2023.12.22
給付金について
失業保険で家賃補助は受け取れる?その条件と手続き方法
退職後にもらえる給付金には、何があるかご存知でしょうか。
失業手当(失業保険)は聞いたことがあっても、その他にも受け取れる給付金があることは意外と知られていないのです。
ここでは、失業手当(失業保険)の給付に際して、受給の条件や受給開始までの日数、給付期間、申請方法・手続きの流れ、受給金額の計算方法などわかりやすく解説しています。
給付金は、対象となる場合でも自分で申請しない限り支給されませんので、申請方法などよく理解しておくことが大切です。
失業保険の給付金とは?
失業保険(雇用保険)から支給される給付金にはいくつか種類があり、それぞれ対象者が異なります。
安心して就職活動をおこなうことを目的とした給付金が多く、失業状態にある方をメインとしています。
求職者給付の中で最も有名なのは、求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない場合に支給される「基本手当」です。一般的に「失業手当」や「失業保険」ともよばれます。
そのほかにも、
公共職業訓練等を受講した場合に受け取れる「技能習得手当」
公共職業訓練等を受けるために、家族と別居して寄宿する場合に受け取れる「寄宿手当」
求職の申込みをした後に15日以上引き続いて疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に受け取れる「傷病手当」
65歳以上の被保険者が失業した場合に受け取れる「高年齢求職者給付金」
季節的に雇用されている方が離職した場合に受け取れる「特例一時金」
日雇労働者が失業した場合に受け取れる「日雇労働求職者給付金」があります。
求職者給付以外にも、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付というものがあります。
給付には条件があり、全て住民票の住所を管轄するハローワークで手続きが必要となります。
参考:雇用保険制度の概要【ハローワークインターネットサービス】
失業保険の給付金(失業手当)を受け取る条件
離職日以前の2年間に、通算12か月以上の被保険者期間がある。
現在雇用保険に加入していて、現職だけで12か月以上雇用保険の被保険者になっている場合はもちろん問題ありません。
しかし、現職での雇用保険の被保険者期間が12か月未満の場合は、前職や前々職での被保険者だった期間を合算できるケースがあります。
それは雇用保険に加入していない期間が1年未満の場合です。
ただし一度失業手当を受け取ると、今までの雇用保険の加入期間はリセットされますので注意が必要です。
参考:基本手当について【ハローワークインターネットサービス】
また、特定受給資格者と特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも対象となります。
特定受給資格者というのは、おもに会社都合退職のことで、会社が倒産した場合や解雇された場合のことを指します。
特定理由離職者は2つの区分に分かれており、特定理由離職者1は契約更新を希望したが更新されなかった場合の事を指すので会社都合退職となり、特定理由離職者2は心身の障害や疾病を理由に退職した場合がこれにあたるため、自己都合退職扱いとなります。
そのほか、自身の退職理由が特定受給資格者や特定理由離職者にあてはまるかは、以下で確認するとよいでしょう。
参考:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要【ハローワークインターネットサービス】
『失業状態』であり、ハローワークで求職申し込みをしている。
『失業状態』とは、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態を指します。
したがって、次のような状態は失業状態と認められず、基本手当を受けることができません。
・病気やけがのため、すぐには就職できないとき
・妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
・結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
そのほか、開業届を提出している場合や会社の役員に就任している場合も、すでに就職しているとみなされ、失業手当の対象外となります。
参考:基本手当について【ハローワークインターネットサービス】
失業保険の給付金(失業手当)の申請方法、受給の流れ
手続きの内容や流れ
