2024.10.04

就労について

精神障害者保健福祉手帳の取得と仕事での活用方法

障害者手帳

精神障害者保健福祉手帳とは、障害者手帳の一種であり、精神疾患がある人に交付される福祉手帳になります。

ここでは、精神障害者保健福祉手帳が具体的にどのような症状の人に交付されるのか、また、精神障害者保健福祉手帳を持つことによってどんなメリットやデメリットがあるのかなどを解説します。

精神障害者保健福祉手帳の交付対象者はどんな人?

精神障害者保健福祉手帳は、ある一定程度の精神障害の症状が出ていることを認定するための手帳になります。また、精神障害を抱えている人が自立するためや社会参加ができるようにサポート体制を整えるためのアイテムでもあります。

精神疾患がある人といっても対象になる症状は幅広く、うつ病・躁うつ病などの気分障害、統合失調症、強迫性人格障害などの精神病、不安障害、薬物依存症などから、高次脳機能障害まで様々な症状が対象となります。

また、自閉症やADHD、学習障害(LD)、注意欠陥多動症候群など発達障害全般の症状で発行されることもあります。

発達障害があっても、上記のような精神障害の症状が出ていない場合は、療育手帳や愛の手帳として発行されるため、精神障害者保健福祉手帳は発行されません。

精神障害者保健福祉手帳の等級について

精神障害者保健福祉手帳は、1級〜3級までの区分に分かれています。

1級 精神障害の症状が出ており、一人では日常生活を送ることが困難または不能な状態である場合。常に他人の援助が必要で、自立した生活は困難な状態。障害基礎年金では1級相当にあたる。
2級 精神障害の症状が出ており、日常生活を送るために著しく制限を受けることがあるか、著しく制限を必要としている状態。身辺自立は出来ていても自立した生活は困難な状態。障害基礎年金では2級相当にあたる。
3級 精神障害の症状が出ており、日常生活や社会生活を送るのに制限を受けるか、社会生活に制限を必要としている状態。

精神障害者保健福祉手帳を持つことのメリットはどんなことがある?

65歳未満の人で精神障害者保健福祉手帳を所持している人は全体の2割以下ほどと、所持率は高くありません。

精神障害者保健福祉手帳の普及率が低い理由としては、「手帳を持つ」ということへの抵抗を感じている人が多いことや、周囲からの偏見の目を向けられるのではないかと気にしている人が多いことなどの理由です。

手帳の取得はもちろん任意ですが、手帳を持つことで普段の生活を送るにあたって受けられる恩恵が多いのも事実です。

そこで、精神障害者保健福祉手帳を持つことのメリットについて紹介します。

  • 税金の控除を受けることができる(障害者控除)
  • 税金の助成を受けることができる
  • NHKや上下水道の水道料金などの公共料金の割引
  • 公共交通機関の運賃の割引
  • 就職時に、障害者雇用枠での就職ができる
  • タクシー券などの配布(条件あり)

 

精神障害者保健福祉手帳を所持していることによって受けられる恩恵は、この他にもあり、内容は各市町村で異なります。

また、精神障害者保健福祉手帳の所持者は、総合支援の一環として、生活福祉資金貸付制度を利用することも可能です。この生活福祉金貸付制度は、障害者世帯が自立するために必要な支援を受けられるために資金の貸付をしてくれる制度であり、より包括的なサポートを受けることができます。

精神障害者保健福祉手帳を取得すると、生活面・精神面ともにサポートを受けることができることや、自立を目指しての社会参加がしやすくなるというメリットがあります。

特に「自分の特性を生かした場所で働きたい」と願っている精神障害者の人にとっては、障害者雇用枠での就職ができるのは大きなチャンスです。

障害者雇用枠での採用となると、収入面や昇級などのタイミングなどで若干不利に感じる場合もあります。しかし、精神障害者保健福祉手帳を所持していると、自分の精神障害の辛さなどを理解してくれる職場で働くことができるなど、様々な配慮を受けることができます。

精神疾患がある人が精神障害者保健福祉手帳を所持していない場合、一般の就労先で仕事や人間関係において苦労されている人が非常に多いです。

自分の限界が来る前に、退職コンシェルジュに退職についての相談をしてみるのも一つの方法です。生活保険金の給付サポートや退職後の相談にも乗ってもらえますので、一人で悩まずに相談してみるのもおすすめです。

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精神障害者保健福祉手帳を持つことのデメリットとは?

精神障害者保健福祉手帳を持つことでのデメリットは、周囲からの偏見を機にすることや、特別扱いされることが嫌だと思うことなどがあるでしょう。しかし、手帳を所持していることは、自分から言わない限り他人に伝わってしまうことはありません。所持していることを秘密にしたい場合は、職場や友人たちに自分から開示する必要はないのです。

それよりも、精神障害者保健福祉手帳を取得して、自立支援のためのサポートを受けた方が、よりストレスなく生活することができるための早道になります。

必要な時に必要な支援を受けて、仕事の幅を広げることや生活がしやすくなるサポートを受けるためにも、精神障害者保健福祉手帳の取得を検討してみることをお勧めします。

精神障害者保健福祉手帳の取得方法とは?

精神障害者保健福祉手帳は、うつ病や統合失調症などの症状で通院している場合、病院で取得をすすめられる場合があります。また、自分で市区町村の障害福祉課などの窓口に申し込みをして、申請書類を受け取り病院で診断を受ける場合があります。

初めて手帳を取得する場合は、以下のものが必要になります。

  • 精神障害者保健福祉手帳の申請書(役所に用意あり)
  • 病院で書いてもらう精神障害者保健福祉手帳用の診断書(精神障害で医師の診断を受けた初診日から半年以上経過したタイミングで作成してもらうこと)
  • 手帳に貼る写真(縦4cm×横3cm)

精神障害者保健福祉手帳の取得に関しては、まずは最寄りの自治体の障害福祉課や包括支援センターの相談員、病院などで相談してみましょう。

まとめ

精神障害者保健福祉手帳について、所持することのメリットやデメリット、どのようなサービスを受けることができるのかなどを詳しくご紹介しました。

障害者差別解消法がありますので、精神障害者保健福祉手帳を所持していることで障害者雇用枠での就職ができることや、税制面での優遇措置を受けることができることなどメリットは大きいです。また、生活福祉資金の貸付制度など総合支援のための資金を借りることもできるなど恩恵も多いです。

精神疾患で日常生活を送ることを困難に感じている人は、一度精神障害者保健福祉手帳の取得を検討してみることをおすすめします。

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