2023.09.08
退職について
確定拠出年金=退職金…ではない!?
「確定拠出年金って、どんな制度なんだっけ?」「確定拠出年金は退職金としてもらえるの?」このような、お金にまつわる疑問を持ちながらも「まあ、なんとかなるか」と考えている方は多いことでしょう。しかし、自分の老後にどれだけの蓄えがあるかを理解し、どのくらいのお金を得ることができるかについてきちんと計算しておくことは、現代社会を生き抜く上で非常に大切です。ここでは、退職金よりも節税効果の高い「確定拠出年金」の制度について、解説します。
退職金と確定拠出年金は何が違う?
確定拠出年金とは、会社または個人でお金を積み立てていく制度です。それには、企業がお金を積み立ててくれる「企業型」と、個人で行う「個人型」があります。そして、企業のほとんどは前者を採用しています。こちらは、企業での積み立てということもあり、掛金は企業が出すことが原則です。ただ、実際に運用するのは従業員となります。会社がお金を掛金として出すところは、退職金と似ていますよね。しかし、退職金と確定拠出年金には、以下のような大きな違いがあるのです。
退職金と確定拠出年金の違い
退職金は、勤続年数によって、おおよその額が決まっています。企業によっては、「何年以上働いた場合にいくら支払う」と定めているところもありますし、そもそも全員に支給しないところもありますよね。現在はコロナ禍ということもあり、急に退職金の支給がなくなってしまうことも考えられます。つまり、退職後にいくらもらえるかどうかということは、時期が来るまでわからない場合があり、その判断は、完全に企業側に委ねられているのです。
しかし、確定拠出年金は、もらえる金額をある程度、個人でコントロールすることができます。なぜなら、前述したように、確定拠出年金の運用はあくまで個人であるからです。企業だけではなく、社員も掛金を出すことができるので、積み立てに参加することが可能です。
例えば、勤続年数が同じ、AさんとBさんのケースで考えてみましょう。仮にAさんが、追加で掛け金を出しており、Bさんは特に何もしていなかったとします。この場合、Aさんは、積み立ての実績がよければ、将来退職金としてもらえる金額が、Bさんよりも多くなると言えるのです。個人で資産を増やしたい方は注目したい制度だということがよくわかりますよね。
退職・転職をした場合
「企業型」の確定拠出年金の制度を利用していた場合は、退職すると、その資金はどうなってしまうのでしょうか?自分が積み立てたお金が無駄になってしまうことを心配する方もいますが、安心してください。たとえ、転職先の会社が「企業型」の確定拠出年金に加入していなくても、資金はそのまま継続して「個人型」として運用することができるのです。
個人の確定拠出年金「iDeco」とは?
最近よく耳にする、「iDeco」とはどういうものなのでしょうか?これは、別名で「個人型確定拠出年金」のことです。企業が確定拠出年金の制度を取り入れていなかったとしても、個人で積み立てが可能な制度となっています。2017年の法改正をきっかけに、節税のために利用している人も多いと言われています。
個人の確定拠出年金のメリットとは?
確定拠出年金は個人でお金を積み立て、掛け金をかければかけるほど、所得税や住民税などの税金が安くなる制度です。そして、受け取り方を工夫すれば、年金などの控除の対象になることもあります。自分で老後の資金を増やすことができ、節税ができるとあり、大変人気を集めています。
一方、退職金は、所得税や住民税がかかってしまいます。せっかく自分で働いてきたお金は、できるだけ多く資産として手元に残しておきたいですよね。こちらは、会社員やフリーランス、主婦など自身の所得額などに応じて、どのくらい節税ができるのかということも異なってきます。インターネットで節税額をシミュレーションできるサイトもあるので、ぜひ一度気軽に診断してみてくださいね。
個人の確定拠出年金での注意点
個人の確定拠出年金は、企業型の確定拠出年金加入者や公務員、専業主婦も利用できることや、節税のメリットが大きいため、「すぐにでも始めたい」という方もいるかもしれません。しかし、運用には気をつけなければいけないこともあります。そのため、以下の注意点をきちんと理解しておきましょう。
- 60歳を過ぎないと引き出せない
- リスクが0ではない
- 金額を変更できるのは年に1回
あくまで投資なので、元本割れのリスクもあります。あくまで、長期間かけてコツコツ積み立てることを意識したいですね。積み立ての最低金額は5000円です。あまり多く積み立てをしておくと、急な病気などで、家計を圧迫することもあるかもしれません。中断することはとても労力がいるので、よく考えた上で金額を決めましょう。
確定拠出年金の受け取り方
確定拠出年金の受け取り方には、一時金として一括で受け取る方法、年金として何回かに分けて受け取る方法があります。
一時金として受け取る場合
一度に大きなお金をもらうことができるため、住宅ローンの返済などまとまった金額の支出を予定している方に、おすすめです。ただ、急にお金が入ったことで散財してしまう方もいるので、十分に注意する必要があります。一括で受け取る場合は、退職所得という扱いになります。退職金の控除額が大きくなるため、節税効果が期待できます。人によっては、税金がかからない場合もあります。ただ、退職金の金額が多い場合などには、逆に税金が高くなってしまうこともありますので、注意しましょう。
年金として受け取る場合
年金として、数回に分けて受け取ることもできます。受取の期間や回数はそれぞれの金融機関によりますが、60歳以上であれば、自分の希望に合わせて引き出すことが可能です。こちらは、受け取る金額から、公的年金等の控除額を差し引いた金額に税金がかかります。先程の一時金としての受け取りと比べると、税金が高く、少し不利に感じる方もいるかもしれません。
しかし、年金として受け取る場合は、確定拠出年金の運用を継続することができるという大きなメリットがあるのです。運用の仕方によっては、最終的に受け取ることができる金額を、さらに増やせる可能性があるのです。また、一度に大金を手にすることがないので、散財のリスクも少なくなりますよ。受け取りが近くなってきたら、自分のライフスタイルに合わせて、どちらが自分に適しているのかを考えてみましょう。
まとめ
確定拠出年金は、話題になっている制度とはいえ、お金のことに詳しい方でないと、正しく理解するのは難しいかもしれません。インターネットのサイトで紹介されている計算式を自分で試すのは大変だという方は、ぜひファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみてくださいね。積み立てたお金や退職金をいざ受け取る時に後悔しないように、きちんと理解を深めておきましょう。
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