失業手当の申請をおこなうためには、まずは退職した会社から【雇用保険被保険者離職票】を受け取る必要があります。
離職票が自宅に届くまでは、平均して退職後1~2週間かかるケースが多いですが、対応の遅い会社だと1か月近くかかる場合もあります。
事前に「退職後は失業手当を申請しようと思っているので、できるだけ早めに離職票を発行してほしい」と、総務担当に伝えておくとよいでしょう。
離職票を受け取ってからの流れは以下となり、自己都合退職と会社都合退職で流れが変わりますのでご注意ください。
まず離職票が届いたらハローワークへ行って離職票を提出し【求職申し込み】を行います。
失業手当を受け取れるのは”仕事を探している人”なので、自身の希望する求人の条件を登録してもらいます。(勤務地、雇用形態、職種、給与など)
失業手当の手続きに加えて上記の求職申し込みを行った日の事を【受給資格決定日】といいます。
また【雇用保険受給資格者のしおり】という冊子を渡されますので、しっかり目を通しておきましょう。
次に7日間の【待期期間】というものを待つ必要があります。
この期間は”失業状態にあるか”をハローワークが確認する期間となりますので、たとえ1時間であったとしてもアルバイト等の就労をしてはいけません。
次に指定された日時に開催される【雇用保険受給説明会】というものに参加する必要があります。
※ハローワークによっては、コロナウイルスの影響で雇用保険受給説明会が中止となっている事もあります。(2023年時点)
次に【初回認定日】というものに行っていただく必要があります。
失業認定日は4週間に1度の頻度であり、「この4週間のうち2回以上求職活動を行ったか、その上でまだ就職できていない状況なのか」をハローワークが確認する日となります。
【失業認定申告書】という書類に、求職活動の実績(いつどこの会社で面接を受けた、いつハローワークで職業相談をしたかなど)やアルバイトの出勤状況などを記載して提出します。※郵送不可
失業手当受給中のアルバイトについてはこちらで詳しく解説しています。
雇用保険受給説明会、もしくは初回認定日で【雇用保険受給資格者証】というものを渡されますので、そこで自分が受給できる手当の日額などを確認する事ができます。
その後の流れは自己都合退職の場合と会社都合退職の場合で異なります。
会社都合退職の場合は初回認定日を終えてから1週間以内を目安に初回の失業手当が振り込まれますが、自己都合退職の場合は2か月間の【給付制限】という手当が発生しない期間を待ってから受給が開始します。(給付制限期間中も求職活動と失業認定を行う必要があります。)
そのため会社都合退職の場合は退職日から初回の手当が振り込まれるまで【1~2か月】かかるのに対し、自己都合退職の場合は【約4か月】はかかってくるのです。
失業手当の受給に関しては、会社都合退職の方が優遇されるため、「できることなら退職理由を会社都合退職で処理してほしい」「自身では会社都合退職になると思っているが、ちゃんと会社が会社都合退職として処理してくれるか不安」と考える人も多いでしょう。
①事業主が「離職理由」の記載された離職証明書を、事業所を管轄するハローワークに提出
②事業所を管轄するハローワークが離職票を発行し、事業主に送付
③事業主から離職者に離職票を送付
上記の流れで離職票が発行・送付されますが、離職票に記載の離職理由に異議がある場合は、離職者の住居地を管轄するハローワークに、異議の申し立てをおこなうことができます。
申し立てが通ると、送付されてきた離職票には自己都合退職の記載があった場合でも、会社都合退職として失業手当を受給できます。
参考:基本手当について【ハローワークインターネットサービス】
申請・受給に必要な書類
失業手当の申請には、以下の物が必要になります。
・雇用保険被保険者離職票(-1、2)
・個人番号確認書類(いずれか1種類)
マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
・身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類((1)の書類をお持ちでない方は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可))
(1)運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
(2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
