2022.02.25
障害年金について
テーマ:
障害年金受給者が急な資金需要に対応するためのローンの利用方法
2017年4月、障害年金の審査にあたる日本年金機構は、審査体制の変更を行い、障害厚生年金や障害基礎年金の支給金額についても変更しました。これにより、それまで障害等級の認定が全国統一・厳格化され、さらに各年金の等級で支給される金額そのものが減額されています。このような中で減額により生活資金について困ることが多々出てきた、という声もあります。
このような背景の中で、障害年金受給者が急にお金が必要になった場合、カードローンなどを利用できるのでしょうか。今回は急ぎでお金が必要になった際の金策について考えてみます。
すぐに借りられる印象のカードローンはどうか
まず、緊急にお金が必要な場合、最近では銀行系のカードローンから借りる、という選択肢が頭に浮かんでくると思います。審査期間も短く、まさに急場を凌ぐ際には大いに助かる存在になりそうです。
以前、転職期間中のカードローン申し込みの説明の際(記事タイトル『退職時に気をつけたい「お金」の話』)にも解説しましたが、本来、カードローンは定収入がない状態では審査は通りません。さらに国による総量規制により、カードローンは年収の1/3を超える借入はできないと決まっているため、年収についても源泉徴収票の提出を求められるなど厳しくチェックされます。
また、これも以前説明しましたが総量規制の対象ではない銀行系カードローンについても審査基準の厳格化が進められていると言われています。
この点について、障害年金受給者はどのような扱いになるのでしょうか。
前述のようにカードローンは、「一定の安定した収入があること」が利用条件になります。障害年金を受給しているかどうかは審査に影響しませんが、収入が障害年金だけの場合は審査が通らない可能性があります。もし、障害に影響しない軽作業や内職など障害年金の他に定収入があれば、審査が通る可能性があります。さらに時短勤務であっても、勤続年数が長期に渡っている場合、安定した収入を得ていると判断され、審査が通る可能性があります。
また、家族と一緒に暮らしていることなども審査要件としてプラスに働くと言われています。これは家族と一緒に暮らしている場合、家族を通じて連絡を取ることができることが挙げられます。貸付金について万が一、返済遅延などという状況になった場合、金融機関として貸付金回収の目処が立つのかどうか、家族を通じて本人に連絡できるかどうかに関係してきます。
金融機関としてみれば、貸倒れのリスクを少しでも回避することを考えて、家族と一緒に暮らしている人には安心してお金を貸すことができるのです。
なお、気をつけないといけないこととしてカードローンは金利が基本的高く(契約初期状態では多くが10%以上)、リボルビング払い並の利息を支払うことになりますので、あくまで少額の一時的な借入として利用することをおすすめします。
年金担保融資制度を利用する
申し込みから貸し付けまでカードローンよりも時間が掛かりますが、「年金担保融資制度」を利用することも可能です。
年金担保貸付制度(および労災年金担保貸付制度)は、国民年金、厚生年金保険または労働者災害補償保険の年金を担保とすることで融資が法律で認められた唯一の制度です。この制度の利用目的は「保健・医療、介護・福祉、住宅改修、冠婚葬祭、生活必需物品の購入などの支出のために一時的に小口の資金が必要な場合」とされています。
融資金額
年金担保融資制度での融資金額には条件が設定されています。それは次の3つの要件で指定された範囲内とされています。
①10万円~200万円の範囲内(1万円単位。ただし、資金使途が「生活必需物品の購入」の場合は、10万円~80万円の範囲内)
②受給している年金の0.8倍以内(これは年額で、年金から源泉徴収されている所得税額に相当する額を除く)
③1回あたりの返済額の15倍以内(融資金額の元金相当額を原則2年6カ月以内で返済する必要がある)
なお、実はこの他の条件として、融資金の必要性等の確認のため、見積書、請求書等の資料の提示が必要です。借入申込書に「資金使途」、資金使途ごとの「必要額」及びその「支払(予定)年月」を記入しなければなりません。その際、「必要額の合計額」が「借入申込額」に満たない場合は、融資金は「必要額の合計額」までを上限とします。
返済額
また返済については、独立行政法人福祉医療機構が、借り入れをした年金受給者の年金支給機関(銀行や信用機関など)から直接受け取る形式となります。いわば借金をした分、年金が減額支給されることになるわけです。これにより年金支給機関から偶数月に支給される年金のうち、年金受給者が指定した額(定額返済額・1万円単位)が返済に充てられます。なお、定額返済額の上限は1回あたりの年金支給額の1/3以下とし、下限は1万円となり、3分の2以上は手元に残るようになっています。
貸付利率
