2022.01.05

就労について

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退職時の引き継ぎは必須?スムーズな業務引き継ぎのポイント

退職時に必ずと言って良いほど出る問題が「引き継ぎ」をするか、するならどこまですればいいのかということになりがちです。もちろん「円満退職」を目指すなら引き継ぎはした方がいいに越したことはありません。でも、実は引き継ぎは「法的な義務」ではないのです。

退職するとき「引き継ぎ」は必須ですか?

会社という利益共同体の中で雇用による契約関係にあった以上、信義則(信義誠実の原則)として、原則論的には引き継ぎを行った方が良いのは確かです。特に重要なプロジェクトの中心人物や重要人物の窓口として替えの効かない人などが事細かな引き継ぎを求められることがあります。

では退職する際、引き継ぎの打ち合わせや資料作成は絶対に行わなければならないのでしょうか。

労働基準法では、期間の定めのない雇用契約の場合、退職届提出など通知から2週間で退職することが可能です。
なお、この「期間の定めのない雇用契約」とは、正社員に限りません。例えばアルバイトやパートであっても、働く期間を限定せずに雇用契約を結んでいれば、この「期間の定めのない雇用契約」に該当します。

また、労働者には退職の自由(憲法22条1項)があるので、退職について使用者の許可を必要とするような就業規則の規定を仮に作っていたとしても、それは無効になります。さらに民法によって退職時の法的なルールが定められています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する(民法627条1項)。

 

そして重要なポイントとして、これらの法律のどこにも引き継ぎを行うことを義務としているものはありません。

退職が決まり、有給休暇を取り始めてから上司からの業務命令として、引き継ぎと出社を求める強圧的な文面のメールが送られてくる、あるいは有給休暇に入りリラックスしている時に不意に、引き継ぎを請う同僚や部下からの情に訴える泣き落とし電話などが掛かってきて動揺する、などがあるかもしれません。

しかし、基本的にこれらのメールや電話に対応する必要はないのです。

例えば退職日が決まった後、会社側が退職日までに処理しきれないような膨大な量の引き継ぎ資料の作成の要求、あるいは退職者と会社側が合意したはずの内容を勝手に変更し、引き継ぐべき業務を上積みしてきた場合なども含め、引き継ぎを完了する義務はありません。引き継ぎの完了はあくまでも業務の結果に過ぎず、雇用関係にある場合は、必ずしも業務を完了させる必要はないからです。

「引き継ぎ」をしないと訴えられる?

退職時に引き継ぎを行わなかった、あるいは終わらなかった場合でも、損害賠償などを法的に請求されるようなことはほぼありません。ただ、可能性として、就業規則で退職時の引き継ぎを行うことが明示されている場合や業務命令で明確に指示を出してきている場合、引き継ぎを行わないことで会社側が裁判に訴えてくることも僅かな可能性ですがありえます。

特に前述の重要なプロジェクトの中心人物、会社の事業遂行に重要な人脈を持っている重要な職階ポジションにいた場合は注意が必要でしょう。また、退職時になって急に会社が引き継ぎ資料作成を命じる背景として、会社が特定個人に属人的に情報を集中させたままの体制を黙認、あるいは放置していた可能性もあります。本来であればそれまでの日常業務で提出していた週報や日報などで把握できた情報もあるはずです。それを退職時になってから情報が不足しているので引き継ぎ資料を作成してほしいというのは、使用者として無責任とも言えます。

さらに引継ぎが未了とする立証責任は使用者(会社側)にあるため、引継ぎが完全に行われているかどうかについて訴訟はかなり困難と見なされています。

また、退職に至る過程に退職者本人のみの責任を問えるか、というのも重要です。退職に至る過程でパワーハラスメントやセクシャルハラスメント等があった場合、その対応の経緯によっては退職の責任は会社にもあることになり、訴訟に持ち込んでも損害賠償を得ることは困難とされています。

迷ったときは、専門家に相談しましょう。

ここまで読まれて、ご自身が引き継ぎをする必要があるのか、あるいはどの程度の対応を行えばいいかについてご参考になったでしょうか。

取引先の名刺、重要書類で個人管理のものを整理して渡す、というところはそれほど労力もかからないので、退職まで時間がある場合は常識的な範囲で対応できると思います。そして、それ以上に過重な要求があった場合は、引き継ぎ未了の形でも対処できることがおわかりになったかと思います。

もし会社側が損害賠償や訴訟をちらつかせてきた時は、一人で悩まず、専門家に相談しましょう。ベストかつ早期の退職を目指すなら、それが一番だと思います。

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