・写真(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)2枚
・本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。)
参考:雇用保険の具体的な手続き【ハローワークインターネットサービス】
失業保険受給開始までの(給付制限)日数や給付日数
支給期間(待機日数、給付制限、受給期間)
ハローワークで失業手当の申請をしたら、その日から手当が発生するわけではなく、待期期間と給付制限を待つ必要があります。
まず、失業手当の申請をした日(=受給資格決定日)から7日間は、【待期期間】という失業している事を証明する期間となります。
待期期間は退職理由問わず待つ必要があり、その間失業手当は発生しません。
その期間にアルバイト等をしてしまうと再就職したとみなされ、失業手当が申請できなくなってしまいますので注意しましょう。
その後、自己都合退職の場合は、原則2か月間の【給付制限】という期間を待つ必要があります。
給付制限中も失業手当は発生しませんが、求職活動と失業認定を行う必要があります。
なお、失業手当の受給期間は、原則離職日の翌日から一年間(例外あり)となりますので、”給付日数が多い人は特に”期間内に手当を受け取り切れるよう早めに手続きを行いましょう。
参考:給付制限期間変更について【厚生労働省】
給付日数
失業手当の給付日数は、退職理由や雇用保険の加入年数により異なります。
【自己都合退職の場合】
離職時の年齢 |
被保険者であった期間 |
||
10年未満 |
10年以上20年未満 |
20年以上 |
|
65歳未満 |
90日 |
120日 |
150日 |
【会社都合退職の場合】
離職時の年齢 |
被保険者であった期間 |
||||
1年未満 |
1年以上5年未満 |
5年以上10年未満 |
10年以上20年未満 |
20年以上 |
|
30歳未満 |
90日 |
90日 |
120日 |
180日 |
– |
30~34歳 |
120日 |
180日 |
210日 |
240日 |
|
35~44歳 |
150日 |
180日 |
240日 |
270日 |
|
45~59歳 |
180日 |
240日 |
270日 |
330日 |
|
60~64歳 |
150日 |
180日 |
210日 |
240日 |
参考:基本手当の所定給付日数【ハローワークインターネットサービス】
このように自己都合退職より会社都合退職の方が、給付日数が大きく優遇されます。
また、給付日数が残っていても途中で再就職した場合は、残っている基本手当は受給できなくなります。
ただし、給付日数が三分の一以上残っている場合は、再就職手当の対象となる可能性があります。
再就職手当については、以下をご確認ください。
失業保険における家賃補助の有無と条件
通常の失業保険給付には家賃補助は含まれていませんが、住居確保給付金と呼ばれる支援制度が存在します。この制度では、失業中に家賃の一部を自治体が補助するもので、申請にはいくつかの条件があります。まず、安定した住居を失う可能性があること、失業中であること、そして積極的に求職活動を行っていることが求められます。
申請方法と手続き
住居確保給付金を受け取るには、各自治体の窓口で申請を行います。申請時には、本人確認書類、収入証明、賃貸契約書、求職活動の証明書などが必要です。
失業保険の給付金額の計算方法
失業保険の受給金額は、退職前6か月間の総支給から算出され、おおよその受給金額は以下となります。
総支給15万円:11万円/月
総支給20万円:13.5万円/月(離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方は13万円/月)
総支給30万円:16.5万円/月(離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方は13.5万円/月)
より細かな受給金額は、以下の流れで計算します。
① 離職日の直前6か月間の賃金日額を算出する
② ①で求めた賃金日額に、既定の給付率をかけて基本手当日額を算出する
③ 基本手当日額に、自身の給付日数をかける
3つのステップをより詳しく解説すると以下になります。
① 離職日の直前6か月間に支払われた賃金の1日当たりの金額(=賃金日額)を算出する
【離職前6ヶ月間に支払われた給与の合計※÷180日】
※残業代や通勤手当、役職手当、住宅手当などの各種手当含む
賞与(ボーナス)や退職金は含まない
ただし賃金日額には上限と下限が定められている為、上記の計算式で求めた金額が上限額を上回る際には上限額を、下限額を下回る際には下限額を賃金日額とします。
