用保険被保険者資格喪失届」と、給付額等の決定に必要な「離職証明書」を提出していただくこととなっています。
なお「離職証明書」の離職理由について事業主と離職者で主張が異なる場合、ハローワークにおいて事実関係を調査のうえ離職理由を判定します。
雇用条件を変更したら行う手続き
事業所の名称や所在地が変更になった場合、同一の事業主の事業所間で転勤させる場合等にも手続きが必要となります。
参考:厚生労働省
手続きはかなり複雑ですので、必要書類の記入例等は以下を参考にしてください。
厚生労働省【雇用保険事務手続きの手引き】
退職者や転職者が受け取るべき雇用保険関連の重要書類とは?
会社を退職する際には、「雇用保険被保険者証」と「雇用保険被保険者離職票(-1、2)」の2つを受け取りましょう。
また会社がハローワークに提出する「離職証明書」については、離職前に本人が氏名の記載をすることになっていますので、その際に離職理由等の記載内容についても確認しておいてください。
なお会社から離職票が交付されない場合や、事業主が行方不明の場合等については、住居地を管轄するハローワークにお問い合わせください。
参考:ハローワーク
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証とは、雇用保険に加入した人(被保険者)に発行される証明書のことです。
雇用保険の被保険者は各自「被保険者番号」が割り振られ、別の会社に転職して入社する際にも同じ番号を引き継ぎます。
雇用保険被保険者証は発行され次第、原則として労働者に手渡すとされていますが、一般的には会社を退職する日に手渡されるケースが多いようです。
また、離職後に源泉徴収票や離職票と一緒に送られてくるケースもあります。
転職をする際は、就職先から雇用保険被保険者証の提出を求められるので、ご自身の手元にあるのか、または会社で保管されているのかをあらかじめ確認しておきましょう。
雇用保険被保険者離職票
雇用保険被保険者離職票とは、離職したことを証明する公的な書類で一般的には「離職票」と呼ばれます。
会社を退職して失業状態にあるときに失業手当(正式には基本手当)の受給を希望する場合、退職者が直接ハローワークに提出します。
離職票の交付手続きは、所属していた会社を介して行います。
離職票には「被保険者資格喪失届(雇用保険被保険者離職票-1)」「被保険者離職証明書(雇用保険被保険者離職票-2)」の2種類の書類があります。
居住地を管轄するハローワークへ行った際に「求職の申し込み」と同時に2種類の離職票を提出します。
雇用保険加入者でも、退職日から転職先への入社日までが数日しかないなど、失業手当(基本手当)を受け取らない場合は使用しません。
まとめ
失業手当は聞いた事のある方も多いかと思いますが、その他の手当てについては存在する事すら知らなかったという方も多いかと思います。
ここでご紹介した手当金以外にも、雇用保険の手当金は多数ありますので、「自分も対象だったのに、受け取り損ねてしまった!」とならないように、退職を検討している人は事前に手当金についてよく調べておきましょう。
また退職後に受け取れる給付金は、失業手当だけではありません。
失業手当は雇用保険の給付金ですが、実は社会保険にも給付金があるのはご存じですか?
社会保険の給付金と失業手当を組み合わせる事で、最大28か月間も給付金を受け取れる可能性があるので、失業手当の申請をする前に、ぜひ無料のWEB説明会に参加してみてくださいね。
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