2023.01.27
就労について
新型コロナウイルス感染症で有給休暇を使わない方が良い理由とは?
世界中で感染者を増やしている、新型コロナウイルス。これまでに例を見ない事態というだけあって、テレワークが広がったり、学校が一斉休校になったりと様々なシーンで、前例のない対応が取られています。
新型コロナウイルスを広げないためには、感染したとき、さらに感染が疑われたときは自宅待機する必要があります。つまり、働いている人は仕事に行くことが出来なくなります。この場合、有休を使った方が良いのか、もしくは他に何か賃金の保証制度があるのか、分からない方も多いのではないでしょうか?
ここでは、新型コロナウイルスで自宅待機になった場合の有休消化について、詳しくまとめました。また、有給を使うメリットやデメリットについても、ご紹介します。
自宅待機の場合の有休消化について
新型コロナウイルスになったり、感染の疑いがあったときには自宅待機しなくてはいけません。ただし、生活していくためにはお金が必要ですから、有休を申請しようか悩むという方もいるでしょう。そこで、自宅待機の場合の有休消化について、以下に詳しく解説します。
1.有休は労働者が申請するときに与えられる
まず有休消化について、基本的なことをおさらいしておきましょう。有休は労働者が請求するときに、与えられるものです。会社が一方的に、有休を取得させることは出来ません。そのため、新型コロナウイルスによる自宅待機のため、自ら有休消化をしたいと申し出れば、有休を使うことができます。
2.新型コロナウイルスによる自宅待機中の賃金については、話し合いを
有休を使う場合でも使わない場合でも、新型コロナウイルスによる自宅待機をする際の賃金の取り扱いについては、会社側としっかり話し合いましょう。こうしたケースでの賃金について労働者は分からないことが多いと思うので、遠慮なく会社に疑問を聞いてみることが大切です。
3.新型コロナウイルスに感染した場合は、傷病手当金が出る
新型コロナウイルスに感染すると、都道府県知事が行う就業制限により会社を休むことになるので、「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当せず、休業手当は支払われません。ただし、被用者保険に加入している場合は、要件を満たせば各保険者から傷病手当金が支給されます。
4.会社が休業させる場合は休業手当が支払われる
新型コロナウイルスの感染が疑われる労働者を会社が休ませる場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するため、休業手当が支給されます。
5.症状があり、自主的に自宅待機する場合は普通の病欠と同じ扱い
発熱や咳など新型コロナウイルスの患者と同じ症状が出ているため自主的な判断で仕事を休む場合は、普通の病欠と同じ扱いとなるので休業手当は出ません。この場合、会社に病気休暇制度がある場合はそちらを活用しましょう。もしこうした制度がない場合は、有給休暇を活用しても良いでしょう。
有休消化のメリット・デメリット
新型コロナウイルスにより有休を使用するときは、良い点も悪い点もあります。そこで、有休消化のメリットとデメリットについて、それぞれまとめました。
1.新型コロナウイルスで有休消化を使用するメリット
①支払われる額が多い
新型コロナウイルスに感染した場合に支払われる傷病手当金は、直近12ヶ月の平均の標準報酬日額の3分の2、感染疑いのある労働者を会社が休業させた場合に支払われる休業手当は、平均賃金の60%と決まっています。それに対して有休は、基本的には通常賃金がそのまま支払われます。つまり、有休を取得した方が、もらえる額が多くなるというメリットがあります。
②休んだその日も支給してもらえる
各保険者から支給される傷病手当金は、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して、4日を経過した日から保障されます。そのため、数日間は手当金が出ないということになります。しかし、有休なら、休んだその日も支給してもらえるというメリットがあります。
③身体を休めることができる
会社からの指示ではなく自主的に休む場合、もし病気休暇手当がなければ、有休を使うことになるでしょう。貴重な有休ですが、1日休みをもらうことで体をしっかり休ませることができます。無理して働くと、体調が悪化することにもなりかねませんし、周りにうつすリスクもありますから、つらいときは休みを取るのが望ましいです。
2.新型コロナウイルスで有休消化を使用するデメリット
①年次有給休暇が減る
有休は、1年あたりの付与日数が決められています。そのため、新型コロナウイルスのため有休を使ってしまうと、その分残りの期間に使える有休は減ってしまいます。有休は、勤続年数が長いほどたくさん付与されるようになっていますが、入社や転職したばかりなら、年に10日ほどしかありません。貴重な有休だからこそ、使うタイミングは迷ってしまいますよね。
②支払われるはずの手当を見過ごす可能性がある
上記で紹介したように、病気によって会社を休む場合は傷病手当金や休業手当、病気休暇制度など、様々な手当を受け取れる可能性があります。しかし、こうした手当があることを正確に知らない労働者がほとんどでしょう。それだけに、休むからといって何も考えずに有休消化しようとすると、支払われるはずの手当を見過ごすことにもなりかねません。新型コロナウイルスに関連して会社を休むことを検討する場合は、まずは手当があるかどうかを確認しましょう。
まとめ
新型コロナウイルスは、重症化すると命に関わる危険性もあるだけに、感染したり感染が疑われたりした場合は、周りに広めないよう自宅待機をしなくてはいけません。その際に、有休を利用しようと考える方もいるでしょう。
感染した場合は、休業手当の対象にはなりませんが、被用者保険に加入しており要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。また、感染が疑われる段階でも会社から休むように言われた場合は、休業手当が支給されます。自主的に自宅待機する場合は普通の病欠と同じ扱いになるので、病気休暇手当があればそちらが利用できます。
ただ、有休消化をすべきか否かはケースバイケースと言えるため、会社の対応に合わせて適切な判断をしましょう。
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