離職時の年齢 |
上限 |
下限 |
29歳以下 |
14,130円 |
2,869円 |
30~44歳 |
15,690円 |
|
45~59歳 |
17,270円 |
|
60~64歳 |
16,490円 |
② ①で求めた賃金日額に、下記のパーセンテージをかけて基本手当日額を算出する
賃金日額 |
給付率 |
5,110円以下 |
80% |
5,111円以上12,580円未満 |
80~50% ※1 |
12,581円以上 |
50% ※2 |
※1 離職時の年齢が60〜64歳の場合は80〜45%
※2 離職時の年齢が60〜64歳の場合は45%
こちらも同じく上限と下限がある為、上限額を上回る際には上限額を、下限額を下回る際には下限額を基本手当日額とします。
離職時の年齢 |
上限 |
下限 |
29歳以下 |
7,065円 |
2,295円 |
30~44歳 |
7,845円 |
|
45~59歳 |
8,635円 |
|
60~64歳 |
7,420円 |
上限額や下限額は毎年改定される可能性があり、上記の金額は令和6年8月以降に適用される金額となります。
参考:雇用保険の基本手当日額について【厚生労働省】
③ 基本手当日額に、自身の給付日数をかける
以上のような流れで、自身が受け取れる失業手当の総額を算出する事ができます。
例として、退職前半年間の総支給が毎月25万円で給付日数が90日の人がどのくらいの失業手当を受け取れるか計算してみましょう。
①25万円×6か月=150万円
150万円÷180日=8,333円←賃金日額
②賃金日額が8,333円の方の給付率は80~50%となるため、
50%の場合:8,333円×50%=4,166円
80%の場合:8,333円×80%=6,666円
基本手当日額は4,166~6,666円の間になるといえます。
③50%の場合:4,166円×90日=374,940円
80%の場合:6,666円×90日=599,940円
基本手当総額は374,940~599,940円の間になるといえます。
少し計算に手間がかかりますので、シュミレーションサイトを利用しておおよその受給金額を把握するのもよいでしょう。
退職後にもらえるお金(失業保険以外)
退職後に受け取れる手当は、失業手当だけではありません。
その他にも、以下の手当を受け取れる可能性があります。
・再就職手当(就職促進給付のひとつ)
・求職者支援制度
・傷病手当金
・特例一時金
・再就職手当以外の就職促進給付(就職促進定着手当、就業手当、常用就職支度手当など)
再就職手当(就職促進給付のひとつ)
再就職手当とは、失業手当受給中の方に対して早期の再就職を促進するための制度で、簡単にお伝えすると”再就職が決まったら貰えるお祝い金”のようなものです。
≪受給条件≫
①待期期間終了後に就職する事
失業手当の申請をした日から7日間が待期期間です。
②基本手当が3分の1以上残っている事
3分の1以上残して再就職した場合は受け取らなかった失業手当の60%を、
3分の2以上残して再就職した場合は受け取らなかった失業手当の70%を受け取る事ができます。
③離職前の会社と関わりのない企業に就職する事
全く同じ会社への再就職はもちろん、関連会社などに再就職した場合も対象外となります。
④(給付制限がある場合)待期期間満了後、1か月以上経過してから就職する事
待期期間満了後1か月以内でも、ハローワークや職業紹介事業者の紹介した企業に就職すれば対象となる可能性があります。
ただし紹介状を出してもらう事が必須となるため、例えば【ハローワークの求人検索パソコンを見て、自ら応募した】などは対象外となります。
⑤1年を超えて勤務する事が確実である事
【6か月契約の派遣社員等で、更新の予定がない場合】や【1年以下の雇用期間で、契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合(保険会社など)】は対象外となります。
⑥再就職先で雇用保険の被保険者になっている事
再就職後も雇用保険に入れる場合に対象となります。
⑦過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当を受けたことがない事
常用就職支度手当については、こちらをご確認ください。
参考:常用就職支度手当について【厚生労働省】
⑧受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでない事
失業手当の申請日より前から内定が出ている場合は、再就職手当の対象にはなりません。
