2023.07.07
就労について
労働基準監督署って何するところ?
労働基準監督署は、企業が労働基準法を守りながら営業しているかどうかを監督する場所です。労働基準監督署では労働者からの相談も受け付けており、もしも労働基準法違反が見られたら、解決のために具体的に対応してもらえることもあるため、勤め先でトラブルがあった場合に非常に役に立ちます。
ここでは、労働基準監督署ではどのような相談を受け付けているのか、どのような流れで相談をするのかなどについて、ご紹介します。
労働基準監督署で相談できること
労働基準監督署は、労働基準法に違反する事例に対処する機関です。そのため、次のような場合に相談ができます。
- 雇用契約と異なる条件で働かされている
- 会社都合退職をさせられた
- 賃金や残業代が支払われない
- 36協定を守らない長時間残業を強いられている
- 有給休暇を取らせてくれない
- 休憩させてくれない
反対に、以下のような場合は労働基準監督署での対応は難しいとされています。
- パワハラをされた
- セクハラを受けた
- 自身の行動が原因となり退職させられた
- 自己都合退職によるトラブルがあった
- 育児・介護休業を取らせてくれない
ハラスメントなどは許されない行為に変わりありませんが、労働基準法には関係しない事例のため、労働基準監督署での対応は難しいとされています。しかし、このような労働基準法違反ではないトラブルに関しては、労働局で相談に乗ってもらえます。
労働基準監督署を利用するメリット
会社都合退職やブラック企業でのトラブルなどの問題を相談できる場所は色々とありますが、その中でも労働基準監督署に相談することで、次のようなメリットが得られます。
無料で相談できる
労働基準監督署は公的な機関で、無料で労働基準法に違反している事例の相談に乗ってもらえます。ブラック企業でのトラブルの解決は弁護士に依頼するという方法もありますが、かなりの費用がかかりますし、敷居も高いですよね。一方で、労働基準監督署なら気軽に相談することができます。
労働基準法に詳しい人からアドバイスをもらえる
労働基準監督署で相談に当たるのは、労働基準法に精通したいわば労働問題のプロです。そのため、法律に基づいた正しい知識を教えてもらえます。また、日頃から会社都合による不当な退職や賃金問題など数多くの相談を受けているため、トラブルに対してどのように対処すべきなのかも教えてもらえます。
問題が解決することがある
相談内容から労働基準法に違反していることが判明した場合、企業に対して状況を改善するように勧告をしたり、立ち入り調査を行ったりすることがあります。こうした対応から違法行為をしていた企業が態度を改め、支払われていなかった給料や残業代を払ったり、有給や休憩を取れるようになったりと問題が解決されることもあります。
労働基準監督署を利用するデメリット
無料で相談できる、専門家のアドバイスを受けられるなど、多くのメリットがある労働基準監督署ですが、中にはデメリットもいくつかあります。労働基準監督署を上手く活用するためにも、これから紹介するデメリットについて知っておきましょう。
悪質な事例が優先される
労働基準監督署には、毎日たくさんの相談が寄せられます。そのため、1つ1つの相談にじっくり対応できるわけではありません。特に悪質であったり、人命に関わったりするケースを優先するため、相談しに行っても後回しにされてしまうこともあります。こちらが求める対応をしてもらえない可能性もあることを覚えておきましょう。
証拠がないと動いてもらえない
相談内容が労働基準法に違反しているかどうかは相談者からの話だけではなく、給与明細やタイムカードなどの資料も含めて判断します。訴えだけでは証拠が不十分となり、具体的に動いてもらえる可能性は少なくなってしまいます。そこで労働基準監督署に行く場合は、話の内容を裏付ける証拠となる資料を持っていきましょう。
絶対に問題が解決されるわけではない
企業が労働基準法に違反していた場合、労働基準監督署は勧告や指導を行えますが、退職を取り消したり、賃金を支払ったりと相談者が求めている対応をするように強制することはできません。指導が入ることによって企業が対応することもありますが、それでも改善せず、問題が解決しないこともあることは考慮しておきましょう。
労働基準監督署に相談するときの流れ
労働基準監督署は頻繁に利用する場所ではないこともあり、相談したいけれど具体的にどうすれば良いのか分からないという方もいるのではないでしょうか?最後に、労働基準監督署に労働問題について相談する際の流れについて、お伝えします。
証拠となる資料を準備する
労働基準監督署に相談内容が労働基準法に違反していることを認めてもらうためには、それを裏付ける証拠が欠かせません。やり取りが残ったメールや雇用契約書、タイムカード、給与明細書など相談内容の証拠となる資料を、まずは揃えましょう。
労働基準監督署に行き相談する
労働基準監督署への相談はメールや電話でも可能ですが、問題に対して具体的に動いて欲しい場合は、直接訪問するのがおすすめです。証拠を提示し、具体的な話をしながら、相談員にトラブルについて説明しましょう。労働基準法に違反する場合、本来企業が取るべき対応を教えてもらえたり、具体的な解決のためのアドバイスをしたりしてもらえます。
労働基準監督署から企業への指導・勧告
違法行為が発覚した場合は、労働基準監督署から企業に対して調査が行われ、指導や勧告を行います。それを受けて企業が相談した労働者に対して適切な対応を取れば、問題解決に至ります。
まとめ
労働基準監督署は、労働基準法に違反しているトラブルの相談ができる場所で、法律違反が認められた場合は企業に対して指導をしてもらえます。ただし、労働基準監督署へは毎日多くの相談が寄せられているため、1つ1つの案件にじっくり対応できるわけではありません。
そのため、労働基準監督署を通して問題解決を目指す場合は、企業の違法行為を裏付ける証拠を揃え、さらにスムーズに説明できるように問題点を明確化したり、時系列に沿って流れを整理したりと準備をしっかりしてから、訪問するようにしましょう。
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