2023.07.21

就労について

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雑用ばかり?それはパワハラかも!具体的事例と対処法

パワハラという言葉が浸透し、多くの人がその意味を知る時代になりました。しかし、具体的にはどのようなものが含まれるのでしょうか?物理的に手を上げる、身体に触る、だけではないのです。なんとなく普段の日常で返答に困るようなことを言われていたら、もしかすると何らかのハラスメントかもしれません。気付かないうちに自分がパワハラの加害者になってしまう可能性もあります。そうならないように、ここではパワハラの具体例を挙げて説明します。

そもそも「嫌がらせ」に含まれるのはどんなこと?

ハラスメントとは嫌がらせやいじめのことを指す言葉です。パワーハラスメントの略であるパワハラやセクシャルハラスメントの略であるセクハラは、今やかなり知名度が上がったため、その言葉を知らない人のほうが多いくらいかもしれません。しかし、その中身を正しく理解している人はその半分にも満たないのです。

嫌がらせの一つ「パワハラ」

仕事上の指摘や教育の一環の延長線上の嫌がらせは、当事者だと特に判断がつきにくいものです。「だからお前はダメなんだ!」というような声を荒らげるのはわかりやすいパワハラですが、「何回も言わせないでほしい」「教育係なんて引き受けるんじゃなかった」等と聞こえよがしに言われるのも十分パワハラです。

 

厚生労働省では、パワーハラスメントを下記の通り定義しています。それぞれの具体的な例を挙げて見てみましょう。

身体的な攻撃

頭や肩を小突く、髪を引っ張る、突き飛ばされる なども該当します。「身体的な攻撃」には物理的な攻撃が当てはまります。近年では「暴力=パワハラ」という認知が広まっていて、問題視されるようになってきているのであからさまな攻撃は減少傾向にあります。しかし、物を投げつけられるなどの攻撃をパワハラだと認識していない人もまだまだ存在しています。身体的な怪我だけではなく、心理的外傷(トラウマ)を負ってしまう場合もあります。

精神的な攻撃

パワハラの代表的な例とも言えるでしょう。人格を否定するような罵倒やしつこい説教、他の人の目があるところで大声で叱責する などは精神的に辛いものがあります。人前で叱られるのは年齢や立場を問わず、誰だって嫌な思いをしますよね。「この会社を辞めたらお前なんかを雇ってくれるような会社はないぞ」などと詰め寄られることや、「お前は人としてダメだ」などと侮辱されることもあります。そうした精神的に追い詰めるようなやり口が「精神的な攻撃」に該当します。

人間関係からの切り離し

挨拶をしても無視する、会話に入れようとしない、部署での食事会などに誘わない などが当てはまります。誰が挨拶しても無視する人は稀にいますが、自分だけ明らかに無視されていたり、二人だけで他に誰もいない時に話しかけて無視されたりするようなら、「人間関係の切り離し」のタイプのパワハラだといえます。ひどい場合は、上司が自分以外の人に「あの人とは関わらないように」などと指示を出している場合もあります。他の人たちは上司に逆らいたくなければ指示に従うでしょう。こうなってしまっては自力で他の人と関わるのは至難の業です。

過剰な要求

明らかに達成不可能なノルマを課す、教わっていない仕事をやらせる、一人ではこなせない仕事を一人でやるよう強要する、要らない仕事を緊急でやらせる などが当てはまります。しかも、仕事をこなせなかったときには「精神的な攻撃」をされることが多いと言われています。大量の仕事を押し付けられた後に「こんなこともできないなんてダメな奴だな」と罵倒されてはやる気もへったくれもありません。

過小な要求

意外かもしれませんが、誰でもできる仕事しか回さない、毎日自分の担当ではない単純作業だけやらせる、仕事を教えずに自主学習だけをさせる などもパワハラにあたります。入社や異動からかなりの日が経過しているのに新しい仕事を回されない、仕事がないか聞いても「今は特にないから掃除でもしていて」「これをコピーしておいて」等と雑用ばかりさせられる時にはパワハラの可能性があります。しかし、これはハラスメントの加害者側にハラスメントの意識がないのが多いことが特徴です。「入社したばかりでこんなに仕事を押し付けてはかわいそう」「これはミスしたら後々面倒だから、段階を踏んでしばらくは簡単な仕事を任せよう」等と気遣いから来ていることもあるからです。気遣いからくるものか、単に教育下手なのか、嫌がらせの意識があるのかは上司の様子や会話から判断する必要があります。

個の侵害

必要以上にプライバシーに立ち入るのは「個の侵害」に該当します。かと言って、自宅の最寄り駅くらいなら通勤定期券の確認の兼ね合いで尋ねることもあるので、過剰になりすぎるのも考えものです。有給を取る理由をしつこく聞いたり、無断でスマートフォンの中を見ようとしたり、本人が望んでいないにもかかわらずSNSやブログを暴こうとするのも「個の侵害」にあたります。また、特に宗教や結婚などについてしつこく尋ねたら「個の侵害」と見なされやすくなります。本人が公表を望んでいない情報を入手したり公表したりするのはパワハラです。

まとめ

物理的な暴力だけでなく、様々なタイプのパワハラがあります。自分がされたことがパワハラだと気付かない人もたくさんいます。同じように、パワハラだと知らずに加害者になってしまうケースもあります。被害者にならないようにするのは難しいことですが、加害者にならないようにする意識も大切です。巡り巡って自分を守るためにもなりますから、どのような行為が「パワハラ」にあたるのか、しっかりと知識を持っておきましょう。

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