その為在職中から次の会社の内定が出ている場合なども対象外となります。
参考:再就職手当のご案内【厚生労働省】
≪申請方法≫
①就職日(入社日)前日にハローワークに行き、【再就職手当支給申請書】を受け取る
②本人記入欄を記入し、再就職先にも必要事項を記入してもらう
③就職日の翌日から1か月以内に雇用保険受給資格者証を添えて再就職手当支給申請書をハローワークに提出する(郵送可)
④ハローワークの審査の結果【支給決定通知】もしくは【不支給決定通知】が自宅に届き、基本手当と同じ口座に振り込まれる(審査期間:1か月程度)
申請期間がかなり短いので、忘れないよう気を付けましょう。
求職者支援制度
求職者支援制度とは、無料の職業訓練に通うことで、月10万円の給付金を受け取れる制度です。
雇用保険の受給資格者以外の方や、基本手当の受給が終了してしまった方が対象となります。
≪受給条件≫
以下を全て満たしている必要があります。
①ハローワークに求職の申込みをしていること
②雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
③労働の意思と能力があること
④職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
⑤本人収入が月8万円以下
⑥世帯全体の収入が月30万円以下
⑦世帯全体の金融資産が300万円以下
⑧現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
⑨訓練実施日全てに出席する
※やむを得ない理由により欠席し、証明できる場合でも、8割以上出席する
傷病手当金
傷病手当金は、雇用保険の制度ではなく社会保険の制度となります。
雇用保険の「傷病手当」という制度と混同されがちですが、全くの別物です。
また、傷病手当金を利用する際は、必ず失業手当よりも先に申請する必要があります。
失業手当の申請をしてから傷病手当金を申請することはできかねますので、注意しましょう。
≪受給条件≫
退職後に傷病手当金の申請をおこなう場合は、以下の条件を全て満たす必要があります。
①退職日までに、1年以上継続して健康保険の被保険者であること
任意継続被保険者の期間、共済組合・国民健康保険の期間は上記の期間に含まれません。
②退職日の前日までに連続して3日以上休んだ期間があり(待期期間の完成)、かつ退職日も休んでいること
③在職中と同一の傷病により、退職後も引き続き労務不能状態が続いていること
④労務不能期間が継続していること
退職後は断続しての受給はできません。
参考:「傷病手当金」について【全国健康保険協会】
≪申請方法≫
①通院をし、医師から”労務不能な状態である”と診断を受ける
②3日間以上の連続した休みをとる
③再度通院をし、「療養担当記入用」の申請用紙を医師に記入してもらう
④医師に記入してもらった申請用紙をもとに「被保険者記入用」の申請用紙を自身で記入する
⑤「療養担当記入用」と「被保険者記入用」の申請用紙を併せて会社に提出する
その後会社が「事業主記入用」の申請用紙を作成し、保険組合へ申請手続きを行う
⑥保険組合が審査を行う(審査には1~3か月ほど要します)
⑦無事、保険組合の審査に通ると、【支給決定通知書】が届き、その後手当金が口座に振り込まれる
≪同時受給できる給付金等≫
・障害基礎年金(障害厚生年金との併給は不可)
・育児休業給付金
・児童手当
・児童扶養手当
特例一時金
特例一時金とは、季節的に雇用されている方が離職した場合に受け取れる給付金です。
季節的な雇用とは、天候に左右される仕事で季節を限定して行われる雇用をいい、具体的な例としては、農閑期となる冬に農業従事者が行う他業種への就業や、夏の海の家や冬のスキー場での就業などがあげられます。
季節的に雇用されている方は一般被保険者ではないため、失業保険を受給することはできませんが、その代わりに特例一時金を受け取れるというものです。
≪受給条件≫
①離職の日以前1年間に、11日以上働いた月が通算して6か月以上あること
賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として計算する場合があります。
②失業の状態にあること
就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態である必要があります。
離職により資格の確認を受けたこと。
≪申請方法≫
特例一時金の申請方法は、基本的に失業保険の申請方法と同じになります。
離職票を受け取り次第、以下を準備のうえ、管轄のハローワークで手続きをおこないましょう。