貸付利率は、年金担保貸付:2.8%(平成30年10月3日現在)、労災年金担保貸付:2.1%(平成30年10月3日現在)となっています(福祉医療機構の2019年9月現在のWeb記載情報より)。貸付を受ける場合は、同機構に問い合わせを行い、最新の利率を確認するようにしてください。
なお、貸付に関して生活保護受給中や反社会勢力に該当する人など利用できない場合がありますので、それらについても福祉医療機構のWebサイト、あるいは問い合わせを行って確認するようにしてください。
▽独立行政法人福祉医療機構/年金担保貸付事業・労災年金担保貸付事業
https://www.wam.go.jp/hp/guide-nenkin-outline-tabid-251/
その他の公的扶助制度
その他の公的扶助制度として「生活福祉資金貸付制度」というものがあります。
生活福祉資金貸付制度は各都道府県の社会福祉協議会が実施主体となりますが、問い合わせ窓口は各市町村になります。貸付け対象は、低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯です。貸付資金の種類として、総合支援資金、福祉資金、教育資金、不動産担保型生活資金があります。貸付金利子は、二種類あり、連帯保証人を立てる場合は無利子で、連帯保証人を立てない場合は、年1.5%となります。
まとめ
お金の問題は切実、かつ切迫していることが多いのですが、焦って高金利のものを借りるとあとが大変です。できるだけ後のことも考えて、お金を工面するようにしましょう。
退職コンシェルジュとは
『退職者に寄り添うプロフェッショナルパートナー』
退職コンシェルジュでは退職者に向けた様々なサービスをご用意し、皆様ひとりひとりの”パートナー”として丁寧かつ迅速にサポートをさせていただきます。 退職する際の社会保険給付金、退職代行、引越し等なんでもご相談ください。ご相談は無料で行っております。
退職者に寄り添う
プロフェッショナルパートナー
退職コンシェルジュでは退職者に向けた様々なサービスをご用意し、皆様ひとりひとりの”パートナー”として丁寧かつ迅速にサポートをさせていただきます。 退職する際の社会保険給付金、退職代行、引越し等なんでもご相談ください。ご相談は無料で行っております。
おすすめの関連記事
- CATEGORY
- 給付金について
- 転職・再就職について
- 就労について
- 新型コロナウイルスについて
- 社会保険について
- 退職代行について
- 税金について
- 精神疾患について
- サービスについて
- 退職について
- 障害年金について
- ピックアップ
- 人気記事
-
退職代行サービスの利用方法、実際の流れと体験談を紹介
-
今の会社に3年後もいる自信はありますか?
-
退職代行を利用した時の有給消化の仕組みとその対応方法
-
退職代行サービスを使うメリット・デメリットは?
-
ブラック企業を判定する方法と実際のチェックポイント
-
障害年金を知ろう
-
会社を“円満に退職する”方法は?
-
退職時の引き継ぎは必須?スムーズな業務引き継ぎのポイント
-
パワハラ、モラハラ、セクハラとは?
-
辞めさせてくれない!そんな時こそ「退職代行サービス」
テーマ
- クレジットカード
- 資格取得
- 退職願
- 職業訓練受講手当
- 自己PR
- 社会保険給付金
- 退職代行
- アルバイト
- 精神疾患
- 退職届
- インフルエンザ
- 確定申告
- 職業訓練受講給付金
- 退職代行サービス
- 雇用保険
- うつ病
- 面接
- 感染症
- 保険料
- 退職給付金
- ブラック企業
- 健康保険
- 統合失調症
- 障害手当金
- 引っ越し
- 社会保障
- ハローワーク
- ハラスメント
- 年金
- 契約社員
- 自己都合
- 社宅
- 就職
- 就業手当
- パワハラ
- 転職活動
- 弁護士
- 会社都合
- 障害者手帳
- 労働基準法
- 傷病手当
- モラハラ
- 転職サイト
- 公的貸付制度
- 失業給付
- 精神保険福祉手帳
- 雇用契約
- 退職コンシェルジュ
- セクハラ
- 職務経歴書
- 生活福祉資金貸付制度
- 新型コロナウイルス
- 労災
- 内定
- 社会保険給付金サポート
- 障害年金
- 人間関係
- 通勤定期券
- 有給消化
- 産休
- 就労移行支援
- 雇用保険サポート
- 引き継ぎ
- スタートアップ
- 不支給
- 休職
- 育児休暇
- 業務委託
- 退職手当
- 給与
- 転職
- 等級
- 免除申請
- 解雇
- 社会保険
- 残業代
- 違法派遣
- 離職票
- 適応障害
- 大企業
- 福利厚生
- 退職金
- 派遣契約
- 労務不能
- 住宅確保給付
- 中小企業
- 失業手当
- 会社都合退職
- 障害厚生年金
- 傷病手当金
- 給付金
- ベンチャー企業
- 就職困難者
- 自己都合退職
- 失業保険
- 年末調整
- 職業訓練
- 会社倒産
- 再就職手当
- 退職
- ブランク期間
- 障害者控除
- 再就職
- 退職勧奨
- 転職エージェント