2023.10.13

精神疾患について

自立支援医療制度って何?どうしたら使えるの?

 

うつ病や統合失調症などの精神疾患は、誰しもが罹る可能性のある病気です。また、このような精神疾患になると、多くの場合で病院での治療が必要となります。しかし、治療も長期間になると医療費がかさみ、それが経済的負担になってしまうことも少なくありません。そういう場合に手助けとなるのが、自立支援医療制度です。

ここでは、自立支援医療制度とは何か、どういう流れで利用できるのかなどについて、ご紹介します。

知っておきたい!自立支援医療制度とはどういうもの?

自立支援医療制度とは、障害者総合支援法を背景とした公的医療制度のことを言います。つまり、心身に障害を持つ方の負担を減らし、適切な医療を受けるために該当者が申請すれば、外来診療費などが安くなるというサービスです。

自立支援医療制度の実施主体は、都道府県や指定都市となり、一般的な医療費は3割負担ですが、この制度を利用することで負担が1割のみとなります。

また、外来診療には、デイケアや訪問看護、他の福祉サービスの利用(ホームヘルプサービスなど)も、その範囲に含まれます。

自立支援医療制度はどういう人が対象になるの?

自立支援医療制度に該当する人は、

・精神疾患を抱えており、治療が必要な方

・身体障害を持っているために、治療が必要な方

・身体障害があるために、治療を必要とする子ども

が対象となります。

ただ、ここでは精神疾患を抱え、治療が必要な方に対しての内容について解説します。

自立支援医療制度は、精神疾患の治療を要する方が対象にはなりますが、精神疾患を持っていれば誰でも利用できるというわけではありません。自立支援医療制度の対象となる精神疾患の方の条件は、下記の通りです。

①精神疾患を持っている、かつ継続的な治療が必要な方

②病名としては、次のような診断名が付けられている方

  • 統合失調症
  • うつ病や双極性障害
  • 薬物などによる急性中毒やその依存症
  • PTSD(ストレス関連障害)やパニック障害(不安障害)など
  • 知的障害や発達障害
  • アルツハイマー型や脳血管性認知症
  • てんかん   など

③医師に、自立支援医療制度を利用するための診断書を記載してもらえる方

自分が自立支援医療制度を利用できるかどうか分からないという場合は、主治医や専門のスタッフなどに尋ねてみると良いでしょう。

自立支援医療制度を利用するための流れについて

自立支援医療制度は、利用対象に該当していても、本人や家族、周囲の人が申請をしなければ利用することができません。そのため、まずは必要書類を揃え、居住地の管轄の市役所へ申し込みを行う必要があります。申請時に提出する書類は、次のとおりです。

  • 自立支援医療の申請書
  • 医師の診断書(記載されてから原則的に3ヶ月以内のもの)
  • 健康保険証(コピーでも可。本人以外で、同じ保険に加入している家族の分も)
  • マイナンバーカードまたは通知書
  • 印鑑
  • 障害年金を受給している場合や手帳を持っている場合は、年金証書や手帳の原本またはそのコピー
  • 生活保護を受給している場合は、受給証明書 
  • 納税証明書     など

以上が基本の書類ですが、自治体によっては他の証明書などが必要になる場合もあります。また、提出先は市役所の福祉課や障害福祉課となりますが、居住地によっては課の名称が異なるケースも存在しますので、自治体に確認するようにしましょう。

自立支援医療制度の申請を終え、審査が通ったら、およそ1ヶ月程度で「自立支援医療受給者証」が自宅に届きます。その後、病院受診時などに受給者証を提出することで、医療費が1割負担となります。しかし、受給者証の提出を忘れた場合は、一旦3割の料金を請求されることもありますので、注意してくださいね。

また、自立支援医療受給者証は、永久的な利用はできません。受給者証の有効期限は、1年と定められています。そのため、期限が来る前に更新することが必要です。更新は3ヶ月前からできますので、早めに動いておくと良いでしょう。さらに注意点として、更新時の2年に1度は医師の診断書の添付が必須事項となっていますので、その点についても覚えておいてくださいね。

ただ、現在は類を見ないコロナ禍にあります。そのため、自立支援医療受給者証の更新の際に、市役所で密になることを避けるための方法が導入されています。現時点ですでに受給者証を持っており、今年に有効期限を迎える方は、特例として更新の申請なしで、1年の期限延長が可能となっています。その場合は、現在持っている受給者証をそのまま利用できます。

ここに注意!自立支援医療制度の例外

自立支援医療制度は、継続した治療を必要とする方にとって、大変助かる制度です。しかし、治療を受ける個人の条件や治療の内容などによっては、負担額が変化することもあります。

その一番多い例が、治療を受ける方の所得が一定以上を超えている場合です。そのようなケースでは、負担額が大きくなる可能性もありますので、自分の所得が一定額を超えているか否かを、事前に確認しておきましょう。

また、精神科や心療内科で処方される薬代も、自立支援医療に該当し、1割負担でまかなうことができますが、精神疾患に関連する薬以外をもらった場合や希望した場合は、自立支援医療の対象外となります。例えば、胃に負担をかけないように一緒に処方された胃薬は、精神疾患特有の薬だとは言えませんので適用にならず、胃薬代は3割負担になるのです。他にも、受診をしたときに風邪気味だったために、いつもの薬に追加してうがい薬を希望した場合も、それは自立支援医療の範囲に含まれません。

さらに、入院した場合の治療費も適用にはなりませんので、その時に慌てないためにも、例外のケースを覚えておくことが大切です。

まとめ

うつ病は、生涯で約15人に1人。統合失調症の生涯有病率は、人口の約1%にのぼるというデータがあります。つまり、うつ病や統合失調症をはじめとする精神疾患は、私たちの生活に密接したものだと言うことができるでしょう。そして、あなたが精神疾患に罹ったとしても自立支援医療の存在を知っていれば、経済的負担を緩和しながら、ふさわしい治療を受けることが可能となります。

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