①離職票-1、離職票-2
②マイナンバーカード
マイナンバーカードを持っていない場合は、個人番号がわかる通知カードや住民票と、身分証明書の2点でも可
③写真1枚(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)
④本人名義の預金通帳、またはキャッシュカード(一部の金融機関を除く)
参考:特例一時金のご案内【厚生労働省】
再就職手当以外の就職促進給付(就職促進定着手当、就業手当、常用就職支度手当など)
・就業促進定着手当
就業促進定着手当とは、再就職手当の支給を受けた方が再就職先に6か月以上雇用さ
れ、再就職先での6か月間の賃金が離職前の賃金よりも低い場合に、基本手当の支給残日
数の40%を上限として、低下した賃金の6か月分を支給するものです。
≪受給条件≫
①再就職手当の支給を受けている事
②再就職の日から、同じ事業主に6か月以上雇用保険の被保険者として雇用されている事
起業により再就職手当を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられません
③所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回る事
離職前の賃金日額は、雇用保険受給資格者証で確認できます。
ただし、賃金日額の上限額を超える場合は上限額、下限額より低い場合は下限額となります。
【離職前賃金日額の上限額と下限額】※毎年改訂あり
・上限額
離職時の年齢が30歳未満の方 :12,810円
離職時の年齢が30歳以上45歳未満の方:14,230円
離職時の年齢が45歳以上60歳未満の方:15,660円
離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方:14,940円
・下限額
全年齢共通:2,310円
【再就職後6か月間の賃金の1日分の額の算出方法】
★月給の場合
再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 180
★日給・時給の場合
次の(a)(b)のうち、どちらか金額の高い方
(a) 再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 180
(b)(再就職後6か月間の賃金の合計額 ÷ 賃金支払いの基礎となった日数)× 70%
※賃金とは、税金や雇用保険料などが控除される前の総支給額のことを指し、通勤手当や皆勤手当なども含みます。
ただし夏冬の賞与など、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含みません。
≪申請方法≫
①再就職手当支給決定通知書とともに送られてくる【就業促進定着手当支給申請書】を事業主に記載してもらう
(再就職からおおむね5か月後に郵送されるケースもあります)
②就職日から6か月間の出勤簿や賃金台帳の写し、雇用保険受給資格者証などを添えて、就職日から6か月経過した日の翌日から2か月以内にハローワークに提出する(郵送可)
こちらも再就職手当と同様に申請期間が短いので、忘れないよう気を付けましょう。
・就業手当
就業手当とは、失業手当受給中の方が【再就職手当】の支給対象とならない常用雇用等以外で就業した場合に支給されます。
【 就業日数 ×(基本手当日額 × 30%)】を受け取る事ができます。
※1日当たりの支給額の上限は、1,887円(60歳以上65歳未満は1,525円)となります。(毎年8月1日以降に変更されることがあります。)
また就業手当を受けた日については、基本手当の支給を受けたものとみなされます。
なお、就業手当は、令和7年3月31日をもって廃止されますので注意しましょう。
≪受給条件≫
①待期期間終了後に就業する事
失業手当の申請をした日から7日間が待期期間です。
②基本手当が3分の1以上残っている、かつ45日以上ある事
基本手当の残日数が上記をきった時点で、就業手当の支給は終了します。
③離職前の会社と関わりのない企業に就職する事
全く同じ会社での就業はもちろん、関連会社などで就業した場合も対象外となります。
④(給付制限がある場合)待期期間満了後、1か月以上経過してから就職する事
待期期間満了後1か月以内でも、ハローワークや職業紹介事業者の紹介した企業で就業すれば対象となる可能性があります。
⑤再就職手当の支給対象とならないような常用雇用等以外の職業に就いた事
「常用雇用等以外」とは、アルバイトや1年未満の契約期間で仕事をするなど、臨時的な雇用のことをいいます。
