2022.09.16
社会保険について
自己都合退職でも労災が適用される?その条件と手続き
時代の流れとともに、労働条件や状況もどんどん変化してきています。そんな中でよく聞く「労災」という言葉。
なんだかネガティブな印象やトラブル的なイメージを持っている労災というワードですが、実際は労災ってどんなことなのかハッキリわからない人も少なくありません。
そこで、労災の仕組みや申請までの流れなど、労災について詳しく説明します。
労災って何のこと?
労災(ろうさい)とは労働災害の略です。
労働者には、通勤中や仕事中にした病気や怪我をした時は、国から労災として認められて、治療費や生活費などを補うための保険金を受け取ることができるという権利があります。
この労災によって保険金が支払われるための制度が労災保険制度になります。この労災保険は労働者が支払う必要はなく、企業側が掛け金を支払うようになっています。
労災の保証内容は、主に次の5つに分かれています。
① 療養補償給付 | 病院で治療などを受ける |
② 遺族補償給付 | 労働者がなくなった場合、遺族の生活保障 |
③ 休業補償給付 | 労働者が働くことができなくなった場合の収入の補助 |
④ 障害補償給付 | 労働者に障害が残った場合の生活の補助 |
⑤ 介護補償給付 | 労働者に介護が必要な状態になった場合の費用を補助 |
労災は、通勤中や仕事中に発生した怪我や病気が認定対象になりますが、最近では仕事上に起こるパワハラやいじめ、残業をしても残業代が出ないなどの悪環境が原因でストレス・うつ病になるという精神障害での労災請求が増えています。
労災は正社員だけ?派遣社員の人でも労災を受けられるの?
労災保険は、原則としてすべての労働者が受けることができる補償ですので、正社員だけではなく、派遣社員、派遣アルバイトなどすべての労働者が受けることができる権利でもあります。派遣社員が労災を受ける場合は、派遣元の会社が加入している労災保険を使うことになります。
「業務中に起きた病気や怪我だったら、勤務先で支払うのが筋じゃないの?」と思う人もいるでしょうが、そうではありません。
実は、派遣社員と雇用先には雇用契約は結ばれておらず、派遣社員は派遣元である派遣会社とだけ雇用契約を結んでいるので、労災保険を使う場合は派遣会社が加入している労災保険を使うことになります。
注意!労災と失業保険は併用できない?
仕事中に怪我をしてしまい、仕事ができない状態になってしまった場合、労災の請求をすることになります。この時、「仕事ができない状態のまま職場にいるのも心苦しいので、会社を辞めよう」と思い、仕事をやめてしまう人がいますが、この判断はNGです!
労災申請をしたけれど、会社においての自分の立場を案じて勝手に退職してしまうと、「自己都合による退職」と判断されてしまう場合があります。そのため、受けられるべき権利を放棄してしまうこともあるのです。
そもそも、怪我の治療で労災申請をしている場合(認可されるまでに時間がかかる場合も含む)は、会社は労働者を会社都合で解雇することはできませんし、雇用主は労災治療中でも給料を支払う義務があります。
ここで、労災認定が下りなかった場合は、私傷病という形で社会保険による疾病手当金を給付してもらうことになります。また、労災であれば審査請求をしている期間も、疾病手当として支給されます。
しかし、自己都合によって退職してしまった場合は、社会保険の資格も喪失してしまうため、労災認定が不支給だった場合、様々な手続きができなくなってしまうのです。また、ケガで仕事ができなくなってしまったため労災認定をしているという状態は、失業保険を請求する状態ではありません。
通常であれば、仕事を退職したら離職票を出してもらい、失業保険をもらうための手続きを取ることになります。
そもそも失業保険とは「働く意欲があって、いつでも働くことができる体制にある」ということで給付されるものであるため、ケガで労災認定をしている人は失業給付金の対象者ではありません。労災の申請をする際は、労災認定のことだけでなく、社会保険や雇用保険のことも考えながら動くようにしましょう。
退職しても労災の給付は続きます
「労災にあってしまい給付を受けているのだけど、退職したら給付がなくなってしまうのかな」と心配になってしまいますが、そんなことはありません。労災の給付が決定している場合は、退職してもそのまま支払われます。(労働基準法第83条)
たとえば、労災で休業中に定年退職になった場合も、労災給付が終わることはありません。
労災問題でこじれたら弁護士に相談するのもアリ!
「労災の申請をしたいのに会社都合で申請を通してくれない」など、労災によるトラブルもよくある話です。勤務中に起こる労働災害は、業務にあまり慣れていない労働者に起こる確率が多いです。特に多いのが、派遣社員の労災です。
しかし、前述のようにたとえアルバイトでも派遣社員でも労災保険は全ての労働者が受けることができる権利です。労災問題が一向に進まない場合は、労災問題に強い弁護士や相談支援事業に相談することをおすすめします。
また、建設業務に関わる現場への派遣は、労働者派遣法によって禁止されているのですが、違法派遣によって労働者が派遣されてしまう場合、労災が起きたときに大問題になり、損害賠償を請求する事態に発展する可能性もあります。
ですから、労災問題でこじれてしまった場合は、労災の申請から損害賠償の請求まで一貫してやってくれる弁護士に相談するのも1つの選択肢です。
まとめ
「労災」とはどんなものなのか、また労災申請にまつわるいろいろな話をご紹介しました。
労災保険制度は、正社員だけでなくアルバイト、派遣社員など労働者誰もが受けることができる権利です。労災保険の給付内容についても、誰もが一律平等に給付されることになります。
労災保険は、事業者側が加入する保険ですので、労働者が加入するものではありません。万が一事業者が労災保険への加入をしていなかった場合でも、労働者が労災請求をすることは可能です。
もしもアルバイトだから、派遣社員だからと労災の申請を断られた場合は、正当な権利を主張しましょう。労災問題の申請などで話がこじれてしまった場合は、労災問題に強い弁護士に相談することもおすすめします。
また、労災申請の最中に退職を迎えそうな場合や、退職を検討している場合は、退職コンシェルジュに相談してみるのもおすすめです。退職にまつわる様々なこと、社会保険の給付金サポートなどについても相談することができます。
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退職コンシェルジュでは退職者に向けた様々なサービスをご用意し、皆様ひとりひとりの”パートナー”として丁寧かつ迅速にサポートをさせていただきます。 退職する際の社会保険給付金、退職代行、引越し等なんでもご相談ください。ご相談は無料で行っております。
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