2021.07.23
社会保険について
障害者自立支援法…どんな支援が受けられる?
私たちは、うつ病を始めとする精神疾患などのある・なしに関わらず、人間としての価値を持っています。しかし、障害を抱えていることで日常生活や社会生活における問題が生じたり、生活のしづらさを感じたりすることはあるでしょう。このような背景から、障害を持つ方が自立し、より良い生活を送ることができるように、障害者自立支援法と呼ばれる法律が制定されています。ここでは、障害者自立支援法の詳細をもとに、障害者の方がどのような支援を受けられるかについて解説します。
障害者自立支援法とはどういうもの?
障害者自立支援法とは、身体障害者、知的障害者、精神障害者の区別を伴うことなく、彼らの自立を共通の制度によって支援する法律のことです。その内容は、働く意欲と能力がある障害者に対して就労支援を行ったり、福祉サービス利用手続きの明確化を進めたり、サービスの利用費を所得に応じた公平な負担にすることなどを目標にしています。しかし、現在の障害者自立支援法は、平成25年より障害者総合支援法と呼び名が変更されました。
障害者総合支援法は、障害者自立支援法と内容が大幅に変わるものではありません。しかし、障害者自立支援法では、障害者の「自立」に焦点を当てていたのに対し、障害者総合支援法では、「障害者の基本的人権や尊厳」へと基本理念の考え方が幅広くなっています。また、福祉サービスのみならず地域生活支援事業による支援も加え、より総合的な視点でのサポートに重きが置かれるようになりました。
この制度では、身体・知的・精神障害者が対象ですが、ここでは精神障害者をターゲットに受けられる支援などをお伝えします。
生活や就労における支援を詳しく知ろう
うつ病や統合失調症などの精神疾患を抱えている影響で、日常生活を送るうえで上手く対処できない部分が出てきたり、就労のためのサポートが必要になったりする場合が存在します。例えば、調子が悪い時に家事を手伝ってほしいというケースにおいては、ホームヘルプサービス(家事代行)を利用できますし、一般企業への就職を目指したいなら、就労移行支援の申し込みが可能です。これらのサービスを利用するには、受給者証の発行が必要となります。その際、障害の程度を証明するものとして、精神障害者保健福祉手帳を所持していると、状態や状況が分かりやすいため、スムーズに手続きが進みます。
サービスの申し込み時に精神障害者保健福祉手帳を持っていない方は、その際に一緒に申請ができますので、手続きをしておくと後々の生活が便利になるでしょう。精神障害者保健福祉手帳を発行することで、公共交通機関の運賃が割引になったり、その他の幅広いサービスも利用しやすくなったりというメリットがあります。
経済的に困難な場合の支援もある
精神疾患は、治療に長い期間を要することが多いものです。そのため、医療費などがかさむ傾向にあります。しかし、働けるほどの状態にない場合も少なくありません。そういう状況にある方に対して、経済的な支援も整えられています。例えば、障害者控除という制度は、本人または配偶者、扶養親族の所得税が原則的に27万円控除されます。精神障害者は家族と同居していることが多いため、家計も助かることになるでしょう。
一方、就職をするための施設での訓練費や福祉サービス利用などのために、お金が必要だけど、蓄えや収入が少なく支払えないケースもあるかもしれません。そのような時には、生活福祉資金貸付制度が利用できます。精神障害者保健福祉手帳の所持が必須となりますが、連帯保証人がいれば無利子で借入を申し込むことができます。連帯保証人を立てない場合は、1.5%の年率となります。
障害の程度がひどいなら障害年金受給の可能性も
上記のような制度やサービスを利用しながら生活ができると、心身ともに楽になる場合が多いものです。しかし、障害の程度がひどく、日常生活や就労に制限が必要となる方も少なくありません。そういうケースにおいては、障害年金の受給を視野に入れても良いでしょう。
障害年金は、20歳以上~65歳までの障害者が対象で、障害の程度によって年金の受給額が決まり、支給される制度です。治療を一定期間続けたにも関わらず、固定した障害が残ってしまった場合に申請が可能です。しかし、申請するには以下のような条件がありますので、自分が該当しているかどうかチェックしてみてくださいね。
- 精神疾患を持ち、心身の不調により初めて病院を受診した日(初診日)から1年6ヶ月以上が経過している方
- 初診日の前々月までに、国民年金保険料を2/3以上納付している方
- 傷病名がWHOの定める診断基準に該当している方(主治医に尋ねてみると良いでしょう)
また、障害年金には、1級~3級があり、等級や初診時に加入していた年金によって受給額が以下のように異なります。
障害基礎年金
障害基礎年金は、初診日に国民年金に加入していた方が受給できる年金です。障害の程度によって、1級と2級に分類されます。数字が小さいほど、障害の程度が重くなるという考え方です。障害基礎年金1級は、年額974,125円で、2級は779,300円となっています。(平成30年度の額)等級は、この1.2級のみです。
障害厚生年金
障害厚生年金は、初診日に厚生年金に加入していた方が受給できます。こちらは、1.2級に加えて3級まで存在し、基本的には、障害基礎年金の金額に上乗せするしくみを取ります。つまり、厚生年金に加入していた年数や収入を参考に、受給額が決定するのです。一般的には、障害基礎年金よりも受給額は高くなる傾向にあります。
さらに、初診日に厚生年金に加入していても、障害の程度が軽く、1級~3級に該当しないケースもあり得ます。ただ、障害手当金という一時金の受給ができる可能性があります。しかし、初診日から5年以内であり、傷病が治っていることが条件です。
障害年金の代行申請サービス
障害年金の申請は自分ひとりで行うのが大変難しいといわれています。書類を揃えるのが大変であることはもちろん、書類の記載内容に誤りがあって審査が通らないということも少なくありません。日常生活に支障をきたすほどの障害を抱えている方にとって、複雑な制度を一つ一つ理解してたくさんの書類を集めるのが難しいのは当然のことですよね。
そんな方へ向けて、退職コンシェルジュでは障害年金の代行申請サービスを提供しています。まず制度の対象になるかどうか、障害年金の制度について仕組みを丁寧にご案内させていただき、代行申請を希望される場合には社会保険労務士事務所へお繋ぎいたします。条件など複雑な制度を噛み砕いて説明することで、障害年金のことはよくわからないという方でも安心してご相談いただけます。
まとめ
障害を抱えながら生活をすることは困難も伴いますが、自分が利用できる制度を見つけたり、ふさわしい福祉サービスを受けたりすることが可能です。そのため、障害と上手く付き合いながら、情報収集をしたり専門機関に相談をしたりしながら、より良い生活を送ることを目指しましょう。
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