⑥受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでない事
失業手当の申請日より前から内定が出ている場合は、就業手当の対象にはなりません。
≪申請方法≫
①【就業手当支給申請書】を記入する
②就業した事実を証明する給与明細等、失業認定申告書、雇用保険受給資格者証を添えて、失業認定日に提出する
・常用就職支度手当
常用就職支度手当とは、失業保険の基本手当受給中、「45歳以上、もしくは就職が困難な人」がハローワークからの紹介を受けて就職が決まった場合に支給されます。
≪受給条件≫
以下を全て満たしている必要があります。
①安定所の紹介により、1年以上引き続いて雇用されることが確実であると認められる職
業に就いたこと。
②離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと。
③待期期間又は離職理由、紹介拒否等による給付制限期間が経過した後職業に就いたこ
と。
④常用就職支度金を支給することがその者の職業の安定に資すると認められること。
⑤就職日前3年以内の就職において、再就職手当または常用就職支度金の支給を受け
ていないこと。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている場合は再就職手当を受給できますが、3分の1未満の場合でも、上記の条件を全て満たすことで、常用就職支度手当の対象となる可能性があります。
≪支給額≫
常用就職支度手当の支給金額は、基本手当の支給残日数によって異なります。
基本手当の支給残日数 |
常用就職支度金の額 |
90日以上 |
30日分の基本手当 |
45日以上90日未満 |
残日数の3分の1相当日数分の基本手当 |
45日未満 |
15日分の基本手当 |
Q&A
Q.定年退職後でも給付金はもらえる?
結論、定年退職後でも受け取れる給付金はあります。
まず、失業手当については【退職日時点で65歳未満】であれば支給対象となります。
そのため、64歳11か月で会社を退職すると、退職後に失業手当を受給できるのです。
また、65歳未満の方が老齢年金を受給している場合は、失業手当の受給中は老齢年金の支給が停止されますが、65歳以上の場合は失業手当と老齢年金を同時に受給することができます。
また、傷病手当金に関しても、在職中に条件を満たしていれば、定年退職後に受給することができます。
しかし、傷病手当金は老齢年金と同時に受給すると調整が入り、差額分しか受給できませんので注意しましょう。
Q.失業手当受給中に転職先が決まったらどうなる?
失業手当は「就職先が見つからない方」を対象とした給付金となるため、再就職先の入社日の前日までが、手当の支給対象となります。
ただし、基本手当が1/3以上残っている場合は、受け取れなかった基本手当の一部を【再就職手当】として受給できる可能性があります。
基本手当の支給残日数が2/3以上あれば、受け取れなかった基本手当の70%、
基本手当の支給残日数が1/3以上あれば、受け取れなかった基本手当の60%が支給されます。
Q.アルバイトをしながら失業手当を受け取ると、不正受給になる?
条件内であれば、失業手当を受け取りながらアルバイトをすることが認められています。
その条件とは、「1週間の所定労働時間が20時間未満」ということです。
「1週間の所定労働時間が20時間以上」および「31日以上の雇用が見込まれる」場合は、雇用保険に加入する必要があります。
雇用保険に加入すると「就職した」とみなされ、失業手当の支給が終了となります。
なお、アルバイトをした日の分の基本手当は、減額もしくは先送りとなります。
アルバイト等の就労をした場合は、認定日に必ずハローワークへ申告する必要がありますが、申告せず基本手当を受け取ると不正受給となりますので、絶対にやめましょう。
参考:基本手当受給中のパート、アルバイトについて【厚生労働省】
まとめ
退職後にもらえる給付金について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
「失業手当は知ってたけど、その他にも受け取れる手当があるなんて知らなかった」という人も多いはずです。
給付金の種類によっては、在職中に準備が必要となるものもあるため、事前によく調べ準備しておくことが大切です。
「自分も対象だったのに、申請し損ねてしまった・・・」と後悔しないよう気をつけましょう。
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